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ものそのものが語る声に耳を傾ける、人口減少期のまちづくりと発想力、まちが発酵する

認定NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ&NPO法人ETICが開催してきた「居場所づくりは地域づくり」の登壇者が一同に秋田に集まりました。3日間五城目町の居場所や地域づくりの実践を見ながら議論しながら過ごしました。一つ前の記事はこちらから。

今回は2日目にまわった4つめの場所、ものかたりについて今回レポートしたいと思います。

ものかたり

この場所は、大正期の民家を改装したギャラリーでもあり、泊まったり、ワークショップしたりもできる、使う側が表現や実験したいように使える場所(と理解しました)です。ギャラリーというと、少し敷居が高く感じますが、ここは「人の表現の場」という感じがします。

この入口だけでもぐっと惹きつけられます(街に溶け込んでいて、入り口だけ急に異空間への入口になっているような感覚)

ものそのものが語る声に耳を傾ける

ものかたりというこの場の名前が何故その名前なのか、展示されている”もの”そのものが”語る”声に耳を傾ける場であること。自由に想像できる余地=余白が感じられる空間であること、そんな思いからその名前がついているそうです。詳細はHP参照。

ねっころがりたくなるスペース。この棚にたくさんの絵本や本が並んでいました。

このギャラリーをオープンした小熊さんは、もともとこの五城目町で育ち、京都で芸術系の大学を卒業した後アートサイト直島で様々な仕事に携わった後、Uターンで戻ってきて2016年にギャラリーをオープンしたそうです。
この小熊さんが、アート的な「わかりにくさ」でこの街での新しい空間づくりをスタートさせたことがこの街にとっての一つの分かれ目だったのではないかという説明があったのですが、本当にそうなのかもしれないなと思いました。小熊さんについて詳しく知りたい方はこの記事がおすすめです。

その記事にある小熊さんの語りの中にこれからのまちづくりについてのヒントがたくさん詰まっています。

五城目町だけでなく、全国の地方で同様に起こっている現象ですが、これから人口がどんどん減少し、地域が縮小し、今までの考え方の枠組みでは維持できないことがいっぱい出てくるでしょう。そういうときに必要なのは、考え方を変えるということだと僕は思うんです。状況が変わったときに柔軟に対応できる、自由な発想力をいかに培っておくかが大事ではないかと思って。
僕自身ももっと自由に変わりたいと思っているし、子どもたちにはよりいっそう、自分で考える力や感性が必要です。

https://www.hinagata-mag.com/comehere/16720


人口減少は日本のどの街も(都市部でもその中の一部地域では急速に進んでいる)これから迎えるフェーズ。状況が変わった時の発想力を高める学びと表現。もっとお話し聞きたかった。

このこもれるスペース素敵

アートとは、美術館とはなんだろうていうこともお伺いしたときにお話ししてくださいました。よりよく生きるために人の知恵が人々の暮らしの中にある。アーティストがアーティストを生業として暮らしている人は少ないけれども、表現者はたくさん街中にいる。この場は、その表現する人が民主化していくような場だということを小熊さんがおっしゃっていました。

奥の方にこんなポストイットがたくさん貼ってありました。いろんな人たちの視点が描かれていました。

「語りを可視化していく。」

そんな言葉に、これまでこまちぷらすでも地域の「埋もれてきた語り」を葉っぱにしたこの数年道のりを思い出しました。そうか語りはアートでもあるのか、と思う時間でした。

「生まれ育ったこの街のことを初めて知っていくためのアクションとしてのこの場づくり

この小熊さんも「地域の為に何かをしたいという感じではじめたわけではない」というようなことをおっしゃっていました。どちらかというと、「生まれ育ったこの街のことを初めて知っていくためのアクションとしてのこの場づくり」という風に表現されていました。

若い人たちがどんどんチャレンジはじめて、やってみたかったを年配の人たちも言い始めたとおっしゃっていましたが、この奥ゆかしい土地柄ならではの方法で、語りやアートを通して表現が変わってきているんだということを感じました。

市とコージ


その後、小熊さんが関わりつくった新しい宿(このものかたりとは別に歩いて1分程度のところにある超素敵な宿でした)を紹介してもらったのでみんなで訪れました。名前は、市とコージ。HPはこちら

まちが発酵する

この市とコージの宿は、秋田県五城目町で16代続く日本酒蔵・福禄寿酒造とともに五城目の企業6社が共同で立ち上げた宿。「まちが「”発酵”する」とは?発酵は微生物の気ままな働きから生み出されるもの。言葉に込める意味合いは様々だと思いますが、発酵パークプロジェクトでは「人が”発酵”し、文化が”発酵”する」営みの先にあるのがまちの”発酵”かもしれない」とこちらの宿のクラファンのページに書いてありました。

人、文化、の先にまちの発酵がある。この宿は単なる宿をつくろうとしているのではなく、その発酵が起こりやすいような場をつくろうとしているんですね。

この宿の特徴は、以下の3つだそうです。

https://readyfor.jp/projects/fermentation-park_gojome  より

この街ではいろんな人が「つくり手」となることを仕掛けようとしている。そのためにアート、宿、いろんな角度からその装置をつくろうとしている。そのために1社ではできないから共同出資したりしながら場を立ち上げたり、クラファンを組み合わせながら街内外の人たちと一緒につくっている。これは一つの五城目のスタイルとして「できる」と皆さんが実感してるんだなと思いました。

空間がとにかくお洒落。


空間が薄い膜のような素材で区切られていて開放的


部屋が2つ、そしてこちらが共有空間。ワークショップとかもできる広い空間。

いろんな方が合宿したり、滞在しながら考え事したr創作している風景が広がるのが目に浮かびます。
まさに今月、これからオープン!!!とのこと。

是非こちらのホームページのぞいてみてください。

ああ、、また2日目1か所だけで1記事おわってしまった。