老若男女すべての「文学少女」へ捧ぐ
「本はこの世に存在しなければならない」
これは本書の登場人物の一人が発した言葉だ。そしてきっと、いや確実に、この本を手に取った愛書家は、皆自分の言葉であると確信するに違いない。
この物語の舞台は、読長町。名称からして血が騒ぐこの町は、本の町だ。あらゆる書店、大型書店、古書店、専門店が軒を連ねるのみならず、この町には、長い年月、時代を経て蒐集された本が所蔵されている御倉館と呼ばれる家がある。この館には御倉家の一族が代々本を守って……と、ここまで書いてしまったが、事前の説明