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「対話」の本を書いたわけ

昨日に続き、今年6月に出版予定の「『対話』で変える公務員の仕事(仮)」のことを書きます。
前作「自治体の“台所”事情 “財政が厳しい”ってどういうこと?」は、私の本業だった自治体財政の話ですから、私が本を書くという動機づけもありましたし、書く内容もこれまでの経験から来る蓄積がありました。
しかし、私が書く2冊目のテーマがなぜ「対話」だったのでしょうか。

「自治体職員向けに『対話』の本を書いていただけませんか」
公職研編集部からこんな依頼を受けたのは昨年10月のことです。
ことの発端は2021年4月に出版される『公務員のための場づくりのすすめ』。
茨城県庁の助川達也さんがこの本を著すにあたり、同じ自治体職員である私がこれまで行ってきたオフサイトミーティングや出前講座などの「対話」の場づくりについてインタビューを受けたのです。
助川さんから白羽の矢を受け同年9月に行われたインタビューでは、これまで私が取り組んできた「対話」の場づくりについてたくさんの質問に答え、自分なりのこだわりやその成果についてお話ししました(詳しくは助川さんの著書をご参照ください)。

オフサイトミーティング「明日晴れるかな」や財政出前講座に関しては、これまでもあちこちで少し話したことがあり、お伝えできること、お話ししたいことは頭の中にある程度まとまっていたのですが、助川さんからは「オフサイトミーティングや出前講座での場づくりの経験を、その後職場でどのように生かしたのか」という問いかけがあり、そこでひねり出した言葉がこの本を書いた動機づけになったような感じです。
この助川さんとのやり取りから私の「対話」に関するただならぬ思い(笑)を感じ取った公職研編集部から改めてのご依頼を受け、筆を執ることになった次第です。

ご存じの通り、私は2012年から2016年までの4年間は、財政局財政部財政調整課の課長を務め、人口150万人(当時)を擁する政令指定都市の金庫番として福岡市の台所を切り盛りしていました。
この課長時代に、自治体の財政状況、今後の見通し、財政健全化の必要性や取り組みの方向性を福岡市の職員向けに説明する「財政出前講座」をはじめ、他の自治体の職員を対象にした「出張財政出前講座」を加え、2020年までの6年間で38都道府県を巡り、200回以上開催、8000人近くの方に参加いただいています。
2018年12月にはこの講座の内容を「自治体の“台所”事情 “財政が厳しい”ってどういうこと?」(ぎょうせい)という本にまとめ出版したところです。

その自治体財政のプロ(笑)が、この本のテーマである「対話」にどういう関係があるのか、そもそも自治体の財政課長が「対話」を語ること自体「シンジラレナーイ」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、前作をお読みいただいた方、あるいは私の講座をお聞きいただいた方ならおわかりかとおもいますが、私は福岡市で、職員一丸となって行財政改革を推進するための取り組みのひとつとして、2012年からはじめた「財政出前講座」を通じて、本庁、出先を問わず、幅広い職種、年齢の市職員と自治体財政について「対話」してきました。
同じ2012年に、勤務時間外に組織や職責を離れ自由に「対話」を楽しめる場としてオフサイトミーティング「明日晴れるかな」を開始し、すでに9年近くの間、続いています。

これらの取り組みから私が得たのは、現在私たち自治体職員が抱える様々な課題を乗り越え解決に導くうえで、「対話」が重要な鍵になる、ということでした。
私は今、全国各地からお声がけいただく「出張財政出前講座」でも、財政に関する講義だけでなく熊本県庁職員有志が開発し、今や全国に普及している対話型自治体経営シミュレーションゲーム「SIMULATION2030」を体験してもらっています。
「対立を『対話』で乗り越える」ことが求められるこのゲームは、自治体経営の困難さを体感するだけでなく職員同士あるいは行政と市民との「対話」の重要性を学ぶことができることから、自治体職員だけでなく議員や一般市民も含め大変好評で、このゲームから学び取ることができる「対話」のノウハウやその基本となる考え方についても、それぞれの自治体運営で活用してもらえるよう話しています。

さらに、昨年9月の助川さんからのインタビューで語った「その後職場でどのように生かしたのか」が加わったことで、「対話」を通じて職場のあり方、仕事のやり方を変えていける、変えていかなければというメッセージを新たに乗せ、特に私と同じ自治体職員の皆さんに、この思いを届けたいと思うようになりました。
今回、公職研編集部から「自治体職員向けの『対話』の本」という執筆依頼を私がお引き受けしたのはこのような事情によるものなのです。

※助川達也さん著「公務員のための場づくりのすすめ」ご購読はこちらから


※対話についての私のnoteマガジン「対話っていいな」


★2018年12月に「自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?」という本を出版しました。ご興味のある方はどうぞ。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
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