第47回 腸にカビ?!
2024年11月18日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
先日、外来にいつもお腹がはり、お肉を食べるとすぐに下痢してお粥やうどんしか食べれない方が来られました。体重は1ヶ月で3kg減って、倦怠感が強い、と。
血液検査で栄養をみると、タンパク質が極端に少なく、亜鉛、鉄、ビタミンC、ビタミンDなど大事な栄養素が軒並み低下していました。
この結果を見るだけで、エネルギーは回らず、体は相当きついだろうな、ということがわかります。
食事の指導で皆様に毎回、肉、魚、豆類などのタンパク質を1日2回以上しっかり摂ってください、とお伝えしていますが、この方はまず食事が食べられない、腸が受け付けない。
サプリを飲んでも消化できず、その効果は期待できないでしょう。
そんな方にはどうアプローチしたら良いのでしょうか?
遅延型アレルギー検査という体に合わない食物を検出する検査があります。
体に反応して炎症を起こすので、さまざまな病気を引き起こすと言われていますが、この方は遅延型アレルギー検査でカンジダ菌(真菌、カビの一種)が異常に反応していました。
カンジダ菌は皮膚、腸、子宮などの常在菌でいつもはおとなしいのですが、食生活の乱れ、抗生剤の使用、胃薬乱用によってカンジダ菌が増えすぎると、腸の壁に穴をあけたり(リーキーガット症候群)、毒素を分泌して腸に炎症を起こします。
さて、治療ですが、腸の炎症が疑われるときはまず、腸の炎症をとることから始めます。
小麦(グルテン)、牛乳(カゼイン)は腸粘膜に負担をかけるので摂らないようにします。
炎症の程度によっては腸の炎症をとるサプリも併用します。
カンジダが原因であれば抗真菌薬や、真菌に効果のあるオレガノ、セージを含むサプリで治療をする場合もあります。
腸カンジダはどのような症状があるのでしょうか?
・下痢、便秘などの便通異常
・疲労感、倦怠感
・甘いもの、炭水化物への強い欲求(カンジダの栄養になるのでカンジダが欲しがる)
・痒み、発疹
・口内炎、口臭
・膣カンジダ、膀胱炎を繰り返す
・頭痛、めまい
・アレルギー、免疫力低下
このような症状があったら、腸カンジダを疑った方がいいかもしれません。
食生活、生活習慣で気をつけることは?
・カンジダのエサとなる糖質や酵母を含む食品は、カンジダを増殖させます。砂糖、果物、パン、ビールなどは避けましょう。
・食物繊維は、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を改善しますので普段の食事から摂取しましょう。
・シナモン、グローブ、ココナッツオイル、オレガノオイルがカンジダ抑制効果がありますので積極的に取り入れましょう。
・腸粘膜は睡眠中に修復されます。睡眠は7時間以上、水分は1日2L以上とりましょう。
腸を綺麗にすれば、健康な体も健康なお肌も手に入ります。
日頃から自分の体と向き合い、心地よい体で入れるよう気をつけていきましょう。