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これから何をしようかな。(第4話)

【前回の記事】

震災を経験し、何もできなかった事を後悔した。でも頑張ってる方々の姿に自分にも何かが出来るような気がした。そして2年間勤めたバーを卒店し考えはじめる。私に一体何ができるんだろう。

【お店を辞めた直後】

飲食店を経営するってどういう事なのか?調べ始めた。ネットは今ほど情報が沢山あった訳ではないので、本を数冊買ったような気がする。お店の家賃の事とか売り上げの事とか、借り入れのこととか…数日考えてとりあえずざっくりと目標を決めた。

400万。400万貯めて銀行から倍の800万を借りる。1200万のお金があれば、家賃20万円位の小さなお店は持てるだろう。立地は一階の路面店はマストだ。素敵な音楽の流れるバーを作りたいという案を考えていた。

この時、26歳。8月だったはず。そして私は9月6日に誕生日を迎える…。

【誕生日】

あと数日で誕生日を迎える。私は貯金する方法を考えていた。とにかく多くのお金を稼ぐ方法…

うろ覚えなのだが、当時私のお給料は25万位だったと思う。この金額ではあまり貯金はできなかった。という事は、25万を超えた金額がほぼ貯金額になるはずだ。多く稼ぐ方法は何か…。

風俗や水商売、転職、まぁ色々考えた。が、結論は長時間働くって事だった。仮説を立てる。1日に15,000円は稼げるから25日勤務で37万、月に15万くらい貯金できるだろう。2年続けたら貯金額400万が見えてくる。このペースだ!

 ・生活を変える

もう間も無く27歳になろうとしている。もし月に15万のペースで貯金ができたら、2年後には400万が見えてくる。そこからお金を借りて、お店を作っていく。もしかしたら出来るかもしれない…私は期限を決めた。

3年だ!30歳になる誕生日までに独立が出来なかったら諦めよう。でもそれまでは全力を尽くそう。たとえ独立できなかったとしても、数百万のお金はあるはずだ!ダメで元々、とりあえずこの先の2年は限界まで働く。2年だったら体はもつだろう。

そう決意した。

そしてちょうど27歳の誕生日から新しい仕事を始めて、朝から晩で働いた。1番働いていた時は朝の6時45分に出勤して22時過ぎまで、途中に休憩は30分を3回、といってもユニフォームを変える必要があり椅子に座ってゆっくりできるのはそのうちの一回のみ。食事休憩の時だけだった。私がやりたくてやってきた事だが、完全に法律違反なので詳細は控えたい。この時は時給1300円で、多い時は1日2万円以上もお給料があった。労働が8時間を越すと25%の手当てが付くからだ。

また代々木から引っ越しもしていた。逃げ道を断ち切る意味でも、今までお付き合いがあった人たちと一切連絡を取らなかったし、mixiも触らなかった。後々になってこの頃の話をすると、ゆみちゃんが急にいなくなった!と、飲み屋で話していてくれたらしい。

この頃は凄くストイックに働くことができていて、自分にこう言い聞かせていた。毎日働くのが当たり前、だから毎日2万円稼ぐのが当たり前。休みの日はお給料が無いのではなく、2万円を支払って休んでいるんだ。もし遊びに行って1万円使えば、その日は合計3万円支払った事と同じだ!

当時、私が最も稼げた額は1日に2万、月に30日なんだから60万円。ここから休みを取れば2万円支払っている。浪費をすれば更に払っていると考えていた。不器用で不健全な働き方だ。今となれば、お金を稼ぐ方法も資金調達の方法も、もっと効率の良い方法が沢山ある。だが、今から7,8年前の話。まだまだネットリテラシーは低い時代だった。

当時の最高月収は54万円くらいだった。それにしても、この頃はよく働いたなぁ。

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東日本大震災が起きたのは平成23年3月。その年の9月から私は生活スタイルを変えた。翌年の平成24年11月頃、私の口座には200万円程の現金ができていた。ここで貯金用の口座を新規作成し、本口座の預金額30万円を超える分は貯金用口座に移し始めた。25日に給与が出たら、余剰分をすぐに貯金に回した。計画通りのペースでみるみるお金が貯まっていった。

これが独立するでに必要な金銭的な面の途中経過。

【私は一体なにがやりたいのだろう。】

月に数日ある休みは、知り合いの経営者さんに会いに行くようにしていた。そして、なぜ経営を始めたのか?今後はどのような事を考えているのか?こんな話を教えてもらっていた。

いつくも為になるお話を聞かせて頂き、私の今後の参考になればと素晴らしい飲食店やバーに連れてってもくれた。この時点でもまだ私が何をしたいのかの答えには行きついていなかったが、世界を変えたいと本気で思っている人がいるんだ!そして、それを実行してる人がいる!と分かった事が1番の収穫だ。

夢や目標の話をした時にそんなの無理だよ、理想論だよ、と言う方もいる。いいんじゃない?と言う方もいる。既にもう実現させてる方もいる。どんな方が隣に(直接的な関係として)いるかで、人生の見え方は変わってしまうことを知った。私の周りにはヒーローみたいな方が沢山いた事が幸いだったんだと思う。

