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「零れたお茶は戻ら無い」

精神疾患の治療を始めてからSNSのアカウントを作りました。

上手く『普通』で居られない自分に自信が持てなかったから。
同じように治療してる人と繋がりたかったから。
「苦しんでいるのは自分だけじゃない」って思いたかったから。
理由は色々あるけど、いま俺は精神疾患と闘ってる人と繋がりを持っています。

病名も症状も様々だけど、みんな闘っています。
上手くコントロール出来ない自分の心と、
過去に負ったトラウマと、
自身を傷つけたり死にたくなる衝動と、
『普通』になれない自分自身と。

毎日傷つきながら、苦しみながら、怖がりながら、
時に失敗したり、打ちのめされたり、地面に這いつくばって、
それでも必死に生きようと藻掻いています。

よく精神疾患の人に掛けてはいけないと言われる言葉があります。
「頑張って」「やれば出来る」「気合いが足りない」等々、
回復を焦らせるような励まし、相手を否定するような言い回し。

実際、精神疾患と闘っている人は、
もうその時点で頑張ってるし、やって出来るならやってるし、気合いなんか出ない状態です。
それでもなお「頑張らなきゃいけない状況」「無理をしなきゃ出来ない事象」と立ち向かっています。

本当は「頑張りすぎないでね」とか「無理しないでね」って言葉も憚られるんです。
その人の事を知れば知るほど言えなくなります。
頑張らないと、無理しないと、超えられない日常がいっぱいなんです。
だから俺はこう思うようになりました。

「無理しても良いけど、無茶はしないで欲しい」

無理』ってのは「屈じゃい」って事です。
「理屈=頑張りすぎない方が良い」けど「仕方が無い」
無理をしなきゃいけない状況は往々にして起こります。
頑張りすぎなきゃ超えられない壁がいっぱいあるんです。

無茶』ってのは「零れたおは戻らい」って事だと思ってます。
いわゆる「覆水、盆に返らず」です。
つまり「取り返しの付かない状況」に繋がる行動や心理が『無茶』です。
元に戻れないほど壊れてしまうと言っても良いかもしれません。

例えば、
「明日は休日でゆっくり休めるから、今日は残業をしよう」
これは「無理をする」です。

でも、
「月曜日の朝から土曜日の夜まで、仮眠も食事も摂らずに仕事する」
これは「無茶をする」です。

無茶をすれば恐らく殆どの人が壊れます、心も体も。
そして壊れた心や体は簡単には回復しません。
いや、完全に元に戻ることは無いと言って良いかもしれない。

「取り返しが付かない所までは頑張ってはダメだよ」
それが、
「無理しても良いけど、無茶はしないで欲しい」です。

「あぁ、これはヤバいな」
「このままいったら壊れるな」
そう思ったらギブアップしてもSOS出しても良いんです。
その場から逃げて良いんです。

自分の直感を信じてください。
心や体からのSOSを無視しないであげてください。
無茶しなきゃいけない状況は、あなたが劣っているから起きている訳では無いんです。
その組織のシステムとあなたがマッチしなかっただけなんです。

「周りの人は出来てるのに…」なんて思う必要ありません。
周りは出来てる人しか居なくて当然なんです。
だって合わない人はそこを離れていくから。
その環境に適応できる人だけが残っているのは当たり前なんです。
逆にあなたが適応できる環境に、適応できない人だって居ます。
それが個性なんです。人格なんです。人間なんです。

だから自分に『無茶』を強いることはしないで欲しい。
無理をしなきゃいけない状況はあっても、
あなたがあなたで無くなってしまうような、
壊れて取り返しが付かなくなってしまうような。

「無理しても良いけど、無茶はしないで欲しい」
それが俺の、あなたに掛けられる精一杯の言葉です。

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