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日本の子どもの心がもっと元気になる、そんな社会を作りたい

こちらは、「あなたの夢やビジョンは何ですか?」から始まる5つの質問に答えていく『Re・rise News 美しい時代をつくる人たち』のインタビューでの様子を文字起こしした記事です。

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インタビュー動画はこちらから

聞き手:福田美穂さん(Re・rise News) 
話し手:佐野友美(なかよしプロジェクト代表)

【ストーリー概要】
教育者として本当に子どもの心を元気にする教育を確立すべく、世界中を巡り探究し続けたゆみさん。柔らかい口調の奥にある力強い意志と実践に裏付けされたお話をぜひ聞いてください。

ー福田さん(以後敬称略):Re・rise News インタビューを始めさせていただきます。
本日のゲストは、海外で25年間を過ごされ、しかも5カ国すべてが異なる言語を使用する国である、オーストラリア、ハンガリー、オーストリア、イスラエル、トルコで過ごされた方です。多様なライフスタイルを経験しながら、幼稚園の設立などを含めて長年教育者として活動されていらっしゃる佐野友美(ゆみ)さんにお話を伺いたいと思います。友美さん、本日はよろしくお願いいたします。

ーユミ:どうぞよろしくお願いいたします。



1:友美さんがお持ちの夢やビジョンをお聞かせください

ーユミ:ありがとうございます。私は日本の子どもの心がもっと元気になる社会をつくりたい、という夢をずっと持っています。

ー福田:ありがとうございます。「日本の子どもたち」なのですね。それだけ長く海外で生活されながらも、日本というところに着目されているのですね。もっとお話しをお伺いしたいです。

2:その夢を具現化するために、どのような目標や計画を立てられていらっしゃるのでしょうか?

ーユミ:大きく分けると二つあります。
ひとつめは、子育てする全ての人が心理学の基礎を知っている時代をつくりたいと思っています
子どもの心が元気な社会をつくるには、例えば学校の制度や、教育内容、社会の構造をアップデートすることはもちろん大切だと思いますが、それを変わるのを待っていたら、また何十年も過ぎてしまうのではと思っています。

そう思うと、今すぐ誰にでも始められるのは、目の前の子どもの心を幸せにすることだと思います。そのためには、心理学的な要素を一人ひとりがある程度知っている状態になれば、実現するのではないかと思っています。

ふたつめは、25年間海外で暮らしていた時に、いつも教育のことや心の教育のことのリサーチなどをしていましたので、日本の子育てや教育界に海外の風をちょっと持ちこむのも、自分の役割かなと思っています
日本を出ると、日本の良さが逆によく分かります。それもあって、今の時代にぴったりの子育てにアップデートする時に、海外の風を入れるというのも考えています。

ー福田:日本から出たからこそ、日本の良さに気づいたと言うところがかなり大きかったのかなと感じます。

3:その目標や計画に対して現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をされていらっしゃいますか?

ーユミ:「なかよしプロジェクト」という名前で活動しているのですが、それはかれこれ20年近くになり、子どもの心を元気にするための心理学的アプローチを学んだり、教育に取り入れたり、広めたりという活動をしています。

日本に拠点を移してまだ数年なのですが、本格的に活動を始めました。それまでの18年位は海外を拠点に、出張ベースで日本へ来たり、海外の主要都市へ出張して講演会を行ったりしていました。
私は、心理学的アプローチである《心の4大栄養素》というのを提唱しています
《心の4大栄養素》とは、心の中にはみんな4つのコップが入っていて、そのひとつひとつに、人間にとって必要な《心の栄養素》があるんだよ、というお話として心理学の理論を紐解いています。

こうして可視化することで、心という見えないものがちょっと見えるようになります。あとは、専門用語を使わないようにして、実は深い深いところを辿れば難しい理論が背景にはあるのですが、そんなことは一切知らずに、ただただ、コップの栄養素が減っているんだ、増えたからこうなったんだと、そういうお話として誰もが理解できるように願っています。

この一つ一つのコップの意味を簡単に説明すると、
ひとつめの青いコップがたまると、自分がそのまんまの自分でいられて、つながり、居場所といった所属感を感じることができます