当時お世話になった方は沢山いるのだが、この人が居なかったら独立できなかったかも知らないなと思う方を2人紹介したい。

1人目はマンガ関係のアプリ、アルを作ってる会社のCTOである和田修一氏。nanapiの元CTOの方。

もうお一人はvivo dayly standのオーナー、鈴木健太郎氏だ。

和田氏は私のちょっと年上のお兄さんだ。代々木のバーで働いている時から知っている。彼はけんすう氏とベンチャーを立ち上げ、どんどん大きくしていった。(私が独立した後の話だが)最終的にはauとM&Aの契約を結び、見事高額で会社を売却するに至る。サービスのブラッシュアップを常に重ね、価値を追求する姿を見ていて学びが多かったし、私でも独立できるかもしれないと思えたのは彼のおかげだ。

鈴木氏は飲食店の経営者として凄く尊敬している。私が代々木で働いている時、鈴木氏の店であるvivoの2号店が代々木に出来た。(今では20店舗以上に拡大!)凄くフランクな方で、お店に行くと沢山の話をしてくれた。彼が拘っている事はコミュニティを作る事だった。なぜコミュニティが大切なのか?それを作るための店舗設計は?お料理は?値段帯は?その辺りを大変考え尽くしていて、素晴らしいお店作りをされていた。

鈴木氏から言われた言葉で今も忘れない言葉がある。私があーでもない、こーでもないとうだうだと話をしていたのだろう。

「まぁね、でもゆみちゃん。サラッとやったもん勝ちだから!」

サラッとやったもん勝ち。私の座右の銘の一つだ。この一言で、多くの無駄な話を終わらせることができる。

【コンセプトを思いつくきっかけ】

忙しく働きながらも、これから作るであろうお店の事をもやもや考えていた。震災を経験し、人から求められることが大切なことは分かり始めていた。世の中には色んなスタイルの飲食店がある事も学んでいた。しかし、私は1番何がやりたいんだろうか…多作多捨を繰り返しては決めかねていた。

 ・最近、肉じゃが食べてないなぁ。

コンセプトを思いついたきったけはこんな事からだった。

今から7年ほど前、コンビニでは真空パックされたお一人様用の肉じゃがやサバの味噌煮、豚汁などが売り出され始めた頃だった。

それを手に取って品定めしつつ…便利だけどこれ程切ない食べ方は無いなと思っていた。彼女に作って欲しい料理であり、家庭料理の代名詞の肉じゃが。ご丁寧に1人分にパウチされたのを買って家に帰り、レンジでチンして頂きますとするのか…。お一人様である事をこれでもか!と叩きつけられる。これ程切ない事はないな。

そういえば最近、肉じゃが食べてないなぁ…。なんでなんだろうか?

 ・その理由

私なりに考えた。肉じゃがを最近食べてないと感じる人は主に単身者や恋人がいない人、単身赴任の人であろう。私もその1人だ。そして、きっと朝から晩まで忙しく働いていて、外食も多いはず。

飲食店では肉じゃがを扱っているお店はそんなにない。なぜならば、家庭料理なので付加価値をつけにくいからだ。また家庭料理は味の好みも人によって様々で、その点は提供側としては扱いにくい要素だ。

ましてや最近ではコンビニでパウチに入って安く買えるようになってしまった。なおさら飲食店で高いお金を払ってまで食べたいニーズは下がるだろう。

なるほど肉じゃがを私が最近食べてなかった理由はこの辺りか。赤提灯には置いてありそうだが、私にはハードルが高くて入ってはいけない。お洒落なカフェには肉じゃがは絶対に置いていない。

この時、肉じゃがを軸に考えていたが、私が最近食べていないと感じた肉じゃがが形容していたのは、日本人が誰しもほっこりするような雰囲気の事そのものなんだと勘付いていた。

 ・コンセプトに落とし込む考察

…でも意外と飲食店で気軽にthe家庭料理が食べたい人っているんじゃないかな?そしてほっこりしたい人がいるはずだ。なぜならば私が食べたい!けど、あまりそういう店が少ないのだから、それなりの理由もあるはずだ!どんな理由だ?そして、それを成立させるための条件はなんだろう…

ビジネス街である事はマストだろう。住宅地では絶対無理だろうな!ビジネス街でやるならランチ需要も高そうだ。ビジネスマンは忙しい方たちなのだから、めんどくさく無い事にこだわる必要がある。メニューはシンプルに、提供時間は短く…

私が思う、あったら良いなこんな店!を起点として、無い理由とできる条件をどんどん書き出してまとめていった。点と点を繋げ、そして何となく一連のオペレーションが出来てきた。

次に考えるべき事は、私が考えたお店はお客様にどのように役立つのか。お客様の生活をどう豊かにできるのか、ここだ!

つづきはまた後ほど。

ここまで読んでくださってありがとうございます😊


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