【映画レビュー】レザボア・ドッグス

冒頭、テーブルを囲んだ男たちのクソみたいな下品な会話に一気に掴まれる。その男たちの中にタランティーノを見つけ、あぁこれはタランティーノ作品なんだと知る。確かにこの下品でクソ面白い会話はタランティーノ作品だ。自分の監督作品に毎回ちょっとだけ出演する事でおなじみのタランティーノ、今作ではさっそく登場している。

雰囲気的に『パルプ・フィクション』よりも古い作品っぽいなと感じたが、鑑賞後に調べてみたらタランティーノの処女作らしい。『パルプ・フィクション』が監督第二作な事もあわせて知った（初期の作品という程度の知識だった）。初監督作らしい勢いと情熱、そして既に圧倒的な才能を感じる。

おそらく低予算で作られたであろうこの映画、限られた場所、限られたキャストで裏切り者を探すクライムドラマだ。しかし、そのシンプルさゆえにタランティーノの魅力がよりむき出しになっている。
映画のほとんどは会話で、クソ面白い会話を存分に楽しめる。この会話を楽しめない人や、会話からの情報で人間関係を整理したり状況を理解したりできない人には、きっと退屈な映画になってしまうのだろう。
それと、とにかく時間の使い方が上手い。普通の映画なら気を遣って描くであろう場面を大胆にカットする。時間軸を実に巧妙に移動する。そうかと思えば一見ムダに思えるようなダラダラとした会話をたっぷり繰り広げたりもする。その会話が面白いだけでなく、ちゃんとキャラクターやその関係性を理解させる効果があったり、何かが起こるのではないかとハラハラさせる効果があったりもする。
そしてやはり、グロい暴力表現もある。昔の作品だからなのか、今作の暴力は他のタランティーノ作品に比べるとリアリスティックだ。過激でグロくて、しかし物語に必要不可欠な重要な暴力表現だ。

処女作らしい色濃いタランティーノ色と、シンプルで役者や音楽や脚本などの魅力をダイレクトに感じられる。

『レザボア・ドッグス』　4.0