「屠」(凋叶棕)の考察。夢を追ったその結果(おぞましさside)

「屠」(凋叶棕)では表面的には「死」を描いている曲が多いです。このCDで描かれているテーマは「夢を追った結果、うまく行かなかった世界」だと考えています。例えば新しい研究開発だとか、起業だとか、イノベーションとか。

一方で、「徒」(凋叶棕)は「夢を追って、道中大変だったが、結果成功した世界」だと考えています。ある意味「屠」と「徒」は裏表の関係にあるとも言えましょう。そちらについても記事を作成しました。

「徒」(凋叶棕)考察。夢を追って畏れられるまで(素晴らしさside)

私の考察は曲自身は踏まえていますが、東方原作には余り触れていません。実際創作は届く人の心に強く響くのが良い創作だと思ってます。そのあたりを書いたこちらをみてから読み進めてください。

修羅場にあった人の心を大きく動かすには。

各曲ごとの描像は下記のようなものではないかと思います。またいくつかの曲はページを設けてあります。

Ⅰ.始まってしまった物語

タイトルのみで語ってる曲です。平和に「籠の中の鳥」として生きていければよかったのに。あるいは、順調に行けばいいのに。やったふりだけして自分の与えられたことだけして、よその事情でうまく行かないと仕事したふりをしてればよかったのに。ですが、惨劇が「始まってしまった」

Ⅱ.幽明境を分かつこと

西行法師の和歌がベースになっています。「夢を追った結果、うまく行かなかった世界」のテーマと照らし合わせると例えば特攻隊のような、自分が犠牲になってその結果何か成果を得られることを模索するという話かもしれません。

夢を追ったプロジェクトがうまく行かなかった。せめて自分がいなくなり、自分の身を躯にしてでも花を咲かせてほしい。

ただし少し強引ですし、いい文章にならなかったので仔細までは述べません。

Ⅲ.ハロー!フォゴットン・ワールド

タイトルのみで意味を語ってる曲です。この曲の惨劇はあくまで夢のような忘れ去られた世界に挑んだ結果の結末。「徒」『ロストドリームジェネレーションズ』の小さな幻想は誰にも着目されず忘れられている世界でもありますからね。

Ⅳ.ブラック・ロータス

大言壮語を言って夢を追い始めた。だけど想定通りにうまく行かなかった。そこで、生きるため、続けるために追い詰められて、してはならなかったことをしてしまった。

Ⅴ.Supernatural Encounter

タイトルのみで意味を語ってる曲です。超自然との出会い。今までわかっていることを自然とするのなら、自然科学で夢に挑むということは、今までの自然を超える超自然と向き合うこと。

Ⅵ.from the corpse to the journey

夢を追ったがうまく行かなくて今までやってたことから離れてしまった。だけど気持ちを変えて新しい道を歩もうよ。

Ⅶ.それいけ針妙丸 ~巨人との戦い~
Ⅷ.心強きもの
Ⅸ.怪奇!人形の館 迷い込んだ男の運命は
Ⅹ.too late for
ⅩⅠ.げんきになったときのうた
ⅩⅡ.しあわせのことば  

この6曲はおそらくセットです。

自分より大きなものに挑んでいった『それいけ針妙丸 ~巨人との戦い~』
実際心は強かった『心強きもの』
だけど怪しい世界に迷い込んでしまい『怪奇!人形の館 迷い込んだ男の運命は』
気がついたときにはもう遅かった『too late for』
はじめはちやほやされていたが危険に気づけずに転落したということだった 『げんきになったときのうた』
これからどうしようと誰かと心中することになった『しあわせのことば』

ⅩⅢ.そして肥大する物語

タイトルのみで意味を語ってる曲。他所では夢のような物事が実現しているらしい。自分たちのもとでも生まれるはずだ!探せ!探してそいつを縛り付けろ!欲望だけが肥大する。

ⅩⅢ.墓標

夢を描き努力をしていったが実らない世界。自分の弱さも有り、周りの環境もあるでしょう。実に恐ろしい世界。それから去る事によって僕は勝ったのだ!

ⅩⅣ.葬迎

『墓標』で夢を追う世界から去っていった人に対して、再び夢を追う世界に帰ってこいよという曲。ただし声を掛ける人が得をすることしか考えていない。

このように、「屠」はなにか夢を追ったがやめてしまうことに関連する描像とすると、関連付けられる曲が多いのがわかると言えると思います。よって夢を追ったがうまく行かなかった世界を描いています。

いいか、お前のやったことは忘れないからな。
絶対に逃がさないからな。
たとえお前が何をしたか忘れたとしても。
僕たちは忘れないからな。
どこまでだって、追いかけてやる。
そうして全部、元通りだ。

この「やったこと」は一見なにか恨みを買うようなことをしでかしたように見えます。だけど「夢を追うためになにか努力したということでしょう」。他人から見たら他人が努力してくれて上前をはねれば楽して儲かりますから。都合の良い存在。

努力をして報われればいいのですが、実際は様々な要因でうまく行かないことが多いです。だから『墓標』で「こんなものやってられるか!」といってやめた。『葬迎』で「どこまででも追いかけてやる」と脅し、あるいは「まあまあまたやろう」宥め「都合の良い存在」として復活してくれないかなと。

「徒」「屠」の考察を書いてる途中の2021年1月1日、中国の千人計画参加研究者批判の記事が流れてきました。その記事と反応に私自身だいぶ頭にきました。一方で「夢を追う」という点で、『葬迎』の次にこの曲が来るのがぴったりではないかと次の記事も書き加えました。

『イニシエイション』(凋叶棕:秘封祭オリジナル・サウンドトラック収録)

 

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