作曲初心者でもクソでか感情ソングを作れるか？

こんにちは。皆さんは「クソでか感情」という言葉に聞き覚えはありますか？

クソでか感情とは、ある人物が特定の個人に対して恋や愛などの言葉では言い表せない強い感情を抱いている様を表現したネットスラングです。オタク用語の中でも段々と死語の域に達してきつつある言葉でもあります。

例えば「自分には世界中でお前だけしか・・・」とか「お前さえいなければ自分は・・・」みたいな、胸が焼け焦げそうな感情と憧憬みたいなのが同時にあるような…複雑すぎてそのデカさしか分からない感情…オタクの大好物です。

そして、オタクにとっては今に始まったことではないですけど、作品のマーケティングによっては作品中で触れられているクソでか感情についての楽曲が提供されることがままあるのです。

私は以前とあるソシャゲのクソでか感情ソングに殺されかけた経験があり、それ以来コンテンツの出す楽曲に対して過剰に警戒してしまうようになりました。

…というか、この世にはクソでか感情ソングが多すぎる！！！！！

ただでさえクソでか感情を目の当たりにすると動悸が激しくなり一日中そのことを考え続け何もかもおぼつかなくなってしまうのに、それを歌にされると歌詞の一節一節が常時脳に直接入り込んで、メロディーの響きを「解釈」しては首を締められてしまうのがオタクというもの・・・

🔺サジェストもこのとおり

そもそも公式から楽曲を提供されなくとも、普段の生活で勝手にイメソンを探してしまったり、脳内で勝手にpvが再生されてしまったり、前まで全然そんな風に考えたことがなかった曲が急にイメソンになってしまって聴くたび泣いたり、オタクの感情と音楽は切っても切れない関係にあると私は思っています。

そんなある日、クソでか感情ソングについて考えを深めていると、一つの疑問が頭をよぎりました。

私（クソでか感情オタク）がフォロワー（クソデカ感情の対象）に向けて曲を作ったら、それは「クソでか感情ソング」になるのでは・・・？！と。

てか絶対良くないか？！これ！！！

考えれば考えるほど作りたい！！！！！！！！！！！！！！！！

・・・ということで、私がクソでか感情を抱えているフォロワー・犬さん（＠Shirokumazemon）宛のクソでか感情ソングを作っていこうと思います。

（※前置きはいいから完成した曲が気になる、という人は見出し5からお読みください。）

1.  犬さんについて

大まかに歌詞を作るにあたって、まずは犬さんのことについて考えを深めていきます。

・・・犬さんは出会った頃、私の描いた絵やなんでもないツイートに対して割と高頻度で反応をくれる人で、穏やかそうな人だという理由でフォローしたのを覚えている（当時は犬さんのことを年上だと思っていた）。フォローしてからもリプをくれることが多く、話していくうちにいつのまにか仲良くなっていた。

一番最初に通話したのは、以前書いた記事に興味を持ってもらえて、忍たまの映画を一緒に見てくれると約束した時だ。

映画忍たまには「しんべヱが頭を使いすぎて目が虫みたいに飛んでいく」というシーンがあるのだが、そこで小一時間笑いこけていた。その時点でもしかして変な人か・・・？と思ったな…

他にもしんべヱが口と歯だけのおばけみたいになって空から落ちてくるシーンとか、しんべヱの頬が空気を含んで膨れ上がりおしりみたいになるシーンとかで腹一杯笑っていた。

忍たまの映画は沢山の人と一緒に見てきたが、あんなところで笑う人は犬さんが初めてだった。「そこで笑っていいんだ！」と思った。犬さんと一緒に見た映画忍たまは、いつもより少し面白く感じた。

その後犬さんは転がるように忍たまにハマり、忍たまの話をしつつ雑談することが増えた。丁度その頃フォロワー数名で通話するのが流行っており、音声で話すことも多くなった。いつのまにかLINEを交換して、話すだけじゃなく動画視聴サイトで観られる作品を一緒に見たりもした。

