マガジンのカバー画像

評論等

16
硬めの散文
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

岡井隆歌集『鵞卵亭』を読んで

岡井隆歌集『鵞卵亭』を読んで

『鵞卵亭』は一九七五年、岡井隆が四十七歳の年に刊行された。あとがきには「七○年と七五年の作品のアマルガムである。」とある。アマルガムとは合金のこと。一九七○年、九州へ移住して作歌を中断したあとの「再誕」(篠弘「再誕岡井隆論」)第一冊目の歌集といわれる。六つの章、137首から成り、「鵞卵亭日乗」以降の作品が「五年間の作歌の空白ののちに詠まれたもの」(篠弘、同前)ということだ。

「浪漫的断片」にみ

もっとみる