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【京都大学2021年度前期入試数学(文系)第4問】素朴な空間図形問題

第4問は空間図形の問題ですが、さほど空間図形の知識は必要ないと思います。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

問題

空間の8点
  O(0, 0, 0), A(1, 0, 0), B(1, 2, 0), C(0, 2, 0),
  D(0, 0, 3), E(1, 0, 3), F(1, 2, 3), G(0, 2, 3)
を頂点とする直方体 OABC-DEFG を考える.点 O,点 F,辺 AE 上の点 P,および辺 CG 上の点 Q の 4点が同一平面上にあるとする.このとき,四角形 OPFQ の面積 S を最小にするような点 P および 点 Q の座標を求めよ.また,そのときの S の値を求めよ.

解答解説

まず、点 P の座標を (1, 0, t) とおく。ここで 0 ≦ t ≦ 3 である。ベクトル →(OP) = (1, 0, t) は →(OF) = (1, 2, 3) と平行にはならないので、P は直線 OF 上には存在しない。よって、t の値が定まれば 3点 O, F, P 上を通る平面が一意に定まる。この平面を l と呼ぶ。点 Q は平面 l と 辺 CG の交点である。

また、長方形 OAED と長方形 FGCB、長方形 OCGD と長方形 FEAB はそれぞれ平行であるので、OP と FQ、OQ と FP はそれぞれ平行であり、四角形 OPFQ は平行四辺形である。よって、S は△OPF の面積の 2倍である。

ここで、(△OPFの面積) = (S/2) = (1/2) PO × PF sin ∠OPF すなわち S = PO × PF sin ∠OPF であることに注意されたい。したがって、S^2 = (PO)^2 × (PF)^2 sin^{2} ∠OPF = (PO)^2 × (PF)^2 { 1 - cos^{2} ∠OPF } = (PO)^2 × (PF)^2 - (→(PO)・→(PF)) である。

この辺り ↑ の処理は基本なので覚えておいてください。

さて、O(0, 0, 0), P(1, 0, t), F(1, 2, 3) であるので、→(PO) = (-1, 0, -t) かつ →(PF) = (0, 2, 3 - t) である。よって、(PO)^2 = (t^2) + 1,(PF)^2 = (3 - t)^2 + 4,(→(PO)・→(PF)) = -t (3 - t) である。

これらを S^2 の式に代入すると、S^2 = {(t^2) + 1} × {(3 - t)^2 + 4} - (t^2)(3 - t)^2 = 4(t^2) + (3 - t)^2 + 4 = 5(t^2) - 6t + 13 = 5 × {t - (3/5)}^2 + (56/5) であるので、t = 3/5 であるとき S^2 は最小値 56/5 を取るので、S は最小値 √(56/5) = 2√70/ 5 を取る。

このとき、P(1, 0, 3/5) であり、 四角形 OPFQ が平行四辺形であることから →(OQ) = →(PF) = (0, 2, 12/5) であるので、Q の座標は (0, 2, 12/5) である。

感想

この問題も理系の受験生であればそつなくこなしてほしい問題ですが、文系の受験生には難しい問題だったかもしれません。

しかし、図を描いてみると四角形 OPFQ が平行四辺形であることがおそらく分かります。分かれば方針は立ちやすいので、何とか解いて欲しい問題だと思います。

S^2 に一瞬、4次の項が出てきますが、相殺されて2次式となりますので、扱いは簡単ですし、使われている手法はよく知られたものであり、典型的な問題です。

とはいえ、第3, 4問は第1, 2問とは違い、明確に受験生の間に差をつけようとしている問題だと思います。次の第5問も含めて、どれくらい取れたかが合格のカギを握ったと思います。

さて、第5問はすでに紹介済みですので、以下を参考にして下さい。


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