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【東京大学2021年度入試数学総評】

全問公開しましたので、最後に全体的な話をしたいと思います。

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東京大学 安田講堂
2016年12月24日、 Kakidai撮影、Wikipediaより

あくまで私の相性ということになると思いますが、理系に関しては今年の問題は昨年より難しかったと思います。手が付けられないというよりも、解くための時間を要しました。特に、第3問と第4問は時間的に厳しいと思います。

まず、各問の難易度について触れておきます。

東大の数学(理系)の解答時間は2時間半=150分、大問は6問なので1問平均25分となります。

この解答時間(小問の場合は25分を均等配分)を基準として
A = 20分以内で完答可能(時間内に余裕で解ける)
B = 25分前後で完答可能(ちょうどくらいの時間で解ける)
C = 30~40分で完答可能(時間が少しかかるけど解ける)
D = 完答可能だが手を出すのは得策ではない(大幅に時間をオーバー)
E = そもそも完答するのが難しい
という形で難易度を表現すると、私の主観では以下の通りです。

第1問. 全体 A~C (人によって大きく評価が分かれる), (1) A, (2) A~C
第2問. 全体 A, (1) A, (2) A
第3問. 全体 C~D, (1) A, (2) C~D
第4問. 全体 C~D, (1) A, (2) B~C, (3) C~D, (4) A
第5問. 全体 A, (1) A, (2) A
第6問. 全体 B~C,  (1) A, (2) A~C, (3) B~C

もしこの問題セットで全問完答するとしたら、第1, 2, 5問をサクッと1時間以内に終わらせて、第6問もできれば20分程度で終わらせ、残りの2問を30分ずつで解き終える感じになるかと思います。

これは相当にハードルが高いと思います。

頭の回転だけでなく、かなりの記述力も必要となるので、簡単には達成できないと思っていいでしょう。

もし6割を目指すのであれば、まずは第2, 5問を落とさないこと。この2問は確実に取らないとダメです。次に第1, 6問のどちらかを完答したい。これで5割は確保したいです。

あとは、部分点狙いで第3(1), 4(1), (4)問と、第1問と第6問で完答しなかった方の (1) を落とさないこと。これらも簡単なので、確実に取りたいです。

でも、実際に本番でこの問題をやってみると、想像以上にできないかもしれません。

ただし、どの問題を取るべきかはわかりやすいので、変な問題につかまって時間を取られることはないと思います。すぐに難易度が分かる。その意味で素直な問題だったと思います。

文系についても各問の難易度を評価したいと思いますが、1問当たりの解答時間は理系と同じなので、同じ基準で評価してみました。

第1問. 全体 A
第2問. 全体 A, (1) A, (2) A
第3問. 全体 A~C (人によって大きく評価が分かれる), (1) A, (2) A~C
第4問. 全体 C~D, (1) A, (2) B~C, (3) C~D, (4) A

ただし、理系である私の見立てであるため、文系の受験生から見たら厳しめの評価かもしれません。といっても、第1, 2問はせいぜい B です。第3問は文系の学生から見たら C よりの B~C なのかなという気もします。

ということで、もしこちらで6割を取ろうと思ったら、第1, 2問は完答、第3, 4問で部分点を狙うことになると思います。特に、第3問 (1)、第4問 (1), (4) は取りたいところです。 

文系の皆さんにとっての鬼門は、第3問の難易度を見誤ることかもしれません。この問題は一見すると難しくはなく、実際に受験生によっては易しいのですが、(2) は方針が浮かばないと全く前に進めなくなるので、そこで時間のロスをする可能性があります。

ただし、大問4つが難易度順に並んでいて、最初の2問も見るからに易しい問題ですので、この心配は杞憂かもしれません。

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