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【ボストン研修⑤番外編ーボストンの教育と子育て】

日本と同様、土日月と3連休のボストン。Columbus Day/コロンブス・デーといって、クリストファー・コロンブスが北アメリカ大陸を発見、到着したことを記念する祝日です。この3日間も、ボストンに住むJWLIの卒業生に会いにいき現地の様子を聞いたり、近くにあるハーバード大学見学してみたり、郊外に早朝から出かけてボストン近郊在住の日本出身のみなさまにヒアリングをさせてもらったり、現地の小学校の先生(ESLの先生)にヒアリングをさせてもらったり、人々の「恐れ」が生み出した魔女裁判の町Salem(セイラム)をルームメイトと見に行ったりと大変充実した3日間でした。山盛り課題の半分も片付けられず夜は寝落ち・・・

ボストンでの子育てと教育


さて、そんな中で私はもともとその地に住む皆さんからその日常をお聞きするということがとても好きなのですが、今回も日本にいるときに知り合いの方から(といっても大変お世話になっている方より)ご紹介いただきボストン在住の日本人とお話しする機会を郊外の「コンコルド」(Concord)という町でいただきました。本当に素敵なみなさんたちで、日本から遠いボストンにきて結婚して生きることの大変さがあったこともエピソードからたくさん想像できましたし、子育てや教育のリアル、特に特別支援教育を受けてきての感想も聞かせてもらいました


街中のお店がとっても可愛い。こちらはカフェ。日曜日の朝10時半、大にぎわいでした。

ボストン市内からUberで40分ほど。全く知らない一般の方にアプリでUberをよんでのせてもらい(呼ぶと3-5分で大体迎えにきてくれる速さ)そのまま降りると自動決済、というこのUberにも大分慣れました。

Uberで着いたのが高校。待ち合わせ場所がその高校前だったのですが、高校がとにかく広い!そして、その敷地の中に「服や靴の寄付ボックス」がどでーんと大きく道沿いにありました。こういう仕組みもあるんですね。

奥に見えるのが高校
蓋をあけると服や靴が入れられます。比較的裕福な町ですが必要性を感じて設置したのでしょう。


さて、そのコンコルドで、日本出身のボストン在住の方々(皆さん子育てをボストンでされてきた方)がちょうど集まるということで混ぜていただきました。高校の前に素敵な遊歩道があり、その遊歩道で屋外展示アートをやっていて、そのアートをみつつ散策しながら、子育てや教育のリアルを聞かせてもらいました。

屋外アート展をやっていて遊歩道歩きながら聞かせてもらいました。

お聞き出来たことの2割くらいしか書けないですが、箇条書きします。
・まず前提としてマサチューセッツ州はバブルの中。(バブルというのは、オリンピックでもバブル方式という風に言葉が使われましたが、外部と遮断されている、守られているという意味)他の州と大分異なる。
・今はアメリカ中が分断されている、2つの国になったほうがよいのではないかという話が出るくらい保守とリベラルでの価値観(中絶、同性結婚、移民などのトピックで)が異なり、歩み寄りができない。その中でマサチューセッツ州やボストンはとてもリベラルで、多様性に寛容。州によっては、「禁書」が増えていたり、保守が強い州では「進化論」すら違うと、進化論を学校で教える時間を減らすということが起き始めている。

・アジアンヘイト(アジア人を差別する)も1年半前くらいはひどかった。ニューヨークでは領事館から日本人は髪の毛を隠して歩くようにという通達が出たほどとのこと。現地の人たちもマンハッタンは用がなければいかないと、歩くのが非常にこわかったという話を聞きます。

・ということで、まず前提として州によって全く違うということ、何なら住んでいる地区(District)によって教育予算も異なるということ。なのでいろいろとボストンはこうです、と語るのはとても難しいということが分かります。教育予算も1つの地区と隣の地区でその地区の裕福さで全く変わるため、同じ公立でも全く違うという話もありました。どこに住むかということも、今は家賃が大変高騰していて、とてもシビア。若者はルームシェアしないと暮らせない状況とのこと。この経済格差がとても大きな問題とのことでした。
・また、学校のテスト結果が悪くなるからアジア系の人たちにはテストを受けさせないとか、居心地が悪くなって転校するとか、そういうこともあったそうです。その地区の裕福さ、学校の評価のありかたなど考えさせられました。

