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はまっ子未来カンパニープロジェクト

昨日は朝から夕方まではまっ子未来カンパニープロジェクトの発表会でした。

このプロジェクトの詳細はこちらにありますが横浜市立小中学校特別支援学校が様々な企業の方・商店の方・地域の方と商品開発をしたり、環境/フードロス/防災/まちづくり/国際交流・・等々地域の課題を見つけたり自分たちがやってみたいことを実現をするというプロジェクトです。

ただ商品を開発したり、何かを生み出すこと、実現することが目的ではなく、その過程で、子どもたちが素敵な大人たちと出会い、自分の思いがけない力と出会い、自分たちだけではできないことを知り、調べれば調べるほど分からなくなる社会の様々なことの複雑性を知り、でもそれでも何が自分たちにできるかを考えたり立ち止まったり成功だけではなく貴重な失敗体験をもするようなプロジェクトです。(という私の解釈です)

うまくいかないこととの出会い、協働の必然性


毎年この発表を聞いているのですが、商品をつくる何かを生み出す何か形にしたりゴールを達成しようとすると、うまくいかないことが次々と出てくる様子が伝わってきます。

学校で学んできたこと、クラスの中で読んだり書いたり調べただけでは
分からない、できない、どうしよう・・・という瞬間がまさに大事でそのときに、誰に頼ろう?となります。そこで先生や学校地域コーディネーターの方や保護者やいろんな人がその人と人のつながりの中で「どんぴしゃな人」を見つけてきて、つなげます。(どうやってこんなどんぴしゃの人を見つけるんだろうというくらい。)

地域の農家さんへのヒアリング、企業の商品開発者へのヒアリング、地元でお店を営んでいる人へのヒアリング、スポーツチームなど知りたいことを知るためにとにかくその道のプロへのヒアリングをする。
また、「みんなのため」というのが実はふわっとしてていてその「みんな」という存在はないことを知って何故誰の笑顔を見たくてこれをしているんだろうかということを確認するためにいろんな人に出会いに行く。

また、ヒアリングだけではなく、何か実現するとき、形にするときには「相手」やその一緒に形にしてくれる人の協力が必要です。子どもたちはお願いをするために電話をしたりアポをとったり、配ったり、販売したりいろんなことをしてみるのですが、その「頼る」ときの緊張感、発表聞きながら断られたときのシナリオまで考えて学校の電話の受話器をとっている手のひらの汗が伝わってくるようでした。

批判、意見の対立、悔しい思い

中でも印象的だったのが批判されたり、子ども扱いされたり、悔しい思いをしていることです。商品開発しようと思ってもうまくいかなかったり、何か一つ要素がうまくいっても見た目が悪かったり、価格設定においてもクオリティを諦めて安くするか高くして品質よくするか真っ二つに意見が分かれたり、いろんな壁にぶつかっていることです。(真剣なところであればあるほど、その悔しさや難しさの数が多い気がします)

そのときに身近なプロの大人たちから絶妙なタイミングでの励ましの言葉に奮い立たされたり、(その道のプロはまさにその壁にあたってきた先輩だからこそのタイミングと言葉なのでしょうね)中には喜んでくれたり応援してくれる下級生や地域の方の優しさに触れて心があったかくなったりしているようでした。

発表だけでなくその過程をなんどか見せてもらったことがあるのですがその中でも印象に残っているのが、『「面白い」と言われたことが悔しかった』といっていたお子さんの言葉です。その背景をきくと「ただ子どもがつくったもの」「面白いね」という目線で扱われたことへの悔しさを語っていました。

そんな悔しさを感じるくらいまで子どもたちの中にある熱いものを引き出して、心の奥底にあるものに触れるような出会いをつくって、一人一人が自分の得意な事を活かす場面や感じ取るものがあるような場面をつくっていく先生の驚きのコーディネーション、、、すさまじいものがありました。発表でもいろんな子が輝く瞬間をつくっていてそうした場面があの子この子の自信につながるんだろうなぁとも。

「社会に出たら必要な力・・・」ではない

『社会に出たらこんな力が必要だよ』のように『社会に出たら』と何気なく子どもたちに対して大人の私たちが使っている言葉ですが、そうではなく、子どもたちは既に社会の中で大きくいろんなものを動かしているというのが
実態だと思います。このプロジェクトを見ているとその子どもたちの熱意や行動に周りの大人が突き動かされていることを実感します。

はまっ子未来カンパニープロジェクトは取り組みがまだ73校・171の取り組み(一つの学校で複数の学級や学年で取り組んでいるためこのような数になっています)で小学校では68校、中学校では3校、特別支援学校では1取組にとどまっているようですが、逆にご協力いただいた外部機関数は240団体(企業・地域・芸術家等)とのこと。一つの取り組みを進める中で、いかにいろんな人に出会う必然性が生まれたかが分かります。

なんて人ってあったかいんだろう。っていうメッセージがあちこちの発表から感じたのでそう感じる瞬間がたくさんあることが何よりの大きなこのプロジェクトのポイントだなと思う一日でした。

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