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合言葉はVoy!ブラインドサッカーは社会である!

 東京2020パラリンピックが開幕した。

 私がサッカーが好きで、よく観戦するというのは過去の記事を見ていただいた方はご存知かもしれないが、そういったこともあって5人制サッカー(ブラインドサッカー)に注目している。

 視覚に障害を抱えている選手達が鈴の入った音のなるボールを追いかけて、ピッチを駆け回り、ゴールを狙い、勝利を目指す…

 ひょんな事がきっかけでブラインドサッカーに興味を持ち、実際に試合を観たり、ピッチ上で戦った中で私はあることに気がついた。

 ブラインドサッカーは社会である!!

•競技の起源・ルール

 この記事を書くにあたって、再度ブラインドサッカーについて調べ直してみた。

 競技の起源は曖昧な点が多かったが、1980年代初頭に開発されヨーロッパ、南米を中心にプレーされており、日本に国際統一ルールが上陸したのは2001年。2002年には日本ブラインドサッカー協会が設立された。

 ルール、競技の特性は以下の通りである。

•音の鳴るボールを使用する。実物はこんな感じ

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https://www.b-soccer.jp/blind_soccer/ruleより引用

•GK(ゴールキーパー)は目が見える人が行うが、動ける範囲が決まっている

•相手ゴールの真裏に『ガイド』という指示を出す役割の人がおり、その人の指示や出す音を頼りにゴールを目指す

•相手のボールを奪いに行く時は必ず「ボイ!」と言う

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https://www.b-soccer.jp/blind_soccer/ruleより引用

•音が命! 

 ブラインドサッカーの試合会場は基本的に静かにしていなければならない。

 ゴールが決まった後などは、声をあげたり拍手をしたりしてもいいのだが、基本的にオンプレー中は静かにしていなければならない。

 なぜかというと、全く目が見えていない状態の選手達にとってボールの鳴る音、GKやガイドの指示の声はプレーする上で命綱のようなものであり、聞こえないというのは命取りになるのである。

 現在、コロナ禍でJリーグのスタジアムでも試合中声を出しての応援ができず、試合中は静かだが、ブラインドサッカーの試合会場はコロナ禍以前からオンプレー中は静かなので、現在のようなJリーグのスタジアムの状態になった際に「ブラインドサッカーみたい」と本気で思った。

 今回の東京2020パラリンピックは無観客で行われるので、その空気感の中試合を行うことはできないが、観客が入った状態で静寂の中試合が行われ、ゴールの瞬間に何百、何千人もの観客が一斉に声を上げ、拍手をする光景は健常者のサッカー、フットサルのゴールシーンではなかなか見られない。サッカーの中でゴールの瞬間の美しさ、壮大さを改めて思い出させてくれるだろう。私もブラインドサッカーの観戦に訪れて、「フットボールで1番のクライマックス、盛り上がるシーンはやはりゴールの瞬間だな」と改めて感じた。

•ピッチ上で感じたこと

 前述した通り、ひょんな事がきっかけでJBFA(日本ブラインドサッカー協会)のボランティアの方と知り合い、私もブラインドサッカーの試合にGKとしてピッチに立ち、視覚障害者の方と同じようにアイマスクをして目が見えない状態でトレーニングをした経験から感じたことは…

健常者も障害者もピッチの上では皆平等である!

 ブラインドサッカーは数ある障害者スポーツの中で、数少ない障害者と健常者が同じピッチの上で一緒になって戦うスポーツなのだが、ピッチに立てば障害者も健常者もそれぞれの役割、立場があってそれを全うする中で勝利を目指す。そこに優劣は無い。ということを一番感じた。

 障害者は、FP(フィールドプレイヤー)として実際にボールを追いかけてディフェンスをしたり、ゴールを狙ったりする。健常者はGKとして最後の砦となりゴールを守ったり、FPにディフェンスの指示を出したりする。また、ガイドという役割もあり、相手のゴールの真裏に立ち、指示や音を出すことでFPにゴールを決めてもらえるようにする。皆、それぞれ役割分担があり、全うする中で勝利を目指す障害者と健常者の共存・共栄のスポーツなのだ。(ちなみにパラリンピックなどの国際試合では不可能だが、ブラインドサッカーの国内リーグでは健常者もアイマスクをしてFPとしてプレーすることが可能)

 障害者と健常者の共存・共栄と感じて、私はブラインドサッカーは社会そのものじゃないかとも感じた。 

 障害者でなくとも健常者でも様々な個性があって、それぞれの役割、立場で社会生活の中に属している。それぞれ出来ること、出来ないこと、長所と短所があり、お互い助け合いながら“社会”という同じルールの中で共存・共栄している。その中で、勝利とはまた違うかもしれないが、「幸福感」、「幸せ」を目指しているのではないだろうか?

•最後に 

 『社会』などと大それたことを言ってしまったブラインドサッカーだが、東京2020パラリンピックでは、8月29日(日曜日)から競技が始まる。初出場の日本代表チームの中には、実際に一緒にトレーニングさせてもらったり、国内リーグの会場で会って話をしたことのある選手が何人かいる。

 彼らは障害者かもしれないが、アスリートとしても、1人の人間としてもリスペクト出来るし、実際に触れ合ってみると面白い部分もたくさん垣間見えた。そんな彼らが、サッカー日本代表と同じ『日本晴れ』のユニホームを身に纏い、世界の強豪チームと戦う瞬間が今から待ち遠しい。

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バモ!ニッポン!

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