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春のみみずく朗読会に参加して

昨晩、村上春樹さんと川上未映子さんの「春のみみずく朗読会〜みみずくは春に本を読む〜」に行った。

わたしはふだん日記もつけないし、メモもめったに取らない。

ふむふむって聞いて、ほほう〜と体験して、噛み締める。

たまに思いついたら短歌にすることはある。

そんなわたしだけれど、今回はどうしても文章のかたちにして残したいとどうしようもなく思った。


なによりも感謝

今回わたしは、学生招待席で参加することができた。

1123席ある大隈講堂の客席のうち、200席が学生招待席だったという。

今回のイベントは主に寄付金でまかなわれていて、わたしたち学生には1つの座席に座る権利を得るのにじゅうぶんな寄付金を払うことが、すこしむずかしい。

ご厚意で参加が叶ったことに、なによりも心から感謝します。

大好きなおふたり

2019年のおわりに春樹さんの『1Q84』を読んで、そのおもしろさの虜になった。

以来、ありとあらゆる著作を読んできた。

好きな短編は『パン屋再襲撃』。

大学のとある授業で、課題テキストの1つとして『午後の最後の芝生』が提示されていたことがある。

ぎりぎりまで迷ったが、わたしは『午後の最後の芝生』を選ぶことができなかった。

村上主義者の方であれば、この気持ちをわかってくださることと思う。

そして、未映子さん。

『乳と卵』をはじめて読んだとき、そのエネルギーに圧倒された。

昨年池袋のジュンク堂で行われた『黄色い家』のサイン会に参加したことがあって、その際には憧れの未映子さんを前にして言おうと思っていたことがぜんぶ吹っ飛びそうになった。(すんでのところで思い出しました。)

未映子さんはもちろんとてもお美しい方なのだけれども、それだけではない「引力」のようなものを備えた方だ。

わたしは村上春樹さんと川上未映子さんのおふたりがほんとうに大好きで、今回参加できたことはこの上ないしあわせだった。

春樹さんにお目にかかる(そう表現するのが適切かは自信がありません)のは初めてで、すごく緊張していたし、楽しみにもしていた。

なにせ朗読会なのだから、あの渋くて素敵なお声を生で聴ける。

ギタリストの村治佳織さん、俳優の小澤征悦さんも友情出演されるとのことで、こちらもどんなコラボレーションが楽しめるのだろう、とうきうきしていた。

大隈講堂

わたしには見慣れた大隈講堂。

正直、いつもの光景だ。

(でも中に入るのはちょっぴり久しぶりだった。)

だけれど事実、重要文化財に指定されている、歴史ある素敵な建物だ。

会場に入る前から、建物の記念撮影をされる方も多かった。

大隈講堂のすばらしさを忘れかけていました、ごめんなさい。

やっぱり素敵。

ステッカー

受付でチケットと学生証を見せると、イベントのためにつくられたオリジナルステッカーがもらえた。

こんな素敵なものを頂けるとは予想しておらず、心の中で小躍りしてしまう。

愛用しているパソコンのケースにはペタペタといろんなステッカーを貼っているわたし。

だけれど、このステッカーはどこにも貼れないかもしれない。

本末転倒だ。

こればっかりは仕方がない、ということにする。

みんな本が好き

座席についてぐるっと見渡して思ったのは、本を読んでいる方がすごく多い。

隣の方は『海辺のカフカ』を読んでいらした。(じっと見たわけではなくて、カバーをかけずに読んでいらしたのでわかっただけです。)

ななめ前の方は、短歌ムック『ねむらない樹』読んでいらして、思わず話しかけたい衝動にかられたけれども、ぐっとがまん。

地下鉄でスマホをながめている人と、本を読んでいる人の比率を考えてみると、昨晩の大隈講堂の光景はけっこう衝撃的だった。

本を読む人、本が好きな人って、こんなにいたんだ。

「読書離れ」ってなんだっけ?

そんなことを思わされた。

いざ開演

春樹さんと未映子さんが登場されて、ちょっと信じられないくらいに心拍数が上がった。

月並みながら、「本物だ……」と思ってしまったのは内緒(になってない)。

おふたりの新作短編の内容はSNS等での拡散NGとのこと。

とても素敵でした、とだけ申し上げておきたい。

じっくり読む機会が訪れるのも、とても楽しみで待ち遠しい。

村治佳織さん、小澤征悦さんとのコラボレーションもすばらしかった。

村治さんはソロで演奏されるときと、小澤さんの朗読と一緒に演奏されるときとではまったく雰囲気がちがっていて、思わず唸った。

小澤さんの朗読はさすが、としか言いようがない。

俳優さんらしく、巧みな節回しに惹き込まれた。

クロストーク

会の最後に、出演者4人でのクロストークがあった。

感想を、という流れに一瞬なったところで、春樹さんが小澤征悦さんのお父さま、小澤征爾さんのお話をしたいのだと切り出す。

シャイな春樹さんには珍しいことだったので、会場中が聴き入るような姿勢になった。

茶目っけたっぷり、ユーモアを交えながらの盟友への追悼に、会場はあたたかな笑い声につつまれた。

春樹さんと小澤征爾さんは、ほんとうに深いところで繋がっていたのだろうなと感じた。

未映子さんによるギフトリーディング、『ノルウェイの森 下』直子からの手紙の朗読があって、会はお開きとなった。

まさかの写真撮影タイム

そのまま4人が退場して終了、と思いきや、まさかの写真撮影タイム。

SNS等へのシェアもOKだという。

これは春樹さんの出演されるイベントとしては、相当珍しいことのはず。

ふだんあまり写真を撮らない(あまりよいこととは思っていません)わたしでも、思わずパシャリ、パシャリ……。

ふと我に返ると、会場中あちらからもそちらからも響き渡るシャッター音にちょっと変な気持ちに。

自分もそのグリーンピースたちのひとつぶだと思うと、もっと変な気持ちになった。

帰って写真を確認すると、席が2階席後ろのほうだったので画質ががびがびだった。

さもありなん、とは思っていたけれど、まあよしとしよう。

おどろきの健康効果(?)

今日の朝、目が覚めるとやけにすっきりとしていた(昨晩うれしさのあまりちょっと深酒をしてしまったのに)。

寝癖もぜんぜんついていない。

化粧のりもよい。

なんだか水がおいしい。

そんなわけで、健康効果(?)もみられたのでした。

ふりかえって

あらためて、今回のイベントに参加できて心の底からしあわせに思う。

こんな素敵な催し、次はいったいいつになるのだろう。

それまで、できるだけ健康にしあわせに過ごしていたい。

さいごに

これからも文章に残したいような出来事があったら、ぼちぼち書いてゆこうかな、というのが今のところの気持ち。

そして、わたしのnoteは創作でつかっている筆名で書くつもりです。

弓吉えり(ゆみよしえり)といいます。

この「弓吉」も春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』から勝手にお借りしたもの。

この名前とのお付き合いはもうすぐで2年。

永いお付き合いにしたいな。

読んでくださって、ありがとうございました。

まだ寒い日がつづきます。

ご自愛くださいませ。

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