見出し画像

早く読むより覚えたい。素直にシンプルに読書が楽しくなる術を知る本「読んだら忘れない読書術」


むかしから「やる目的がよく分からないことをやる」というのが苦手だった。

かつてエステシャンだった頃、上司から「上司より先に帰るな」と言われたことがあるが、自分の仕事はすでに終わっていて、手伝うこともないと言われた末に残る意味がわからなかった(と、バカ正直に言って怒られた)。

それよりも早く成長したいという気持ちがいつも勝った。出世できなくても上司から嫌われても、一刻も早く帰宅して本を読みたい。周囲にいる誰よりも仕事ができる人間になりたい。上司の顔色を伺って帰宅時間を遅らせることを受け入れてしまうと、自分の望みは叶わないと思った。いま思うと感謝の気持ちが足りなかったなとか言い方を考えろとか、反省や恥ずかしさが浮かび上がってくるのだが、当時はとにかく焦っていたので反発がむき出しだった。

歳を重ねて振り返ると色々と反省するものの、だけど根本は変わらない。結局、当時の「上司より先に帰るな」に対して放った、生意気な「なぜ」の回答に納得できなかったときのままだ。いまも納得できないことをやることには抵抗がある。

そんな人間にとって、自己啓発本を選ぶとき「この著者の言葉を素直に聞き入れることができるか」という点は、非常に重要なポイントとなってくる。

 我ながら面倒な人間だと思うが、頑固なくせに変わりたい。なにかに影響されて自分の悪いところにもっと気づきたいし、自分の可能性にも気づきたい。だから本を読んでいる。納得できて素直になれて、教えてくれる本になるべく多く出会いたい。

そんなツボに見事はまってくれたのが、樺沢紫苑先生の本シリーズ。樺沢先生の本が頑固者に適していると思う理由は3つある。

①精神科医としての知識と照らし合わせているため、根拠がしっかりある
②著者自身が実際に納得し、実践し、目に見える結果を残している
③著者が読書家なので、1人の意見ではなく様々な本から得た見解がある

「とはいえ〜」「ほんとかよ」みたいなツッコミが読書中にひとつも湧いてこないのは気持ちがいい。湧いたとしても文中に必ず説明があるのがうれしい。(○○だと思う人もいるかもしれない。だがこんな実験がある。〜というような)

ということで、今月に入ってすでに3冊目になる今回の樺沢先生本は「読んだら忘れない読書術」(※このブログは2020年4月の記事をリライトしています)

わたしはこの本を1日半で読み切ったのだが、読んでいる途中からこの本そのものの読書が楽しくて楽しくて仕方がなくなった。

終わったころには「はやく試したい」「はやく本を読みたい」というモチベーションでいっぱいだったし、なんならいくつか手法を試しながら読んだので、読み終わった頃には軽く読書力がレベルアップしていた。

樺沢先生の本の好きなところは、この本であれば「選び方」「読み方」「向かい方」「弱点対策」「覚え方」など、ひとつのテーマに内包されるあらゆる要素を網羅的にわかりやすく記してくれている点だ。

たとえばこの本を読んで1年たった今も実践している「広げる読書」と「深める読書」の使い分け。広げるための一冊にするのか深めるための一冊にするのかで、選び方や読み方(しっかり読み込むのか要所要所のみを抜粋して読むのか)を分ける。

また、「長所伸展」と「短所克服」どちらを目的とする本なのかを明確にすること、という指南もかなり有効だ。長期伸展は難易度の高い本や応用編を選び、短所克服には入門書を選ぶことができるようになった。(これがずっとできなくて、途中で売った本が何十冊あったことか...!)

一定期間に同ジャンルを読む「固め読み」が記憶に残るという話も、実体験を持って参考になっていると断言できる。(しかしこの「固め読み」「長所伸展」など、必殺技みたいな言葉でまとめてくれるのも非常に読みやすくて助かる)

所々で影響を受けた本の話や本を引用した言葉が現れるので、どこか「樺沢紫苑流読書の集大成」である感じもお得感がある。面白い文章を書く人がどんな本をどう解釈し、どこに影響を受け、どんな風に取り入れたのかを知ることは、ライターとして勉強にもなるのだ。

書きながら気づいたけど、わたしが読書本が好きな理由はこの辺にもあるかも。しれっと、好きな著者のおすすめ本が知れるのもだいぶ嬉しい。

ちなみにわたしはこの後、読書術にまつわる本を6冊くらい読んだが、価格の倍以上役に立ったと思った本は、本書と名越康文さんの「良質読書」だけである。

読んだら忘れない読書術を読む際は、「ムダにならない勉強法」と「神・時間術」3つセットで読むのが一番おすすめ。樺沢3点セットを読んだ後の「良質読書」が私的に最高な流れ。ご参考までに。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?