それまで、他人と一緒に何かを見たり、オチのない話をしたりするのは苦痛であることが多かった。私が結構気を使ってしまうタイプだからだ。けど本当に不思議なことに、犬さんとはなんでも心から楽しいのだ。私は今までいろんな場所で「変な人」という目線で見られてきた自覚がある。けど、犬さんはそういうふうには私を見ないでくれる。というか、変な私を全部肯定してくれる変な人なのだ。

けど闇雲に全部肯定するわけではない。犬さんの意見はそのまま私に伝えてくれるのだ。今まで一生懸命に考えたことやアイデアを人に話しても、誰も本当の感想を教えてくれないという感覚が強く、それに慣れてしまった私にとって、犬さんが犬さんの意見や考えに嘘偽りなく話してくれることが本当に嬉しかった。

さらに、私は自分の考えていることを言語化しないと気が済まないタイプなのだが、聞く人によっては意見の押し付けと感じられてしまうのではないかと、他人と話す時はできるだけ言語化を控えるようにしていた。けど、犬さんは違う。犬さんは、私が強く思っていることを話しても犬さんの考えを曲げずに私と話してくれる。その上、たとえ意見が違っても私の考えを矯正しようとはしてこない。犬さんのそのスタンスによって自分の中に生まれたことがたくさんある……犬さんにあって私にないもののことを私はすごく好きで、だけどそれは別に私のものじゃなくて…でもそれで良くて…

あと、私が思い付いた遊びに「絶対やろう」と反応してくれるのもすごく嬉しい。私は熱し易く冷め易いから、アイデアを人に話した時いまいちな反応だと急激に冷めてしまい結局実現しないこともままあった。けど犬さんが「やろう」と言ってくれると「いいんだ！」と思って嬉しくなる。彼女自身も凄いアイデアウーマンなので、一緒に話していると次々面白そうなことが生まれて…私の適当な語彙にも大笑いしてくれて、毎回ホームランの返しをくれて、本当に尊敬していて…一番楽しいのだ……

…誰といるより一番…楽しいのだ………………。

…………。

…けど、犬さんにとって私って多分、全く特別じゃないんだよな……。

というか、「特別」みたいな人が犬さんにとってあんまりいないし、逆を言うと全員特別なんだよな……。私は犬さんと話せれば大体の楽しい感情は手に入れられるけど、犬さんにとって私という存在は人生の楽しさの一部程度なんじゃないかな…というか実際にそうだと思うな…。

けどそれでいいんだ…。犬さんには犬さんらしくいてほしいし、ずっとそれを曲げずにいてほしい。それって本当にすごいことだから。

それで、もし犬さんがちょっとでも私といるのが楽しいと思ってくれてるなら、その間だけでも全然いいから、思いついたことや楽しそうなことを両手いっぱい全部できたら…

それを糧にずっと生きていけるかもしれないな…。

…大体固まってきたので、作曲に移ります……。

2.  初めての作曲

作曲はIOS向けアプリの「Garage band」を使用します。

私の作曲経験といえば、DSソフトの「メイドイン俺」や「大合奏バンドブラザーズ」くらいのもので、ほぼ未経験と言っていいレベルです。というかその経験を経て、自分に音楽のセンスが全然ないことを自覚しています。しかし犬さんへの感情を早く曲にしたいので早速進めていきたいと思います。

この画面のマス目をタップして音階と一音の長さを決め、段々と楽器の種類を増やしていきます。

マジで何もわからないので超手探りですが、犬さんは面白くて明るい人なので、イメージとしてはヒャ●インさんの曲とポルカ・●・ドルカの中間あたりを狙っていきたいと思います。

