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冨樫由美子
2019年8月24日 14:33
はじめに永井陽子の作品世界は、異界や遠い過去と交感し、魂や心をみつめる豊かな霊的世界である。本稿では、永井の短歌に表現された霊的なるものの姿と行方を追ってみたい。 過去世への憧れ 遠い過去への憧れは、まず第一作品集『葦牙』の次のような歌に現れる。 続く『なよたけ拾遺』は、「竹取物語」と加藤道夫の戯曲「なよたけ」を下敷きにした歌集タイトルからもわかるように、全体が過去世を志向しているとい