ふたつめのみどりのコップがたまると、自分が生まれたもった能力を自分から伸ばして、”自分のことは自分でやれるぞ” という感覚になります。

みっつめの黄色のコップがたまると、自分の尊厳とか、自分の価値みたいなものを感じることができて、”この世に生まれてきてよかったんだ”、”私には自分にしかできないことができるんだ” という気持ちになれます。

4つめのピンクのコップは、誰の人生にもいい時と悪い時があるけれど、最後は、 ”自分の力で自分の人生を自分らしく生きよう”って思える栄養素です。誰の人生にも、どん底を経験したり、落ち込んでしょうがない時があるのですが、それは当たり前です。心の元気というのは、いつもイェイイェイという感じで「元気だよ」という意味ではなく、アップダウンのある人生をみんな経験しながら、自分の人生を自分らしく生きよう!と思えることなのです。

この4つの栄養素がたまっている状態だと、誰もが本当に心の底から幸せを感じたり、自分らしく生き生きと生きていけます。

ー福田:その心の栄養素のお話をされているということでしょうか?

ーユミ:はい。心の栄養素が大事だよというのはもちろんですが、実はこれがなくなった時というのが面白くて、私たちが世の中に見る全ての人の全ての言動は、このコップがたまっているからか、ためようとしているからかと心理学では言われているんです。

つまり、コップの栄養がたまっていたら、どんどんお友だちを作ったり、自分の能力を進んで伸ばして活かそうするのですが、面白いのは、それがなくなってためようとした時の姿です。

そのため方には、効率のよい自己補給型のため方と、カラ回り型のため方というのがあります。世の中に見る、イライラしていたり、悪いことをいっぱいしたり、嘘をついたり、意地悪をしたり、訳のわからないところでぶちぎれたりという、そういう態度の全てが、4つの栄養素について学ぶと、意外にもこのコップをためたいだけ!ということが分かってくるのです。

そうすると辿り着くのは、世の中に悪い子どもなんて誰もいない。悪い子なんじゃない、ただためたいだけなんだということ

この子も一生懸命にがんばってるのだと分かった時に、やれることが変わってくるんです。私たちの意識も変わるし、その子への働きかけも変わるし、そうするとその子も効率的に自分の栄養素をためられれば、さっきのいいサイクルに自分からいくことができるので、本当に魔法のように、人柄も変わりますし、顔までイキイキとニコニコと幸せそうな子どもになっていくのです。
そういうものを伝えています。

ー福田:なるほど。友美さんのお話を聞いて、「そういう心の状態を学ぶことが今の教育には足りていないんだな」というのをすごく感じましたね。

ーユミ:「心の基盤」というものが何よりも一番大事で、"全ては心の基盤の上にのっている"と、いつもお伝えしています。

例えば、どれだけお金を出して英才教育をしても、がんばって競争率の高い職業に就いても、心の基盤がガタガタだったら、やっぱりそれは幸せを感じることはできなくなってしまうんです。

ガタガタの基盤の上には、どれだけ高いものを建てても、こうやって崩れてしまう。
もちろんいい教育をすることも大事、いい環境で育てることも大事。
だから、私たち大人は子どものためにいい教育を、いい環境を作りますが、誰にでも必要なのは心の基盤がしっかりしていることです。逆に言うと、どんな環境に育とうと、心の基盤さえしっかりしていればその子は大丈夫、と信じているわけです。


④今の夢やビジョンをもったきっかけは?

ー福田:ありがとうございます。では、続いての質問なのですが、今の夢やビジョンを持ったきっかけをお聞きしたいのですが、どのような発見であったり、出会いがあったのでしょうか?

ーユミ:私はもともと根っからの教育者で、日本で教育大学に入学し、すぐに先生になりたいと思って教師になりました。その時には、とにかく子どもが大好きで、本当にうれしくて、一生懸命に関わりました。

その時に気づいたのが…、上手く言えないのですけど、子どもの心をスキャンできるような感覚があったのです。なんか分かるのです。一見”良い子”として育っていて、なんでもできて、本当に態度もよい子どもが、「あれ、この子は今、何かしないとダメになっちゃうぞ」とか、逆に言うと、”この子は問題児だから気をつけてね” と送られてきた子どもをパッと見ると、「いえいえ、この子は大丈夫」とわかるのです。