・そんな中での子育てはどうか、と聞くと・・・やはりベビーシッターと特別支援教育の充実というこの2点がとても印象に残りました。

ベビシッターについて

・ベビーシッターについて。産後2週間、1か月でほとんどの女性が復帰するため最初から2人のベビーシッターを探すというところから始まります。(1人だと1人が休むと仕事ができないため)ネイル屋さんに紹介してもらったといういいベビーシッターさんと出会い(40代くらいの方)その方にいつも子育てのことを相談していたとのこと。
・「絶対に子育ては一人ではできない」という考えのもとにみんないるので、その支援をしっかりとまわりにつくることが大事という発想です。ベビーシッターさんとは毎日顔を合わせるので親密な関係になりますね。信頼できる方と出会えるととても安心ということでした。

療育特別支援教育について

・また、療育や特別支援教育を受けてきた方がいらしたのでその支援の充実度について聞くことができました。
まず、1歳ころから発達や言葉の遅れが見つかると、いろんなテストを受け(聴覚、IQ等々)、この子に必要な支援は何かという支援計画が緻密に立てられる。週3家に専門家が訪問にきてくれて、話を聞いてくれたり、幼稚園に入ればその幼稚園での様子も定期的に見に行ってくれて、両親との月1程度の面談もあり、こどもについて一緒に話して考えてくれるそうです。
・学校でも、この子はどれだけテストは何分長めに時間をとってテストを受けてもらうか、テストのときにどんな支援をつかうかなども緻密に計画されるとのこと。日本に帰った駐在の方はその差に驚くということでした。

離乳食や学校での食事について

・逆に「食」についてはとても気楽なもので、そもそも栄養士さんが学校にいないとのこと。カフェテリアで提供されるものをつかさどる部門は「予算部門」のため、いかに残さないか(残したら予算が減る)という発想のため、栄養バランスなどほぼ無視でかなり体に悪いバランス(マカロニチーズ、パスタ、甘いアイスなどなど)だそうです。
・離乳食も身体が小さいとなると、いかに「体を大きくするか」という指導が入るとのこと。それも1歳の子にカプチーノ味のクリームをとか、チョコクリームを混ぜるとか、日本では少々信じられないような指導がありびっくりするとのことでした。
・指導だけでなく、食事については1日3食違うものをしっかり用意するとか、朝食に毎日違うものを工夫して出すいうことをすると「なんでそんなことをするの?」と不思議がられる文化とのこと。インド人も朝カレーをつくったらその日朝昼晩そのカレー。ボストンの人も、朝食はシリアルとこれとこれと毎日決まっていて、「毎日変えるなんてなんて不安なことをするの」という発言があるとのことでした。文化の違いですね。でも、日本は「ここまでしなければいけない」というのが多すぎるのも大変じゃない?という問いもありました。

習い事


・習い事についてのアジア人と欧米人(ボストンの人)の違いについても興味深いお話をお聞きしました。大体日本人やアジア人は、親が練習しなさいというモードのもと習い事をこどもたちがしているが、欧米のこどもたちはそんなことをするのは「Uncool」(クールじゃない)という発想。やりたくなければやらない、やりたいからやる。という発想のため、伸びる子は練習したくて練習を楽しんでするためすごく伸びるとのことでした。

現地に住むみなさんのたくさんのお話しを聞いて学びもありましたし、日本の子育ての状況をお伝えすると一緒になって憂いたり可能性について一緒に考えたりしてくれてとっても嬉しかったです。
こまちのクッキーをお渡ししたらとっても喜んでくださり、こういう日本のクッキーの美しい造形は力があるんだなーと思いました。

最後まで残っていた皆さんでの記念撮影


コーヒーはこんなかん感じででてきました。可愛い。


ふと頭上を見ると銃が飾ってあります

郊外の美しさとそこで聞かせてもらったリアルな話を何度も考えながら、その日を過ごしました。そしてその日にお会いした方が早速現地の学校で教える先生とつないでくれて、その日の夜、先生へのヒアリングをする機会をいただきました。(早い!)それもまたとても興味深い話を聞けたのでまた別機会に。