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これから人類学にふれる人へのおすすめ本(ここ最近でた本編)


職場の人から「人類学にふれる際のおすすめ本ありますか?」と問われた。けっこうむずかしいリクエストだ。人類学ってノウハウみたいなものを嫌う性質もあるので、「10秒で解る!人類学」みたいな本は無いし(むしろあったら眉唾ものか、すごい皮肉)どうしても事例ベースになってしまう。

ここ最近刊行されている本で(古典とか教科書的なのは別の機会にご紹介したい)、気になる本をピックアップしてまとめておきます。

松村圭一郎さんの名物ポッドキャストが書籍化しました。さまざまなトピックについて人類学者の楽しいエピソードが収録され、はじめての人にもわかりやすく紹介されていると思います。対談形式でまとめてあって読みやすいので、手始めにいいと思います。

もう一つ松村さんの本を。

こちらは各トピックについてもう少し深く考えたい人向けの本です。文献なども紹介されていたり、人類学周りで話題のトピックについてコラムが入っていたりします。ちなみに、松村さんは私の大学院の先輩で、直接の面識は無いのですが、同じエチオピアを研究されていたので、研究室に置いてあった松村さんの修士論文を読んだことがあります。修士論文を研究室においてくださり、ありがとうございます!本当に助かりました。

方法論やフィールドワークについて聞かれたとき、最近は菅原さんのこの本を紹介しています。

本を読みながら、人類学部に入学した気持ちになれるのがこの本、『フィールドワークへの挑戦―“実践”人類学入門 』です。学生たちのフィールドワークが、教授に評されていく様が描かれています。その様子はとても生々しく、私は菅原さんに教わってはいないのですが、学生時代を思い出します…色んな意味で「すごいな」と思う本です。

ビジネスや開発系の人に話を聞かれたときはジリアン・テットの本を紹介することが多いです。当時フィナンシャル・タイムズ編集長だったジリアン・テットによる、組織が陥りがちな罠についての本です。

先日はタジキスタンに赴任経験のある国際協力関係の友人に紹介しました(ジリアン・テットはタジキスタンで人類学的調査を行っていた過去がある)。今は文庫があるんですね。驚き!人類学的な目線で企業を解き明かそうとしている点で興味深いです。

最近彼女は新刊も出しています。

個人的にとても気なるテーマなので近日中に読みたいです…

あとはやっぱり、インゴルドさんも紹介しておきたいところです。

この本は一般向けに「なぜ現代に人類学が必要なのか」「人類学が今後できること」などを明快に、わかりやすく書いてあります。分量も思ったより多くないのでとてもおすすめです。

上の本を読んで、インゴルドのことを知りたくなった人は、たくさん邦訳されているので彼の著書をぜひ読んでみてください。

私が今読んでるのは『ラインズ』。今更って感じかもしれませんが…今読んでます!ネットワークを獣道と対比させているところが個人的にとても気になります。

人類学といえば、ディープな事例だ!と思っている方には、こちらを。

ご存じの方も多いと思いますが、読み物としても、とても面白いですし、人類学の研究としても、とても刺激的です。チョンキンマンションに人類学者が潜入し、現地の経済・相互扶助・SNSなどにスリリングに迫ります。こんなふうにフィールドのことを書けたら楽しいのだろうな…

他にも紹介したいものはたくさんありますが、今回はこの辺にしておきます!Amazonアソシエイトの収益は、人類学関係の書籍を購入することに利用させていただき、また紹介記事を書こうと思っています。もしくは地元の本屋さんを応援される方はそちらでどうぞ!よろしくお願いいたします。

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