それで、自分が感じた通りにかかわっていくと、おもしろいくらいに子どもが輝き出すということを経験して、それをどうしても理論で知りたかったのです。
これは偶然なのか、たまたまなのか、ちゃんと確かめたかったんです。

私でもできるなら、理論でちゃんと説明できるなら、他人でもできるということになるじゃないですか。だから、みんなにも伝えられると思って、それで、もうずっとその感覚を説明できるまでとことん追求したっていうのが、自分の20年間の研究をずっと支えているものではあります。

なので、とにかく【輝けない子はいない、悪い子なんていない】って本当に信じているのですが、それを今は、この理論で本当に証明できるんですよね。

なかよしプロジェクトで一緒に学んだ仲間で、それを子どもたちにやってみた方は、「おもしろいくらいに子どもたちが変わった!」と反応が来ますので、ただの自己満足でもないですし、この理論を入れ込んだ自分の理想の幼稚園をブダペストで作って、7年間実証しましたが、そこでは本当にびっくりするくらい子どもが輝き出すという現象がありました!

その幼稚園は、大使館にお勤めの方とか、日本から駐在で引っ越してくる方が多かったので、前の幼稚園と比べることができたのです。普通は同じ幼稚園にずっと通う方が多いので、その幼稚園の環境がそうさせたのかどうかなんて調べることはできないものなのですが、運よく転入生がとても多かったので、前の幼稚園であった姿と、なかよし幼稚園に来てからの姿というのを比べることができて、面白いくらいに本当に子どもたちが変わったということがわかったのです。

例えば、しゅんくんというお子さんは、お母さんご自身が、「うちのどもはもっとシャイで大人しい子どもだと思っていたのに、こんなに弾けた笑顔で冗談を言って笑えるなんて知らなかった」とおっしゃったり、

問題があると言われて送られてきたという子どもが、問題どころかクラスの人気者になるぐらいまで自分を解放してイキイキしたり。本当にそういう現象を子どもが証明してくれました。

そういうわけで、理論で説明できるからみんなにも伝えられるし、「これはちゃんと広まれば、日本中の子どもが元気になるのも、できなくはない!」と信じています。


5:友美さんの中に湧き起こる想いはどういうところから来るのでしょうか

ー福田:みんなができるようになるっていう、そこを目指して理論を探究されたところが本当に大事なところだったんだというのを感じました。
続きまして、その発見や出会いのさらなる背景、友美さんの中に湧き起こる想いというのがどういうところから来るのかというのをぜひお聞かせいただけたらと思います。

ーユミ:そうですね。この質問は一番難しいというか、いろいろな思いがこみ上げてくるのですが、あえていうならば、私は自分の直感を本当に信じて生きている、ということです。

自分にとって、人生のミッションみたいなものは、多分、子どもに関することで、特に「心に関すること」だというのは前々から気づいていました。
それをやるために、日本でとても楽しく教師をしていたのですが、このままではなんか枠にはまってしまうなと気づいて…、本当に楽しかったのですが、”これじゃダメだ”っていう直感を信じて海外に出て教師をしました。

そういった感じで「勇気を出して自分が信じる方に行動してみよう!」って今まで生きてきたと思います。

それは外から見ると、もしかすると、”自由だね”とか、”勇気があるね”ぐらいで終わるかもしれないのですが、実はリスクもやっぱりあります。直感を信じて行った先にちゃんと答えがあるというものではないのでね。

自分でそういう道を作り出していくこと。そして、何かを出るという事は、それを捨てるということなので、それなりのキャリアですとか、自分の構築していくものは、本当に自分の中で「そこに価値を置かない」という勇気も要りました。

そういうものを全部ひっくるめてみると、一人になる勇気もあったり、異端児である勇気もありながら、でも、心の底で信じている「子どもの心が元気になる」ということを自分なりに絶対に追求するんだ!という想いで、直感を信じてずっと生きてきたと思います

そう思うと、研究というのも、5つの国に住んだと言いましたが、このままでも済むところを自分の中で、”何かもうちょっとあるかもしれない” 、”何かこれはおかしいぞ”、 ”みんなはYesと言っているけど、私の中ではなんだか分からないけど子どものためにはならないのではないかと思うと、それをとことん自分の中で”Yes”が出るまで追求したいという風に、ずっと進んできたかと思います。

ー福田:いやぁ、かっこいいですね。自分を信じる勇気と、子どもたちへの確信が本当にイコールなんだと感じました。人間そのものの可能性であったりとか、こんなものじゃないという違和感や、もっといけるはずだ!っていう想い。”自分だけじゃなくてみんながなれるはずだ”っていう、そこのすごい確信と想いが、何か突き動かされるエネルギー、それを今、直感ということで表現していただいたんですけども、その勇気と行動力を本当に実践されてきて今があるのだと感じました。本当にかっこいいなと感じました!

