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【映画レビュー】スター・トレック

超人気シリーズで名前と断片的な情報と熱狂的なファンを多数抱える事は知っているものの、この作品で初めてスター・トレックシリーズに触れた。ちょっとシリーズで最初に見るべき作品はコレじゃなかったなと、選択ミスを感じている。

先に言っておきたいのだけど、私はこの映画自体はあまり評価していない。していないけど、だからと言ってスター・トレックシリーズの全てを否定しているわけでは決してない。あくまで今までスター・トレックシリーズに触れてこなかった人間が、『スター・トレック』1作だけを見た感想だ。

かつて宇宙船のキャプテンだった父を持つカークが、父と同じ道である宇宙艦隊アカデミーに入学し、宇宙へ飛び出し敵と戦うSFアドベンチャーという感じだろうか。私のように、事前情報が全くない状態で見る事は想定されていない映画だなという印象だった。知っておいた方がいいと思う範囲で情報を出しておくが、スター・トレックはSFの世界で宇宙船エンタープライズ号の船長カークとそのクルーたちが宇宙探索をしたり敵と戦ったりする物語のようだ。本作はそのカーク船長の若かりし頃を描いている。カークに何があって船長になるに至ったか、クルーたちとどのように出会い絆を育んだかという前日譚だ。特に地球人とヴァルカン人のハーフであるスポックとの友情は重点的に描かれている。

この作品は、今までスター・トレックに触れてこなかった人たちの入り口となり、往年の名作を知らない世代の人たちを取り込もうという趣旨では作られていない。だから私のような者にはわかりにくいのは仕方ないのだけど、それを差し引いてもわかりにくさを感じる。まず始まり方が唐突すぎて、間違えて途中から見たのかと思ってしまった程だ。最初にプロローグ的なものが10分ほどあるのだけど、ちゃんと理解して欲しいならもっと時間を掛けて描くべきだし、断片的な情報として提示しておくだけでまだ全てを理解されなくていいプロローグなんだとしたら10分は長すぎる、中途半端な感じだ。その後も短いシーンで区切って時間が経過していくのだけど、どのシーンもイマイチ説明が足りなくて魅力あるシーンとは言い難い感じだった。
ただ、これが宇宙船に乗って地球を出た辺りから、無理に時間を進めなくてよくなってだんだん面白くなっていく。まだ説明不足は感じるものの、目的がはっきりして、キャラクターが増えて、映画らしい魅力的なシーンが増えた。宇宙人とか宇宙船とかのSFらしいカッコいい世界の中で、飛んだり戦ったりワープしたりSFらしい事をする。その上で、個性的な魅力あるキャラクターがたくさん出てきて、対立とか葛藤とか友情とか人間らしい(人間以外のキャラクターもいる)ドラマが描かれて、ユーモアもあって、SFとして面白いという以上の往年の名作となり得たのも納得できるなぁという匂いを感じられる。

中盤から終盤の盛り上がりを考えると、欲張らなければこの映画はもっと面白くて、スター・トレックへの入り口として機能する作品になったかもしれないなぁと思う。カークと父親の物語を縮小して、エンタープライズ号のクルーたちとの関係にもっと焦点を当てるとか。まあでも、それはこの作品しか見ていない者の感想だから、めちゃくちゃ的外れかもしれない。

余談だけど、『500ページの夢の束』という、スター・トレックが大好きな自閉症の女の子がスター・トレックの脚本コンテストを目指す映画がある。SFじゃなくてロードムービーなのでスター・トレック好きに刺さるかどうかはわからないけど、個人的にはぼろぼろ泣くほど感動したので映画好きな方にはおすすめしたい。

『スター・トレック』 2.5

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