MIMIGURI研究開発本部で実現したい3つのこと
この記事は、MIMIGURI Advent Calendar 2022の24日目の記事です。
株式会社MIMIGURIのメンバーが、12月1日から日替わりで記事を執筆しています。これまでの記事はこちらにまとまっているので、よろしければ合わせてご覧ください。
MIMIGURIは、今年2022年2月に、文科省認定の研究機関となり、社内に研究開発本部を設けることとなりました。創業時より事業の基盤として研究活動を重視しており、組織の創造性の土壌を耕す経営モデルの確立と体系化を目指して邁進しています。
ここでいう「組織の創造性の土壌を耕す経営モデル」とは、創造的な組織の状態を表す見取り図としてMIMIGURIが独自に作り上げた「Creative Cultivation Model(通称CCM)」のことです。研究開発本部は「CCMの発展と普及」をミッションに掲げています。
私は、MIMIGURIの中で、この研究開発本部に所属しています。MIMIGURIで働く傍ら、立教大学大学院経営学研究科の博士課程にも在籍しており、MIMIGURIと大学院とで、組織開発と創造性に関する研究をしています。
文科省認定をうけて数ヶ月は助走期間の位置付けだったので、研究開発本部が社内で事業目標をもち、専属のメンバーがつき、本格的に動き始めたのは今年の9~10月頃です。
今回のアドベントカレンダーに何を書こうかなと考えていたのですが、研究開発本部の正式始動から3ヶ月ちょっと経った今、せっかくなので、MIMIGURIでの研究活動に対する私の個人的な想い・野望について書いていきたいと思います。
※ちなみに、認定を受けたあとに、研究開発本部の代表であり、弊社代表取締役Co-CEOの安斎さんと対談をする機会があり、以下の記事で、研究機関となった背景や当時掲げた研究開発本部としての抱負はすでにお話ししているので、ご興味ある方はご覧いただけたらと思います。
1. 実践を触発する研究がしたい
私は修士課程の在学中に、MIMIGURIの前身の1つであるMimicry Designに参画しました。学会に出たり論文を書いたりと、研究活動には片足を突っ込みながらも、大半の時間はビジネスパーソンとしての仕事に充ててきました。
ストレートに博士課程に進学しなかった分、クライアントワークやチームマネジメントに手探りで取り組み、そこで起きる課題や痛みを認識できるようになり、業務上、様々なコンテンツの企画やプロデュースにも携わってきました。ゆえに、私の研究者として唯一の特徴を挙げるとするならば、「この研究知見は実践者の役に立つ、あるいは心に響く内容だろうか?」という目線をつい持ってしまうことです。
現時点ではまだ自分の発信する知見の全てが実践者の役に立つとは言い切れませんが、少なくとも「この知見は実践者に響くだろうな」「これは響きにくそうだな」という感覚が伴うようになってきました。
こうした背景があるためか、今は「研究者として実践を触発する研究ができるようになりたい!」という想いを持っています。では「実践を触発する研究」とはどういう研究のことを指すのか?もう少し踏み込んで考えてみたいと思います。
ここでは「触発」という言葉がキーワードになりますが、MIMIGURIのリサーチパートナーでもある石黒千晶さんが「触発」をテーマに複数の研究をしておられ、共著論文のなかで「触発」に関する海外論文に言及してまとめられていた一節がわかりやすいので引用します。
つまり、触発という行為は、端的に「価値を解釈する過程」と「新しいことに動機づけられる過程」の2つに分けられると言えそうです。
これを足掛かりに、「実践を触発する」の解像度をもう少しあげると、以下のような状態をイメージしています。
価値を解釈する過程:実践者が、研究により得られた知見を使って、現場の事象を捉えられるようになる。また、自分の実践に自信がつき、勇気が湧く。
新しいことに動機づけられる過程:実践者が、研究により得られた知見を使って、実践の仕方を改善しようと思う。あるいは持論に磨きをかけたりする。
今私は「組織開発」を主なキーワードとしつながら研究を進めていますが、これに限らずどんな研究においても、実践者が研究で得られた眼差しで現場を捉えることができるようになったり、実践に勇気が湧いたり、持論が磨かれるような状態になることを目指して、アウトプットを出したいと思います。(まずは博士論文を書かねば・・・)
2. 研究活動のための豊かな土壌をつくりたい
2つ目は研究そのものというよりも、研究活動をとりまく環境についての想いです。先に前提となる部分から話をしていきますが、そもそもMIMIGURIの研究開発本部は、「理想的な知の生態系を体現すること」を組織ビジョンに掲げています。
