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毎年ハワイに行けるわけ

「毎年,一週間の連続休暇を取って海外旅行に行く」
きっと多くの方が「できたらやってみたいが難しそうだ」と思うでしょう。
ではなぜ「難しい」と思うのでしょうか。
「担当している業務の量が多い」
「いつ突発的に業務が発生するかわからないので計画的に休めない」
長期休暇の取得をためらう理由は様々ありますが,それは絶対的なものでしょうか。

また,自分の上司,部下,同僚がこんなに休んでは困るという方もおられるかもしれません。
「業務を理解している者が他にいない」
「職場の他のメンバーの負担が増えて迷惑」
「判断する上席がいないと仕事が停滞する」
休むと職場が困るという理由もそれなりにありそうですが,これも回避できないことでしょうか。

ご存じの方もたくさんおられますが,私は,2012年度以降毎年必ず一週間の連続休暇を取っています。
財政調整課長として福岡市の台所を預かった4年間,経済観光文化局の部長として福岡市の経済政策のかじ取りを任せられていた今年3月までの4年間,毎年一週間仕事を離れ,旅先で妻と二人きりで過ごす休暇は,心身の健康回復とともに互いの関係性をメンテナンスする貴重な時間で,何物にも代えがたいものでした。
しかし,皆さんは不思議に思うでしょう。重要な職責を担い多忙であるはずの私がなぜこれだけ休むことができるのでしょうか。

長期休暇やコンスタントな休暇を取得するうえで必要なのは「計画性」です。
管理職である私の場合は,休暇予定を職場で事前に明示することで,管理職の不在を前提に各担当者がそれまでの段取りを決めていくことになります。
当然,自分の職場が担当する業務の量や自分が必要とされる時期,内容の重要性や緊急性を知り,優先順位を考えながら,あらかじめ自分が仕事をしない時間,職場にいない日程をそれぞれの業務スケジュールに計画的に組み込んでもらうことが必要になります。

休暇をとる計画を立てても絵に描いた餅では意味がありません。
描いた計画を確実に実行に移すには「周囲の理解」「情報共有」が不可欠です。
来客や電話への応対,突発事案の発生など,不在時にも仕事を円滑に進めるために必要な周囲の協力を得るには,常日頃から職場の人間関係を円滑にし,休暇そのものへの理解を互いに得ておくこと,また,何かあったときに代わりに対応してもらえるよう,資料やデータのありか,処理・未処理の判別など業務に関する情報を共有しておくことが必要になります。
特に管理職の場合,判断を要する事象が発生したときのためにメールやSNS等で連絡が取り合えるよう環境を整えておくことも必要です。

私の経験則ですが,管理職が率先垂範で計画的に休むと,部下職員も自分の都合に応じた休暇を安心して取得するようになります。
誰かが休暇で不在の間,「お互い様」の気持ちを持って周りがフォローすることが当たり前に行われる職場であれば,誰かがいなくても任せ合うことができる信頼感とそれを実務で支える情報共有が行われていれば,計画的に休むことはもちろん,病気や家庭の事情等で突発的に休んだ場合でも職場は停滞しません。
常日頃から事業の進捗や状況が変化した場合の対応の方向性などを確認,共有しておき,その場にいる人に一時的な判断を任せられる“自分がいなくても回る職場”は,長期休暇取得を習慣化している私の至上命題でもあります。

もちろん,これまで述べてきたことが簡単に実践できれば苦労はしません。
用意周到に段取りを済ませ,周囲の理解と協力を得て休暇の計画を立て,その計画どおりに休暇を取れるよう日々の業務に取り組むというのは相当なエネルギーが必要になりますが,その源泉は「休みたい」という気持ちそのもの。
その思いが強くなければ,「休みたい」という思いに対して立ちはだかる様々な難関を乗り越えることができず,冒頭に述べたように「やってみたいが難しそうだ」とあきらめてしまうことになります。
では,私はなぜ8年もの間コンスタントにこの困難に立ち向かうことができたのでしょうか。

私が「計画的に休む」ことを続けられるのは,「休みたい」という気持ちを相当に強く持ち,それを実現するために障壁を乗り越えてきたからです。
人生は一度きり。
与えられた限りある時間を仕事以外のことにも使い,家族とのプライベートな時間や,オフサイトミーティング,出前講座などの課外活動も含めたバランスを大事にし,トータルで豊かな人生を送りたいという思いは,自分の人生を生きるのは自分であり,自分以外の誰かが自分に与えられた時間とタスクをマネジメントしてくれるわけではないという信念に基づいています。

しかし,私が私の人生を私らしく過ごすために始めた長期休暇取得ですが,今は少し違う思いを持っています。
おかげさまで私は休暇の間は仕事から完全に離れ,自分の人生を豊かにするために躊躇なく楽しんでいますが,トータルで豊かな人生は私だけが目指すものではありません。
私が率先垂範して休暇を楽しみ,その過ごし方を職場で共有することで,みんなが私のように自由闊達な休暇を過ごしたいと憧れてくれればそれでいい。
その「休みたい」という強い思いを集めることで,みんなが安心してそれぞれのライフスタイルに応じたワークライフバランスを保つ職場を創ることができるのではないか。
すべての仲間が私と同じように計画的に休み,自分らしい時間の過ごし方を謳歌できる豊かな人生を送ってほしい。
そう願う強い思いが,私自身が「計画的に休む」ことに今もなお挑み続ける動機の源泉となっているのだと思っています。

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