息子に学ぶ、自分を成長させる方法

先日、アメリアの情報誌『Amelia』が届いた。

アメリアとは、翻訳者と翻訳を必要とする企業をつなぐネットワークで、

求人情報はもとより、

翻訳に役立つ知識やコツが学べたり

企業からのスカウトを受けるためのMyプロフィールが作れたり

会員同士が交流できるコミュニティなど

翻訳者にとってかなり心強い味方。


まったくの初心者の私も2年ほど前から参加させていただき

大いにお世話になっている。


まだアメリアを通したお仕事には至っていないが、

翻訳の知識ゼロからのスタートだった私にとって

これまでたくさんの学びの指針となった拠りどころである。


そのアメリアから毎月届く、情報誌『Amelia』には

翻訳業界の旬の情報、先生方のコラム、

翻訳初心者にもわかりやすい会話形式の

(しかも軽いノリで気分がほぐれる)解説で

毎回ためになる「翻訳お料理番」など


硬軟おりまざった個性ゆたかな記事が魅力的。


ちなみに、一番のお気に入りは

第一線で活躍されている先生方による年間エッセイ。

普段は文章の上でしか
お名前しか拝見してこなかった先生方が、顔写真とともに、

たっぷり一ページにわたるコラムを書いてくださっており

目の前の私に直接語ってくださっておるような錯覚に。


わ、本当に存在するんだ!と

半ばミーハーな気持ちで顔写真を見つめ返している。


一年にわたる連載を通して、お人柄が伝わってくるし、

仕事に対する情熱や

翻訳者としてのあるべき姿を見せていただいている。


昨年までは

遠田和子先生による
「日英翻訳者WordSmythの翻訳語り」

リラックスして読み始められる導入部分からの

本格的な翻訳の仕方のご解説。


まだ私の理解が追い付かない

高度な内容も多くあったのだが

なぞなぞや方言に言及された回はとても勉強になり

何度もページを開いている。


今月からは

久松紀子先生による
「エラーを拾ってクオリティ保証
翻訳校閲者のゲラの上」

という、これまた興味深いタイトルで連載がスタート。


私は校閲、というお仕事がまだわからないので

翻訳業務の流れ、その中でどのようなことをされているのか

また、先生自身のお仕事への思いなどを

これから大いに知ることができるだろうと

とても楽しみにしている。


さて、この『Amelia』は月に一度という

私にとってとても良いペースで送られてくる。

目の前の作業や雑務に追われて

日々をあわただしく過ごし、

翻訳に対する思いや学びがおろそかになってしまう

その頃合いを見計らっているかのように

『Amelia』は届き

私に渇を入れてくれる。


『Amelia』には
無料で取り組める課題文があり、

時間を空けてその解説が掲載されるので

気軽に挑戦できるのだが


無料だから、比較的短い文だからといって

決して侮れない。


毎回、

「あ~そういうことかーーーーー」

と、腹の底から唸るような声が漏れてしまう。



2年たっても、

100のうち3、くらいできるようになったか。


そんな感覚しかない。


新しい知識とテクニックが次から次へと降りかかり、

翻訳の奥深さと難しさ、自分の未熟さ、詰めの甘さ、

道のりの遠さに愕然とする。


将来の見えなさに、

恐れおののく。

ひとりで学び、立ち向かっていくのは

いつだって難しい。


そうした矢先、息子からいい学びを得た。

小学校一年生の彼には、いま冬休みの宿題として

「自分で読んだ、または読んでもらった本を10冊記録する」

というものがある。


夏休みにも

同様の宿題が出されていた。


その時に記載した本は、自分で読んだものはほとんどなく

すべて私が読み聞かせた本だったと記憶している。


最近も毎日2、3冊は必ず、彼に本を読んでいるので

だいぶ埋まってきただろう、と
彼の読書記録カードをのぞき見ると

意外にもまだ3冊。


理由を尋ねると

「自分で読んだ本だけを書きたい。」


この頃、誇らしげに

こんな分厚い本、ここまで読めたー!

と一日に何度も報告してくると思ったら。


口を小さく動かしながら

ソファに丸まって微動だにしないと思ったら。


声をかけても返事がまるでないと思ったら。
(これは前から)


自分で読んだ本だけを記録する。

そんなチャレンジを、親の私が勧めたわけでもなく

自分で設定していたなんて。


彼の中にあるのはただ、

自分ができるようになったことを喜び

その能力を満喫していること。

その挑戦を、楽しいと感じている心。

自分、すごい!と誇らしく思う気持ち。


いいものを見せてもらった。


私だって翻訳を学び始めた当初は

できたことがうれしくて、

ただそれだけで夢中だった。

来る日も来る日も楽しかった。


あの時の胸が躍る感覚。

もう一度、自分でも味わいたい。


息子の読書記録カードが完成するのが先か、

来月の始業式が先か、

やや不安は残るものの

素敵な姿を見せてくれた息子に感謝して、

私も、まだまだ。何度でも。


 


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