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【京都大学2020年度前期入試数学(理系)第1問】3次方程式の解と複素数平面上の正三角形

(注) 何故か途中で解答が途切れていました。ですので、加筆修正を行います。(2020/11/18現在)

最初の問題は複素数平面の問題とも解と係数の関係の問題とも言えます。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

[問題] a, b は実数で,a > 0 とする.z に関する方程式
       z^3 + 3az^2 + bz + 1 = 0              (*)
は3つの異なる解を持ち,それらは複素数平面上で一辺の長さが√3 a の正三角形の頂点になっているとする.このとき,a, b と (*) の3つの解を求めよ .

この問題は方程式の常識と正三角形の常識を思い出せれば難しくはないと思いますが…

まず、(*) の解を z1, z2, z3 とおきましょう。また、(*) は実数係数の方程式であるので、少なくとも1つの実数解を持ちます。ですので、一般性を失うことなく z1 を実数解と仮定します。

実数変数 x の方程式 f(x) = x^3 + 3ax^2 + bx + 1 に対して、x ≠ 0 のとき f(x) = x^2 (x + 3a + (b/x) + (1/x^2)) であることから lim_{x→+∞} f(x) = +∞ かつ lim_{x→-∞} f(x) = -∞ であるので、f(x) = 0 は実数解を持ちます。

また、解と係数の関係より
・z1 + z2 + z3 = -3a     (1)
・z1z2 + z2z3 + z3z1 = b   (2)
・z1z2z3 = -1        (3)
が成立します。

z1, z2, z3 が表す複素数平面上の点を X, Y, Z とおいておきます。

(1) より (z1 + z2 + z3)/3 = -a であるので、正三角形XYZ の重心G を表す複素数は -a となります。

重心から各頂点までの距離を R とおくと、正三角形の一辺の長さが √3 a であるので、余弦定理より 3a^2 = R^2 + R^2 -2R^2 cos 120° = 3R^2 すなわち、R = a > 0 となります。

z1 は実数であるので、z1 = -a ± R すなわち z1 = -a + R = 0 もしくは z1 = -a - R = -2a となりますが、(3) より z1 ≠ 0 であるので、z1 = -2a となります。

さて、ベクトル GX を複素数で表すと -2a - (-a) = -a であるため、ベクトル GY と GZ を複素数で表すと -a × (cos 120° ± sin 120°) = -a × { (-1/2) ± (√3/2) i } となります。

したがって、z2 と z3 は -a - a × { (-1/2) ± (√3/2) i } = a × { (-1/2) ± (√3/2) i } となります。(複号逆順って言葉はありますかね?)

z2 × z3 = a^2 × { (1/4) + (3/4) } = a^2 となるので、(3) より -2 × a^3 = -1、すなわち、a= 1/2^{1/3} が得られます。

さらに、(2) から b = z1 × (z2 + z3) + z2z3 = (-2a) × (-a) + a^2 = 3a^2 = 3/4^{1/3} が得られます。

また、方程式の3つの解 z1, z2, z3 は -4^{1/3},  (-1 ± √3 i)/(2×2^{1/3}) となります。

特に難しい問題ではないと思いますが、変に難しいことを考えると泥沼にハマってしまうかもしれません。

実数係数の3次方程式の3つの解が複素平面上で三角形になることから実数解+共役複素数であることが分かれば、あとはどうとでもなる問題だと思うので、あとは効率よく処理することが求められる問題だと思います。

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