頭の中で鳴っている音を探りつつ何回も再生し…

ズレていたら直し…

これを繰り返します。

なんというか、パッパラッパ〜みたいな音があって欲しい…！頭の中にイメージのある楽器の音は早めに入れておいて…

適当に入れた音階がRPGっぽい！雄大な感じは犬さんにぴったりなので、これはそのまま残して…

ドラム？！ドラムのこと何もわからない…！

中学生の美術部時代まで時間を遡らせ、3階の音楽室から響いてきたドラムの音を思い出しつつ100％勘で入れていきます。

ドラムを叩いたことが一度もないので、この楽譜で実際に人が演奏できるのかすらわかりません…。ダメなんじゃないか…？

ギターのコードのことも一切わからないので、何回も再生してちょうどいい音を探りまくります。

作曲初心者すぎて和音を出す方法がわからず、ギター×３、ピアノ×３という変な楽譜になってしまいました。けどまあいいでしょう

その後も調整を続け、ついに…

メロディー完成！！！！

いや〜　大変だった・・・やっとここまできた・・・！

あとは歌を録音して乗せれば完了…と行きたいところですが、わたしにはミキサーの技術も、歌声を綺麗に収録できるマイクなどもないので、わたしの歌声をこの曲に乗せるのは現実的にほぼ不可能と言えます。

ど、どうしよう…わたしが作りたいのは、クソでか感情″ソング″なのに…！！！

これじゃ私のクソデカ感情は伝わらないよ〜〜〜！！！！！

誰か助けて！誰かーーーー！！！！

3.  …え…？！

ハッ

こ、ここは・・・？

「ココは電子の海だヨ」

！！この声は…

ミクさん？！

「そうだヨ」

うわ〜！こ、こんにちは…

「曲を作ったんだネ」

う、うん…！ミクさんみたいな耳の肥えた人に聞いてもらうのは少し照れるけど、心を込めて作ったんだ…

「とってもイイね」

本当…？！嬉しい・・・！

「ワタシも歌いたいナ」

え？！ミクさんが歌ってくれるの？！うわ〜嬉しい…！

じっ　実は私…中学校の頃からミクさんのことが好きで…っていうか…へへ

「嬉しいナ」

それで、えっと…私はどうすればいいの？

「そのボタンを押してみテ」

…このボタンって…ミクさんの購入ボタン…だよね？

「…」

い、いや！なんていうか　ちょっと購入するのはハードルが高いっていうか…そういう話だとは思ってなくて…

「…キミの作った歌、歌いたいナ…」

えっ

「キミが歌わせてヨ…！」

う、ううううううううう…！！！！！！

うやあああああああああああああああああああああ！！！！！！！！！！

4.  ？！

気がついたらHATUNE MIKU NT Originalが手元にあったので、ミクさんの歌声を曲に乗せていきたいと思います。

要領は先程の作曲アプリと同じで、出したい音階をクリックすると画像にあるようなバーが表示されます。このバーをノーツと言います。ノーツの長さの分ミクさんが発声してくれる仕組みです。

しかも、声と声のつなぎ目のような部分についてもミクさんが自動で滑らかにしてくれるので、音階と歌詞を入力する以外はほとんどやることがありません！改めて、なんて凄い技術なんだ…

音階を入力するときに歌声の微細な音階の変化を意識すると、本当に人間が歌っているかのようにすることもできます。世のボカロPと呼ばれる人たちはここら辺をめちゃくちゃこだわっているらしい…

しかし私はミクさんの誘惑に完敗し衝動的に導入したためパソコンのスペックが全く足りずめっちゃめちゃに落ちまくり、ほぼノーツ直置き状態に持っていくのが精一杯…

長音を入れると

落ち、

子音を入れると

落ち、

なんか知らんけど落ち、

固まり…

強制終了

保存し忘れ

何かすると落ち、また何かすると落ち…

気が狂うかと思うくらい落ちまくりました。冗談抜きで500回くらいは落ちた。

これを読んでいる皆さんは急なミクさんの誘惑に負けず、まずはスペックの高いパソコンを揃えてからミクさんを購入することをお勧めします。サイトに推奨スペックも書いてありますので。