「理想的な知の生態系」というと、人それぞれ描くイメージは異なると思いますが、MIMIGURIが描くそれのイメージは、以下の図のように「経済活動」「教育活動」「研究活動」がいずれも欠けることなく、どの活動もWHY(目的)になりながら存在している状態です。
私自身、この3つの活動すべて大切だと思っていますし、すべてが高いレベルで実現されたらどんなにいいだろう、とMIMIGURIが目指す未来に対しワクワクした気持ちを持っています。
そして、この知の生態系、特に研究活動と教育活動を支えるのに欠かせないと感じているのが「ゼミナール」、通称「ゼミ」活動です。ゼミは大学の中核的な活動で、多くの場合、研究室単位で行われます。活動内容は一律ではなく、研究発表や文献発表、輪読など様々です。
少し調べてみたところ、ゼミの本質は学生が勉強してきた内容の報告がなされる点にあり、専門的な学問分野への理解を深めていく場と位置付けられているようです。これをMIMIGURIの活動に置き換えてみると、「専門的な学問分野への理解を深めていく」とは、「CCMの理解を深めていく」ことにあたります。
つまり、MIMIGURIのゼミ活動は各々の研究報告がなされる場であり、CCMの理解を深めていく場ともいえます。まさにこれを体現するかのように、2022年4月から始めたゼミでは、パートナーをふくめたリサーチメンバーが担当持ち回りで自身の研究内容や研究関心を共有し、様々な角度からCCMの理解を深め、新たな気づきを得る学びの場になっています。
そして、この社内ゼミに、外部の研究者の方にゲストとしてお越しいただくことがあるのですが、これにも多くの刺激をいただいています。これまで取り組んだことのない研究アプローチや初めて見聞きする研究知見には知的好奇心がくすぐられますし、なにより「創造的な組織づくりをするにはこういう視点も必要かもしれない」とCCMの新たな可能性を考えることにも繋がっています。
まさにCCMで「豊かな果実は豊かな土壌から生まれる」というメッセージを内包しているように、よい研究成果も、よい研究基盤があってこそ生まれるものだと思います。そして、その研究基盤として、研究者の知的好奇心をくすぐり、研究活動への動機づけが高まったり、新たな研究のヒントを得られるような場はとても貴重で、社内ゼミはそういう場だと思っています。
3. CCMを多様な研究者・実践者と深めたい
冒頭に触れたこの対談記事でもCo-CEOの安斎さんが話しているのですが、MIMIGURIに集まっているリサーチャーは、専門領域が近いからではなく、思想に共感しているという点が共通しています。
CCMは、今はまだMIMIGURIの思想を表すモデルとしての意味合いが強いですが、将来的には「組織の創造性の土壌を耕す経営モデル」として研究が進み、MIMIGURIのメンバーだけではなく多くの人の共通の知見となり、MIMIGURI外の研究者の方にとっての研究対象や研究基盤にもなったら嬉しいなと思っています。
「いつか、CCMについてあれこれ議論するカンファレンスもできたらいいね」と研究開発本部のメンバーと話すこともあります。現状、目標というより「野望」というほうが近いですが、まずは多くの研究者や実践者の方にこのモデルを面白いと感じてもらったり共感してもらえるように、このモデルを研いで発信していきたいと考えています。
終わりに
ここまで読んでいただいたみなさん、ありがとうございました!このような自分の想いを中心に綴る記事を書く機会はあまりなく、どきどきしながら書き終えました(笑)
最後に宣伝ですが、この記事の中でも触れたMIMIGURIの社内ゼミに、ゲストとしてお越しいただける研究者の方を随時募集しています。(修士博士課程在籍の方なども!)MIMIGURIリサーチャーにとっても刺激になっていますが、お越しいただく方にとっても、新たな研究の切り口を見つけたり、学際的なメンバーが揃っている分いつもと違う視点が得られるような場をつくるように努めています(薄謝ではありますが謝礼もお支払いします)。
年明けも何名かすでに決まっておりますが、もしご興味持っていただける方がいらっしゃいましたら、私のTwitterのDMも解放しておりますし、Facebookのメッセージ、他のMIMIGURIのリサーチャー宛でも構いませんので、ご連絡いただけると嬉しいです。社内ゼミ関係なく、お茶するだけでも大歓迎です。
さて、明日25日は大トリ!MIMIGURI 代表取締役Co-CEOであり、研究開発本部の代表でもある安斎勇樹さんです。私は安斎さんの書く文章がとっても好きなので一読者としても楽しみ。
MIMIGURI Advent Calendarを見ていただいているみなさんも最後まで楽しんでいただけたら幸いです!よいクリスマスを🎄
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