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続・持続可能性を謳うなら

子どもたちが未来に希望を持てるようにって
耳触りの良いきれいごとばかり言ってるけど
借金頼みの財政運営に持続可能性はあるの
子どもたちは本当に未来に希望を持てるの
黙ってないで正直に答えてごらんなさい
#ジブリで学ぶ自治体財政

総選挙に向けた各党の政策論争を「バラマキ合戦のようだ」と評した現職の財務事務次官の論文寄稿を枕に,昨日は私がこれまで主張してきた赤字国債頼みの財政運営への意見を再掲しました。
その中で,私が一番言いたかったことは,最後の段落で述べたことですが,昨日の論考が少し長くなったので改めて今日の冒頭に再掲します。

自分のことだけがかわいい、後のこと、他人のことなどどうだっていいという利己的な国民ばかりではないはずなのに、なぜこの「不都合な真実」からみんな目を背けるのか。

子供たちが健やかに育つよう子育てや教育に惜しみなく情熱を注ぐ親たちが、なぜ子供たちの世代に自分の借金を追わせて平気なのか。

美しい地球を次世代に遺そうと環境にやさしい行動をとることはできて、なぜ自分たちの遺した借金で首が回らなくなるかもしれない次世代の負担に対して無頓着でいられるのか。

基本的人権の尊重を国是とする民主主義国家に生きていて、なぜ将来の国民が自らの負担で自らの国家運営を賄う権利を侵害することができるのか。

SDGsがもてはやされ、持続可能性を考えないことは時代遅れだと言わんばかりの世の中で、国家財政の持続可能性については全く論じないでいられるのはなぜなのか。

これ,本当に不思議なんですよね。
政治や社会問題に無関心で,自分の生活で精いっぱいで,自分が楽しむこと,自分が苦しみから解放されることを第一に日々を暮らしている人が,自分に配られるお金のことだけに興味を持ち,その財源を借金で調達することが将来の国民を苦しめることになるということに思いが至らないのはさもありなんと思うのですが,政治や社会問題に関心があり、教育や環境,人権擁護,SDGs等々,何か世の中のために貢献したいという,利他の精神で考えて勉強したり実際に社会貢献したりしている人たちでさえ、国家財政の持続可能性への不安や懸念を抱
き,現在の国民の負担軽減のために将来の国民に与える負担を増やすべきではないという考えに至ることができないのはなぜなのでしょうか。

国の政策推進や財政運営のかじ取りを担うのは最終的にはプロの政治家ですが,赤字国債頼みの財政運営からの脱却を図るには,そのことを国民が望むものとして彼らに働きかけ,政治的な力として彼らを動かしていく必要があります。
通常,彼らの政治活動には,そのバックボーンとして各種の社会問題に携わる市民活動があり,その活動に携わる市民の意をくみ,情報を交換し,その支援を受けている政治家が大半です。
プロの政治家であれば,国の財政構造や状況については知識として知っていても,目の前の国民,市民から求められる短期的な施策の充実を実現することが自分の選挙に良い影響を及ぼすため,赤字国債のもたらす中長期的な課題について目をそらしがちだと思うのですが,数々の社会課題に関わる市民活動家の皆さんであれば,短期的な部分最適を求めることが決して将来世代から歓迎されるものではないことくらい理解できるでしょうし,そういう中長期的な視点,全体最適の視点でそれぞれの活動をされているはず。
であれば,そのことを政治家に伝え,政治家を動かすことがどうしてできないんですかね。

我々自治体職員のことを振り返ってみると,自分の担当する職務,職場の存在意義に基づき,その職場で一番近くに聞こえる市民の声を代弁し,その政策領域での部分最適を求める傾向があることは事実で,その利害調整のために財政や企画部門が奔走しているという実情はあります。
しかし,この部分最適思考は市民から行政組織としての無謬性や公平性を求められ,その期待に応えるために精緻な役割分担を義務付けられている行政組織ならではの性質であり,全体の奉仕者としての使命を担う公務員としては,自らの業務領域を超越した中長期的な視点,全体最適の視点を持てるはずですし,持たなければならない,それが公務員として当然の義務であろうと思っています。

だからこそこれまでも,我々公務員がもっと行政運営の構造を理解して全体最適を追求できるよう精進するとともに,「中の人」として市民に向けて自己を開示し,市民の行政運営リテラシーを高める取り組みを行うべきだと主張してきましたが,我々公務員のこうした日々の実践に加え,政治を動かす力としてすでに市民活動を行われている方々の力をお借りするわけにはいかないでしょうか。

政治や社会問題に何のかかわりも関心もない一般の市民であれば,まず自分のことが優先,目先のことが大事と考えることは当たり前の話で,社会全体のこと,将来のことを考えて中長期的な視点,全体最適の視点で物事を考え,政治に参加すべきだと強制できませんが,すでに数々の社会課題に携わる市民活動家の皆さんもまた,自分の興味関心のある領域の部分最適のみを求めているのだとしたら,それはいかがなものかと思いますし,そうではないと信じたいと思います。

これは市民活動に携わる皆さんから実際にお話を伺ってみたいと思いますので,もし,この記事を読まれた方で,何か意見をお持ちの方がおられましたらご意見をいただき,対話させてもらえたらうれしいです。

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/
★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
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