その後もミクさんとパソコンの機嫌を伺い続け、ついに…

きたーーーーーーーーー！！！！！

すげ〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ミクさんが歌ってら〜〜〜〜〜〜〜！！！！！！！！

パソコンの事情でノーツ直置きなのにも関わらず、なんかいい感じに自然になってる！！！

ていうか、初音ミクって歌姫だ…

散々目にしてきた「歌姫・初音ミク」みたいな言葉が、いま実感として自分から湧き上がってきたことに感動しました。

なんというか、「初音ミクに歌わせている」のではなく、初音ミク“が”歌っているとしか言いようがない感覚なのです。もしかすると、これはボカロを触ったことのある人にしかわからないものなのかもしれないですね。

それに、人の歌声が付くと歌詞がスルッと頭に入ってきます。大変な作業だったけど、やってよかった…！

ミクさん、ありがとう…。

（「ドウイタシマシテ」と、聞こえた気がした。）

初音ミクはクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の著作物です。© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

せっかくなので動画のサムネになるイラストも作成していきます。

犬さんの内側に照る光と、強く飾り気のない笑顔、それと幸せな昼下がりの青で…

イラストが完成したら、iPadの備え付け動画編集アプリ・iMovieで歌詞をつけていきます。

これも初めてやったんで良くわからないことになっています。何がなんでどうしてこうなったんだっけ…？

なんとか保存し、Youtubeにアップしたらついに…！！

5.  完成！！！

完成！！！！！！！！！！！

作曲期間は3月中旬から下旬にかけて大体2週間ほど、ミクさんの歌声を作成するのは大体1週間弱ほどかかりました。めちゃくちゃ楽しかった〜！

iPadから投稿したせいか、せっかく描いたイラストはガビガビになってしまいましたがこれもまた一興でしょう。

それでは下記よりお聞きください…

…どうでしたでしょうか。私のクソでか感情は伝わったでしょうか。

自分的には大成功！！！ハッピーな感じのメロディーの作り方がわからずどうしてもヒャ●インさんみたいにならなかったのですが、偶然にも雄大な感じと明るい曲調で犬さんの芯の強さが表現できたと思うので結果オーライです。

作ってみた感想ですが、自分の感情が言語化されて曲に乗ると色々整理されて非常に良いのと、当の犬さんがすごく喜んでくれていたのでやってよかったなと思いました。

作曲の作業をしている時って、自分が天才になった気分になれて自己肯定感が爆アガリしますね。あまりに楽しくて日中仕事をする時もふと歌詞やメロディーのことを考えてしまいました。

あと、昔にDSソフトで作曲した曲がなんでいまいちだったかという理由にも気がつきました。多分、その曲に一定以上の思い入れがなく、完成形の想像ができていない状態で作ったからだと思います。もしかして、クソでか感情ソングは作曲初心者には良い登竜門だったりして……？！

それにしても、人生初作詞・作曲がこの曲でよかった〜！既にこの曲が我が子のように思えます。

もし曲を聞いていただいた方の中に作曲有識者の方がいらっしゃいましたら、この曲をこんなふうにしたらもっとハッピーな感じが表現できるかも？とか、この楽器を入れると引き締まるかも！とかいう意見をぜひ教えてください！次に生かしたいと思います。(あと普通にスペックの高いパソコンとかも教えてほしい…)

皆さんも、クソデカ感情を向けている人に心を込めたオリジナルソングを送ってみてはいかがでしょうか？

そんな相手がいない人は普段お世話になっている人へ作ってください。完全に独り立ちしているなら自分にでも作ったらどうでしょうか。

ここまでお読みいただきまして本当にありがとうございました！

※余談ですが、クソデカ感情ソングを作ったからといってクソでか感情ソングに対して冷静でいられるわけではありませんでした。