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外国から輸入された本は信頼できる? ~ 日本人のバイアス

国内に出回るインチキ本

今年「戦争の歌がきこえる」という連載を始めて以来、国内で発売されている戦争関連の本を調べている。その過程で、驚くような本がたくさん出版されていることを知った。

近年、日本では「インチキ医療」の本が大量に出版されていることは以前から知っていたけど、「歴史」に関しても同様にとんでもない本が市場に出回っているとは……。

その中でも特に目を引いたのが、あるアメリカ人ジャーナリストが書いたというこちらの本だ。

「マイケル・ヨン」って誰?

アマゾンのサイトによれば、著者のマイケル・ヨン氏は、「全米ベストセラー『イラクの真実の時』の著者」であり、「いま世界の主要メディアから注目を集める」人物らしい。この本は、そんな彼が「慰安婦の“虚構"を告発する」という内容である。

世界の主要メディアから注目を集める人にしては、名前を聞いたことがないので、アメリカのアマゾンで検索してみると、確かに彼は2008年に "Moment of Truth in Iraq"という本を出版している。ただし、これはあくまでも「イラク戦争」の本であり、全米ベストセラーになったという形跡もない。さらに彼は、「慰安婦」に関する本など英語では出版していない。

マイケル・ヨンと「慰安婦問題」の関係性

これは何かおかしいと思い、彼のWikiを英語で検索してみると、"Comfort Women(慰安婦)”と題したセクションを見つけた。そこには、彼と櫻井よしこ氏の関係性が記されている。現在ふたりの関係は切れているらしいが、彼の慰安婦に関する発言と櫻井よしこ氏には関連性があることがわかる。

詳しく知りたい人は、こちらへ↓

ただ、日本語のWikiを見るとそのような内容は一切掲載されておらず、彼の短いプロフィールが記されているだけだ。そのため日本語だけで検索した場合、彼が何者なのかよくわからず、多くの人はアマゾンのサイトにある情報を信じてしまうだろう。

外国から輸入された本は信頼できる?

外国から輸入された本というだけで、日本では権威があるように見えてしまう。この本は英語で出版されたわけではないので、「輸入」された本ではないが、そう見せかけて発売しているところが特に悪質だと思う。

「外国の物は信用できる」という日本人のバイアスを利用した手法は、医療におけるインチキ療法にもよく使用されている手口なので、気をつけて欲しい。

騙されないためにできること

今、グーグル翻訳もかなり性能が良くなってきているので、「海外で話題」とか「有名な外国人」というような情報は、その国の言葉で検索して調べることが大切だと思う。

そうすれば、マイケル・ヨン氏のように、日本ではいかにもそのテーマの専門家であるかのように紹介されている人が、自国では全く信頼性がないことがわかると思う。







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米国認定音楽療法士。著書『ラスト・ソング』『死に逝く人は何を想うのか』(ポプラ社) https://yumikosato.com/
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