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2023年7月 読書記録

7月になって急激に暑くなり、家でひきこもる時間が増えたことによって、ちょっとだけ本を読む時間が増えた!
最近は周りにコンプレックスを感じて更にそれを感じる自分に嫌になるダメダメ無限ループに突入してたから、本の存在がありがたかった。いつまでたっても自分をまるっと肯定できない。
そのせいか自分の好みまるだしの本ばっかり読んでおりました。

『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない自分の言葉でつくるオタク文章術』三宅香帆

相変わらずとても読みやすい。2時間で読み切った。面白かったしとても参考になった!
ビジネス向けじゃない、感想の書き方を具体的に指南してくれる本って、あまりない気がするから、とてもありがたい。特に、感想って、手探りでひたすら書いている感があったから、こういう体系立てて感想の書き方を書いてくれる本は有用。


・ありきたりな言葉、本文ではクリシェと言う、を使いがちなのは、耳に痛い...というかこれが耳に痛いと感じない人はいるんだろうか。批判されたくない、変な意見を表明していると思われたくない、下手な文だと思われたくない、等様々な理由から、クリシェを使って思考停止、それを自分の思ったこと!とまとめがち。そうじゃなくて、そこから更に踏み込んで自分なりの言葉で言い表すことは意識したい。しかしどれがクリシェなのかは、定義づけが難しそうだな〜とも思うなど。
・なぜ自分は素敵だと思ったか?を考える際に、自分の体験や好きなものとの共通点(共感)または、自分の経験には無い意外性(驚き)を軸にしてみるらしい。ということは、結局は自分との向き合いという作業が必要になる。自分を知る事をしないと、ここでも躓く。感想を書くことで自分を理解していくことになるので、セラピー的な要素を兼ね備えているのでは...

『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』山内マリコ

さいっこうのお買い物記録だった!まさにこういうお買い物録が読みたかったんだ〜そうそう!
何よりイラストが可愛いし、ふわっとしたイメージ画じゃなくて、エッセイにしっかりと基づいたイラストになってる。エッセイでブルー・白・生成色のカーディガン、と評していた時にはちゃんとその色のカーディガンがイラストで再現されていた。挿絵ってそこまで再現性なくて抽象的なイメージを描いてることが多いから感動した。
肝心のエッセイも、まさに自分が求めている内容だったからか、すごく面白く読めた。ロンシャンのナイロントートにいつの間にか引き寄せられるまでの過程は、自分もロンシャンに引き寄せられたクチだから共感しまくりだし、素敵だけど好みではないコートに、ボタンを変える処置をして自分好みにするやり方には、そんなやり方あったのかあ!と勉強にもなった。
何より人のお買い物録って、とてもワクワクしてしまうんだよ〜想像を膨らませるために色や素材、何よりブランド名を出してくれたら尚好きなんだが、この本は惜しげもなくブランド名を出してくれたから、嬉しい。
特に気になったのは、筆者が本書用に書き下ろした内容になるが、登録した人でないと買えないクッキー缶のお店「村上開新堂」。紹介してもらって初めて登録でき、登録できたとしてもクッキー缶を予約できるのは一年以上先という、なんとも高いハードル。どんな味なのかとても気になる...


『ナイルパーチの女子会』柚木 麻子

面白かった〜文章が巧みすぎる。
ただ、内容が重くて読んでて苦しくて、しかし主人公たちがどうなっていくのか気になるのと、文章が上手くて、女同士のあれこれをどう表現するのか気になるから、怖いもの見たさに読み進めていたらいつのまにか読み終わっていた感覚。ギャーギャー叫びながら走ってたら、いつの間にか明るい出口に出てる、お化け屋敷のような。

女友達の歪んだ友情を表現してるのかと思いきや、もっと奥底にある、女同士の友情を阻むものを深堀りされている。

主人公の栄利子と翔子の周りにいる杉下や賢介のような男のはく"女同士って怖い"の言葉が一番不気味でおっかなかった。
栄利子や翔子が女友達が出来ないのは、女だからとか関係なくそれぞれの性格に原因がある。栄利子は無意識に完璧を求めてしまう性格と、他人の価値観を受け入れず、自分の価値観を相手に押し付ける狭量さが原因。翔子は、面倒ごとを極端に避けてしまう性格と、周りと自分を比べて落ち込んでしまい離れてしまうことが原因。
だから2人に女友達が出来ないのは、女だからとは関係ないのに、なぜか2人の周りの男は、女同士は嫉妬しあって足を引っ張り合うから、2人は女同士の輪に入れるほど強くないから、と勝手に結論づけて、女友達が出来ない2人を面白そうに見ている。
この構図って現実世界でも溢れているし、杉下や賢介みたいな男もどこにでもいるから、客観的に見るとこんなに気持ち悪いのか、と驚いた。おぞましさすらある。

話中では完全に狂人となった栄利子が、女同士の絆を阻む"もの"と戦いたいと言ってて、それが完全に真理を突いてることが、面白かった。
しかも、厄介なのは、女同士の絆を阻む原因となる男側にも優しい面があるから無下にはできないし、女同士の輪に入れない弱い女とその女を庇う男、という構図に安心できる要素があること。翔子はまさにこの構図で満足している。だから、女同士の絆を阻むのは何も男だけじゃない。それが良くわかる。というのも、栄利子がその阻む"もの"について語り、翔子と一緒にその"もの"と戦いたい、と言っているのに、翔子は理解しているのにまるでその気がないし、賢介の側で庇護されながら安心したい、と願っている。語る栄利子側にも大いに問題がある。思い込みは強いし、翔子を脅迫して親友というポジションを手に入れようとしているし。
だから、その阻むものに対抗しようとするのにも、前提条件が揃わないと難しいんだなと思う。


以上!

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