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島バナナの絵がくれたもの
絵を買った。
大阪出身で、現在は沖縄に移住しているという作家さんが描く、島バナナの絵だ。
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この絵を買おうと言い出したのは夫だった。夫は普段、シャツやパンツを穴が開くまで履き続けるような男で、買い物に行くと散々迷って結局買わないことが8割くらいある。
そんな彼が、この絵を見て「欲しい」「素敵な絵だ」と言う。たまたまランチに行ったお店でやっていた展示だったのだけど、おいしい食事を食べている間も、彼の頭は絵のことでいっぱいそうだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1646728128490-DVRoZkU1WV.jpg?width=800)
「そんなに気になるなら買う?」
多分買わないだろうなと思いつつ、聞いた。すると夫は少し黙って「買っちゃおうか」と言った。驚いて目を見開く私に、「こっちの島バナナとあっちの島バナナ、どっちがいいと思う?」と聞く。えー!びっくり。買う気満々なのか。珍しい。
![](https://assets.st-note.com/img/1646728227294-GFpLcTPVjF.jpg?width=800)
結局「これを選ぶだろうな」と思った方を案の定選び、絵を買った。私たちにとって、決して安くはない買い物だった。だけど買った後の夫はとても嬉しそうで、それが私はとても嬉しくて、今はその絵が届くのが毎日の楽しみだ。きっと届いたら、その絵を見るのが毎日の楽しみになるだろう。
展示は「スキなものをスキだ!と叫んで生きていきたい展」というネーミングで開催されていて、この絵を描いたMEGU WAZOUSKIさんのInstagramを覗いてみると、こんなメッセージが書かれていた。
誰のためでもない
自分のためだけにしてること
そんな絵が
誰かのココロを動かせたら
そんな幸せなことはないなと思う。
「好き」が放つエネルギー。それに惹かれた夫がいて、それによろこんだ私がいて、その絵が近々、わが家に届く。そんな幸せなことはないなと思う。
夫は今日も、ボロボロのパンツを履いている。自分ではなく家族のゆたかな時間にお金を使いたがる彼がとても愛しくて、島バナナの絵がある暮らしが今とても待ち遠しい。
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