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京会席

会席料理を旅館でお出ししているのですが、日常食べるお料理ではないので、日本の和食ながらどんなものかわからない人も多いように思っています。もともとは茶懐石と言ってお茶から始まったお料理ですが、今お出ししているのはそれと異なった京会席と言われるもの。関西では関東と違いお醤油の味を強調するのではなくお出汁の文化です。これは水が硬水ではなく軟水だからお出汁の味がいきるということなのですが、特に会席料理やおうどんで感じられると思うので京都に来られたらぜひお出汁のお料理を味わっていただきたいと思います。

創作料理が多い中でうちのお料理は、昔の作り方や技法を生かして手間暇かけたものが多くて、作り方など聞いては感心したり職人さんと同じだなと調理人さんに思ったりしています。旬のものを先取りし、また同時に少し遅れた旬を残しつつお料理の中に季節を入れる、それが会席料理です。お料理にも出す順番があって、すべてのコースでの味の濃淡が大事なので、一品だけのお料理の味付けではないという組み立ての難しさがあります。奥が深いなと献立のむつかしさをよく思います。

春に美味しい魚は鯛や油目など、夏には鱧と季節によって食材は変わり、京野菜を使ってお出ししています。大事な席のお料理では、調理長とああでもないこうでもないと話して決めたりすることがあります。お客様の意図をお伝えして、場が少しでも素晴らしいものになればと願っているからですが、私自身勉強になることが多いです。京料理は素晴らしい文化です。美味しい笑顔を早く見たいなあと心から毎日願っています。4/24

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