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お店のコンセプトを考える。(第5話)

【前回の記事】

ある時、コンビニの肉じゃがを見て思った。最近肉じゃがを食べてないな…。この感情がこれから作るお店の核となってゆく。

【なぜ肉じゃがが気になったのか?】

独立資金を作るため朝から晩まで働いた2年間。今ではもう2度とやりたくないと思うのだが、無我夢中な時は周りが見えていないのでそれ程辛くは感じていなかった。辛さの根本は周りとの比較にあり、比較対象を身の回りから取り除いてしまえばそれは解決される。加えて無我夢中に働いた結果、どんどん溜まってゆく資金、預金通帳の残高を見る事が安定剤になっていたのかもしれない。

自己認識がそうであったとしても、しかしながら心が本当に辛さを感じていないかは別の話。土日出勤は基本的に当たり前、盆正月やゴールデンウィークも返上し働いているような生活は味気のないものになっていた。そんな時にふとコンビニの肉じゃがに手が、いや心が止まった。

 ・肉じゃがは家庭の象徴

私の場合の話だと思って聞いて欲しい。肉じゃがを食べていない事は家族との時間を持っていない事と同義だった。私は夢に向かって働くために家族との時間を犠牲にして来たのか…と、やっとこの時に気づいた。そして多分、私と同じように家族の時間を犠牲にして仕事をしてる方が沢山いるはずだと思ったわけだ。

ここで言う気がつくや思うは、単純に存在を認知しているという意味ではなく、使命感を伴う理解だった。そういう人たちのために何か出来るかもしれない。もしかしたら助けられるんじゃないかな。そして、貢献したいという思いが生まれた。

(この時点の私は与えたい!と強くて思っていた。Give & Takeが一体何なのかは独立してからより深く学んで行くことになるが…。)

 ・社会性

社会貢献、これは3.11以来ずっと分からずにいた。私に一体何が出来るんだろうか、答えが出ずにいたがこの辺りからやっと言葉になり出した。

私が最も考えなければいけないものは、どんなお店を作るかだ。私の思いが伝わるお店とはどんなお店なのかだ。そのヒントを得るため、やり甲斐のある仕事とは何かを検索した。するとこんな表が出てきた。

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(人に喜ばれることの円が、人が求めることとなる場合もある。)

なるほどな〜と、こんな簡単なメカニズムにも関わらず考えたことが無かったなぁと思いながら、それぞれに思いつく事象を書き足した。

ポロポロと書き出して行く。好きなことと得意なことは書けるのだが、喜ばれることがなかなか埋まらない。医者、教師、農家さん…すぐにはなれないようなことばかり思いつく。独立するのだから3つの円が重なるモノを探さなければ意味がないのにだ。

 ・灯台下暗し

人に喜ばれることを考える事が社会性を育む大事なステップだ。今なら分かる。

どれくらい考えただろうか…ふと、人に喜ばれることの所に「肉じゃが」と記入した。そして肉じゃがをとっかかりにノートが汚くなるくらい次々と言葉を書き出していた。やっと私の3つの円が重なりだした。

話は逸れるが、独立しお店を作った後たくさんの方とお話をした。そのたわいもない会話の中で例えば、現代社会でどんな事が問題だと思いますか?なんて話になったりする。その時に、その方の実体験に基づいた事を話される人と、まるでニュースのコメンテーターの様な話し方でごく一般的な話をされる人といる。社会的なニュースを知っている事と、ご自身の社会性が高い事とはちょっとした違いがあるもんだな感じていた。社会と自分をどれだけ繋げて見ているかを常に意識していたいものだ。

【お店のコンセプト】

沢山お伝えしたいことはあるのだが、話が長くなってしまうのでざっくりと説明したい。

 ・経営理念

経営理念は役割を待って仕事をしている人のための安息の場所を作ることだ。

24時間を二分する時、仕事かプライベートかに分ける事が出来る。(区分が難しい方もいるとは思うが)その仕事の時間に利用する為のお店を作りたいと考えていた。それは長時間労働の辛さを身をもって経験し、同じ思いの方をケアしたいと思ったからだ。

 ・企業理念

企業理念と言うほど大きな企業でも無かったが言葉にするならば、明日も戦える心と身体を養うサポートと言ったところかなと。

そもそも健康な体が1番大切だ。大人には絶対に風邪なんてひいてられない!という時期がある。もしくはピンチヒッターを頼まれる時など。いざと言う時にでも戦える体が本当に重要だ。そして、その体を動かす心もまたとても重要になる。心身共にサポートできる飲食店を作りたい。

 ・営業方針

上記の点を踏まえ…

・ビジネス街のお店

・ランチは健康的な定食を短時間で提供

・夜はお酒も飲める落ち着いた小料理屋

・面倒くさくない店を目指す

・家にいるような安心感の演出

外枠としてはこの様な事を考えていた。この時点で28歳の半ばぐらいだと思うが、今まで好きな事を何も考えずに選択して生きてきた私がやっと社会性を身につけ始めた。地に足をつけ始めたとも言えるか。

次回の記事では、実際どんなお店だったかをご紹介致します。現在、世界的に飲食店は大打撃を受けています。もう個人がどうこう出来るレベルの話では無くなってしまったので、ただただ事態の収拾を祈るばかりですが、オーナーさんや従業員の思いが詰まったお店が守られますように。




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