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独りよがりマネジメントからの卒業

作成日:2022年9月30日  追記:2023年5月5日
#組織づくり  

現在、某ITベンチャーでプロダクトマネージャーを行っている。
2022年上期に、チームの大黒柱のような上司が抜け、運良くプロダクトマネジメントを任せてもらえるようになり、マネジメントやリーダーとしての役割を数多く経験させてもらった。
社会人になるまでの人生、サブキャラが多かった自分が、ここにきてぶち当たったリーダーとしての壁と、乗り越えるためのポイントを備忘録的に残す。

この記事では以下の質問への現時点の答えを記したい。

  • 複数人をまとめる上で苦労したことは何か?

  • チームとして機能していると思うのはどんな状態か?

  • 一方チームとして崩壊しているのはどんな状態か?


業務委託の関係ではなくチームに。

半年の中で一番苦労したことは、自分自身の感情やメンタルコントロールである。特に感情が安定しないのは、次の2つの場面だ。
1つは、周りからのアウトプットやコミュニケーション、いまいちだったり、方向が揃っていない時に、イラッとしてしまうこと。メンバーのミスや質の低いアウトプットに対して、成長を待てず、トラブルシューティングが少なくて済むようにしたい → 関わると面倒だから離れたい。と壁を自ら作っていた。緊急タスクが立て込んでる時や余裕がない時ほど、この感情が強化された。
2つめは、リーダーとしての「信頼できる発言」や「明るさ」という理想像からくる不安・プレッシャー・緊張感。端的に言えば人前で評価され続ける側の立場にビビっていた。
その結果どうなったか?業務のやり取りをいかに効率的にやり取りできるか、に重きを置いた冷徹な時間が増えた。達成感や満足感・安心感は置き去りにし、頭と手をいかに動かせるかの勝負になっていた。
その時に、上司に指摘されたことがものすごく刺さっている。
「お願いしたタスクを、依頼通りにやったかやってないかの共有だけし合う関係性は、チームじゃなくていい。業務委託の関係性でしかない。」
そこで初めて、チームとは何か?どんなチームでありたいか?を考えるようになった。

チームで何をしている時が幸せ?

まずチームという言葉の意味を辞書で調べてみる。

【チーム】共同作業を行うための数人から成る集団。

広辞苑より

【共同】一つの目的のために複数の人が力を合わせること。

一方で業務委託とは、

【委託】自分の代わりを人や機関に頼みゆだねること

従って、チームの特徴としては、

  • 共通の目的を達成するために行動する

  • 誰が依頼者かを問わない

という点から、
株式会社の目的である「利益を得る・ユーザーに選ばれる」ことを達成するために、各々が持つ力を合わせるという点が特異的と言える。
逆を言えば、

  • 共通の目的がない、達成しようとしていない

  • 依頼者の指示通りに行うことが正解

という関係性は、チームとは言えないということが理解できる。

分岐点に立って、あるべき姿を想像する

では、なぜ業務委託の関係に陥ってしまうのか?

  1. 絶対的に共通となる目的・目標を明確にできていない、もしくは忘れている

  2. タスク依頼者が、自身の考え方・伝え方を適切に疑えていない。傲慢になっている。

  3. タスク実行者が、自分ごと化できていない。タスクの意義を自ら腑に落とせていない。

この3つが考えられる。
つまり、北極星のような目的を見失っており、各人が目の前のことしか見えていない状態である。

仕組みで解決するために

1.2.3のそれぞれで、個人の技術的な要因と環境要因があるとした時、環境要因はそれぞれ何があるだろうか?(個人のスキルを一旦無視しているのは、組織の仕組みとして再現性を持って解決策を考えたいからだ。)
1つ目に関しては、いくらシンプルに言語化ができても、スライドや絵にまとめられても、相手の価値観をよく知っていない限り、相手との共通ゴールは描けない。つまり相手をよく知れるほどのコミュニケーション量・相手と良い関係を築こうとする姿勢が前提として必要である。
私たちのチームでは、リモートワークが前提となっており、雑談やちょっとした相談がなかなかできない環境にあったため、自分のことだけを考えるのに最適な空間になっていた。
相手との友好的な関係性や、一緒に目指したい世界観がない状態で書くゴールは、どんなにかっこよくても、もはやリーダーの個人目標でしかないとも言える。
だからチームを作るリーダーは、

  • 関わるステークホルダーの価値観をよく理解し、

  • 共通ゴールを探り続けること、

  • 相手に響く言葉や数字を提供し続け、

  • 考え方をアラインしていくことが求められ、

  • それぞれを時間がかかるものと理解・忍耐すること

が求められる。
それを支える仕組みとしては、関係者と対話する時間を一定保つことが重要だ。
また2つ目、3つ目に関しては、

2.タスク依頼者が、自身の考え方・伝え方を適切に疑えていない。傲慢になっている。
3.タスク実行者が、自分ごと化できていない。タスクの意義を自ら腑に落とせていない。

上記より引用し再掲

今回の私のケースだと”忙しさ”が大きな要因としてある。例えば、体力・気持ちに余裕を持てない時に、リソースを自分のことだけに集中投下し、少しでも早くタスクを消化したい、自分の中に余白を作りたい、といった具合だ。周りから別イシューに関する会話が持ち込まれると、エンジンの切り替えに体力を消費するため、できるだけ周囲の刺激をシャットダウンしたくなっていた。その結果、周りに対して、雑なフィードバックや、レスの先延ばし・放置が起きた。
これについては、
仕事量に対して人員不足であることを周囲に理解してもらえる材料を提供する(根拠となる情報や、今後のリスクを数字や論理で語る)を行なった上で、

  • 人員追加を依頼

  • タスクの優先度・期日を延長できないか相談

  • 本当に全てをやる意義があるのか、失くす手段が無いか、再検討

  • タスクの効率性を確認

をやっていく。
あとは大前提となる話だが、メンバーの心身のバランスが崩れていないか(睡眠・食事・運動)を確認し、パフォーマンスを向上する。 これらをチェックしていきたい。

最後に

「チーム」を作ることに対して難しさを感じすぎている場合、気休めかもしれないが、「もしチームがなかったら?」「チームでしか得られない幸せな瞬間は何か?」を考えてみると良いかもしれない。
参考までに自分自身の感じる点は下記の通り。

  • 複数人だからこそ、考えや景色が広がったり、同意して強く信じられる面白さ

  • 辛い時に励まし合ったり、カバーしてもらえるからこそ、もう一度頑張ろうと勇気が湧く瞬間

  • 継続するからこそ、大きな達成感を感じられる瞬間

  • 不安や嬉しさ、安心感、笑いを共有しあえる一体感

  • 大規模だからこそ様々なユーザーの声をいただける嬉しさ

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