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【京都大学2021年度前期入試数学(文系)第1問】ホントに教科書の演習問題レベル

京都大学の理系の問題が全問終わりましたので、引き続き文系の問題を取り上げたいと思います。最初の問題は基本問題演習です。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

問題

次の各問に答えよ.

問1 10進法で表された数 6.75 を2進数で表せ.また,この数と 2進法で表された数 101.0101 との積として与えられる数を 2進法および 4進法で表せ.

問2 △OAB において OA = 3,OB = 2,∠AOB = 60° とする.△OAB の垂心を H とするとき,→(OH) を →(OA) と →(OB) を用いて表せ.

解答解説

理系と同様、全くの別分野の基本問題が2問、組み合わされた小問集です。

問1は何を試したいのでしょうか。よくわからないですが、言われたとおりに 6.75 を 2進法で表すと、6.75 = 4 + 2 + (1/2) + (1/4) なので、110.11 となります。

真面目に解き方を説明しておくと、整数部分は2で割った商と余りに分けて、商をさらに2で割って商と余りに分けて、を商が 0 になるまでくり返し、出てきた余りを下位ビットから並べればおしまいです。

今回は 6 なので、6 を 2 で割って 3 余り 0、3 を 2 で割って 1 余り 1、1 を 2 で割って 0 余り 1、でおしまい。あとは出てきた余りを下位から並べると 110 です。

小数部分は、2倍したときの整数部分を最下位ビットに書き、小数部分は 0 でなければ同じことを繰り返します。

今回は 0.75 なので、0.75 を2倍して 1.5 なので、最下位に 1 を書いて、0.5 を 2倍します。すると 1 となるので、最下位に 1 を書いて、小数部分が 0 になったのでおしまい。

なので、110.11 となります。

次はかけ算。2進法で 110.11 × 101.0101 を求めると次のようになります。

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したがって、2進法では 100011.110111 となり、これを4進法に直すには小数点を基準に2ビットずつに区切って直せばいいので、4進法では 203.313 となります。

問2は点 A から直線 OB に下した垂線の足を N と、点 B から直線 OA に下した垂線の足を M とおくと、三角形 OMB は∠M が直角の三角形で、斜辺 OB = 2 なので、OM = OB cos 60° = 1 となり、三角形 ONA は∠M が直角の三角形で、斜辺 OB = 3 なので、ON = OA cos 60° = 3/2 となります。

ということは、→(OM) = (OM/OA) →(OA) = (1/3)→(OA)、→(ON) = (ON/OB) →(OB) = (3/4)→(OB) となります。

H は直線 AN と BM の交点であるので、ベクトル→(OH) は実数 s, t を用いて次のようにおけます。

→(OH) = s →(OM) + (1-s) →(OB) = (s/3) →(OA) + (1-s) →(OB)
→(OH) = t →(OA) + (1-s) →(ON) = t →(OA) + (3(1-t)/4) →(OB)

→(OA) と →(OB) は平行でないことから、それぞれの係数は等しいので、(s/3) = t と 1-s = 3(1-t)/4 が成立し、2式から s, t を求めると、s =1/3 , t = 1/9 となります。

これを上式に代入して、→(OH) = (1/9) →(OA) + (2/3) →(OB) となります。

感想

試験開始 10分で終わらせましょう。それがこの問題の全てです。

ひとこと言わせてもらうならば、問1はある意味で算数です。数学ではありません。単純に計算問題なので。

私は情報系の人間なので、上記の通りに 2進法のままで計算するし、2進法から 4進法への変換もビットを区切っておしまいです。これでバツをつけられる筋合いはないと思っているのですが、数学の先生はどのように採点するのでしょうか?

そのあたりの基準が分からないので、簡単であるというだけではなく、不用意であるという点でも駄作であると言わざるを得ません。

問2については次のように解く方法もあるかと思います。

→(OA) と →(OB) は平行ではないので、→(OH) = s →(OA) + t →(OB) とおくことができ、H は垂心であるので、→(OH)・→(AB) = 0 かつ →(AH)・→(OB) = 0 が成り立つ。

→(AB) = →(OB) - →(OA)、→(AH) = →(OH) - →(OA) = (s - 1)→(OA) + t →(OB) であり、→(OA)・→(OB) = 3 × 2 × cos 60° = 3 であるので、
・→(OH)・→(AB) = 3s - 9s + 4t - 3t = t - 6s = 0 すなわち t = 6s
・→(AH)・→(OB) = 3(s - 1) + 4t = 0 すなわち 3s + 4t = 3
が成り立つ。

これを解くと、s = 1/9、t = 2/3 となるので、→(OH) = (1/9)→(OA) + (2/3)→(OB) が得られます。

この方法だと →(OA) と →(OB) の内積が与えられれば求められるので、こちらの方が汎用性は高いかもしれません。

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