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Web編集者の読書癖

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本がないと生きていけない。
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2021年4月の記事一覧

一生読んでいたい「うたうおばけ」は、大きな物語に流されずに人生を楽しむための本

本を読み終わったあと、泣いた。 わたしは人一倍涙もろいので、本を読んでもドラマを見ても、ときにバラエティを見ていても泣く人間ではあるのだけど、そうじゃなくて、いつもの涙とは別の種類の涙が自分の目の中に溜まって、流れたのが今日だった。 今日まで読んでいた本は、涙を誘うような起承転結とか、ドラマみたいに努力が叶ったり熱い友情が芽生えたりとかはなくて、いじわるな悪役も出てこなければ、なにかをのり越えて成し遂げたりもしない。ただ、ただただ日常を綴った本だった。 そしてただただ日

なにかを「持つ」人になるということ

「お金持ち」という言葉に胡散臭さを感じるようになったのは、いつからだろう。 子どもの頃「お金持ち」という言葉は、まるで将来の夢に設定するにふさわしいような、憧れるべき言葉だと思っていた。 だけど大人になった今「お金持ち」という言葉に、なにか悪いことが隠されているような胡散臭さを感じるのはなぜだろう。 とにかくわたしは「お金持ち」という言葉自体に拒絶反応があった。だけど先日、自分の足で探したならば絶対に選ばなかったであろう本を買った。 告白すると、著者の富塚あすかさんは

巷でうわさの「ライター殺しの本」

わたしはあまり文章術の本を読まない。 ライターなので普通の人よりはおそらく読んでいると思うけれど、年間50冊本を読んだとして、文章術の本は年に1冊読むかどうかくらいだ。 読まない、というより選ばない、が正しいかもしれない。改めて文章術の本を読むよりも、あらゆる「いい文章」を読み、なにかを自分自身が感じ取っていければ、それが最短の文章上達法なのではと思っているからだ。 だけど、そんなわたしも、最近文章術に特化した本を読んだ。この本だけは素通りできなかった。 素通りできな