25年前というと、まだ心とかそんなに注目されてない時代だったと思うのですが、そこを切り開いて、その頃からずっと「心の重要性」に確信をもってきた友美さんだからこそ、今、伝えられることがあると感じました!

では、最後に、見ていただいている視聴者の方にメッセージをお願いします。

Think outside the box!

子どもに限らず、誰もが 「自分はこんな人」「人生はこんなもの」という定義があって、誰もがそういうボックスを作って、その中に入って、「そういうものなんだ」「私はこういう人なんだ」「人生はこんなもんだ」と思って生きているものですよね。私もそうです。

でも、そのボックスを作り替えることはいつでもできるのです。

そして、そのボックスを出ようと思ったら自分の意志で出ることもできるのです。そこには選択肢は必ずあるのです!

ただ、自分のボックスに入っていると、それに気づかないまま終わっていくこともある。なぜなら、それが当たり前だと思っているから。だから、もしかしたらそのボックスから出てみたら、もっと自由で自分らしい人生を自分で作れるかもしれない。そういう可能性を伝えるのがこの心の栄養素を使って伝えている私からのメッセージでもあります。


そして【誰もが輝ける】というのは…、
ボックスの中でふつふつとしていたら、”じゃあ、変える時なんだよ”という、ほんとそれだけのことなのです。でも、その変え方が分からない、じゃあどうしよう?自分らしく輝くには?という時に、

この心の4大栄養素を学んでいくと、
「あぁ、自分ってこういう人なんだ。」
「こういう人生が欲しかったんだ。」
「こういうふうに生きたかったんだ」って

本当に簡単に気付くことができるのです。
そのボックスを新しくしたり、違うボックスに入り込んだりすることも、本当に可能なのです。

ここに書いてある「think outside the box」っていうのは、まさに「箱の外へ(行こう)!枠から出て考えてみようよ!」っていうメッセージでもあります。
そういうのがあるとないでは、人生全然違ってくると思うので、こういうところにピンときたら、あ!その時なんだな!と思って、自由に自分を作っていく。
本当に自分の人生は自分で作ることができるんだよって、子どもたちに本気で伝えていきたいです。

このプロジェクトを通して出会うのは主に親や教育者といった大人です。そういう方々が、ご自身もどんどん自分の中でそういうものを得て、みんなでイキイキしていくという、そういうコミュニティも作っています。

コミュニティでは、それぞれの方がそれぞれにほんとに温かい心を出して、自分らしく、他人とは違う自分というものをどんどん好きになり、自分らしくどんどん輝いているコミュニティがあります。そこに入るだけでもそういうインスピレーションを受けていただくこともできます。

そこには、心の栄養素やいろいろなことを学ぶ場もあります。あとは共同企画と言って、みんなで企画を立てては日本中の子どもを元気にしよう!という仕掛けを作ったりしていますので、いつでも仲間に入っていただけたらうれしいです。

そうでなくても、”自分のボックスを出ることはいつでもできるんだ!”ということだけでもちょっと片隅におきながら、自分には選択肢があるんだなぁって。そうやって私も、毎日生きていこうと思いますので、そんなご縁でつながれたらうれしいです。それがメッセージです☺️


ー福田:ありがとうございます。今は日本にお住まいでいらっしゃるので、いつでも遊びにも行けますしね。

ーユミ:はい、沖縄に住んでいます。

ー福田:オンラインの講座にもご興味ある方はぜひなかよしプロジェクトのサイトの方をクリックしていただけたらと思います。
友美さん、本日は素敵なお話をしていただきましてありがとうございました。

ーユミ:ありがとうございました。


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