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【東京大学2021年度入試数学(文系)第1問】正面突破の極大値・極小値問題

東大(理系)の数学が終わったので、次は東大(文科)の問題を取り上げます。

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東京大学 安田講堂
2016年12月24日、 Kakidai撮影、Wikipediaより

問題

a を正の実数とする。座標平面上の曲線 C を y = ax^3 - 2x で定める。原点を中心とする半径 1 の円と C の共有点が 6 個であるような a の範囲を求めよ。

解答解説

まずは素直に y = ax^3 - 2x を円の方程式 x^2 + y^2 = 1 に代入してみます。x^2 + (ax^3 - 2x)^2 = 1 すなわち (a^2)(x^6) - 4a(x^4) + 5x^2 - 1 = 0

この x の 6次方程式が 6 つの異なる実数解を持つ条件を求めればよいので、調べてみます。増減表書いて何とかならないかなぁ…と。その前に f'(x) = 0 の解が求まるかが焦点でしたが。

f(x) = (a^2)(x^6) - 4a(x^4) + 5x^2 - 1とおいて、f(x) を x で微分すると f'(x) = (6a^2)x^5 - (16a)x^3 + 10x = 2x {(3a^2)x^4 - (8a)x^2 + 5} = 2x {(3a)x^2 - 5}(ax^2 - 1) が得られます。すばらしい!

a = 0 のとき f'(x) = 10x であり、f'(x) = 0 となるのは x = 0 のときのみであり、x → ±∞ のとき f(x) → +∞ であり、f(0) = -1 < 0 であることから、f(x) = 0 はちょうど2個の実数解しか持たないことがわかります。よって、円と C の共有点の個数もちょうど 2個となります。

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a ≠ 0 のとき、f'(x) = 0 となる x を求めると、x = 0 かつ (3a^2)x^4 - (8a)x^2 + 5 = 0 から x = 0, ±√(5/3a), ±√(1/a) のとなります。

増減表を書くとわかりますが、f(x) = 0 が異なる 6 個の実数解を持つための必要十分条件は、f(±√(5/3a)) < 0 かつ f(±√(1/a)) > 0 (かつ f(0) = -1 < 0)となることなので、そのときの a の条件を求めます。

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f(±√(5/3a)) = (a^2)(5/3a)^3 - 4a(5/3a)^2 + 5(5/3a) -1 = (125 - 300 + 225 - 27a)/(27a) = (50 - 27a)/(27a) < 0 より a > 50/27

f(±√(1/a)) = (a^2)(1/a)^3 - 4a(1/a)^2 + 5(1/a) -1 = (1 - 4 + 5 - a)/a = (2 - a)/a > 0 より a < 2

以上のことから 50/27 < a < 2 となります。

感想

ちょっとごつごつしているように見えるかもしれませんが、実際には正面突破で計算すると楽でした。f'(x) は5次式ですが上記の通り簡単に因数分解できます。見かけにごまかされないことが大事です。

上記の方針は真っ先に考えることだと思うので、だまされなければ多くの受験生がこの方針で解くことが出来たのではないかと思います。

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