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産婦さんに育ててもらう助産師

11月29日 いい肉の日

ちょうど一年前、
妊娠中からマイ助産師として
妊婦健診、マタニティ教室と携わらせていただいた方が助産所でお産をされました。

とても可愛い男の子は1歳のスクスクBOY
となりました。

この方は、わたしが助産所で初めて
妊娠中から継続して担当させていただいた
初産婦さんでした。

妊娠中は、初産婦さんらしい育児や
妊娠・出産の質問があり
一つ一つ一緒に確認しながらお話をしたり、

もともと体についても勉強されていた方なので、ここが痛いときは
こんな風にストレッチをしたり、動かしている
と、助産師の私にたくさん教えてくれました。


夫さんと一緒に妊婦健診にこられ、
2人でまったりと過ごされている様子をみると
こちらも気持ちが緩み健診と言いながら、
雑談がほとんどだった気がします^^
それも大切な時間でした。


初めてのお産を迎え、助産師の私はドキドキと
少しの不安を持っていました。

ドキドキは、助産所で初めて赤ちゃんを
直接受け止めることになっていたので
うまくできるかな。
不安は、やっぱり初産婦さんなので
陣痛が弱くなったり進まなかったらどうしよう、という思いでした。

病院勤務時代、約300人の出産のお手伝いしてきました。
この時ももちろん一人一人のお産を大切に
その時の全力を出し切っていましたが、

助産所で妊娠期から信頼関係を
築き上げて来たからこそ、
格別な思いがありました。


結論から言うと、
お産は産婦さんの底力を見させていただき、
驚きとその力にただただ感動でした。


また助産師として私は何ができたのだろうか・・・と思ったりもしました。

こちらが何も言わなくとも、
骨盤を回したり、
ゆっくりとスクワットをし動き、

暑くなったら服を脱ぎ、
出したいだけ声を出し
静かに力強く四つん這いでお産をされました。

ああ、この人には
お産の時にこんなにもパワーが出せたんだ、
こんなにも自分のからだを感じながら
自由に動けるんだ。

お産が終わり、
家族時間を過ごしてもらっている間、
師匠と2人診察室でお産について
あーだこーだ話しているときに、
自分の奥歯がめちゃくちゃ痛いことに気づきました。

お産中、ずっと歯を食いしばっていたのです。
それだけ、私自身に力が入っていたんです。

お産は何が起きるか分からないので、
様々な予測をしながら
ある程度の緊張感は必要ですが、
助産師自身もリラックスすることが
必要だと感じています。

まだまだそんな風にお産に携われる日は
来ないだろうなぁと日々思います。

それでも、これだけ女性の産む力と
赤ちゃんの生まれてくる力を目の当たりにし、

自分の右手に収まる
会陰から半分出た赤ちゃんの頭の感触を
思い出すたびに
また、お産に立ち会いたいと強く思うのです。

まさしく、お産は麻薬。

1年経った彼女の備忘録には、
こう書いてありました。(原文ママ)

私の出産はとても良いものだった。
確かに子宮口が開いたり
骨盤が開くための痛みはあった。

けど、好きなだけ声を出させてくれたし、
一切が私のタイミングで何の遠慮も不安もないよう環境を整えてくれた。
誰のコントロールも受けていないと感じた。入院中もそう。

出産はええもんや。痛みはある。でも怖くない。痛みと恐怖は実は別物。
そして痛みは2日目には
全然思い出せなくなっていた笑

助産師冥利に尽きます。

助産師として私は何ができたんだろうか、
と1年前に感じていた私へ。

あなたは助産師として、
この方にとって大切なことを
ちゃんと守れていたんじゃないでしょうか。

産婦さん、赤ちゃんから教えてもらうことが
圧倒的に多い助産師人生。
命をかけて
わたしに大切なことを教えてくれてありがとう。
1歳おめでとう。

yunami.

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