出会う前のパートナーと時間を共有する体験
今日はパートナーが先に眠くなって布団に入った。
最近の僕は外出が難しい。緊張が強く、周りに人がいるだけで強くストレスを感じる。話し声がたくさん聞こえると、頭の中に入ってきて本当に辛い。
こういった話を少し前にパートナーにした。すると、棚の奥をゴソゴソと探って、「これ使ったらどう?」と、ある物をくれた。
それは、パートナーが大学生のときに使っていたウォークマン。白い本体は黄色く変色していて、裏側に「8GB」と書いてある。
これで人の声が辛い場所でも、少しは落ち着いていられるだろう。名案だと思った。
そして、そのウォークマンを貰った。
今、なんとなくそのウォークマンで音楽を聞いている。パートナーとは好きな音楽が被っていて、流れてくる曲が懐かしく感じられる。
僕もここに入っている音楽たちを聞いていた。パートナーもこのウォークマンで、この曲を聞いていたのだ。
なんだか今、当時のパートナーと同じ時間を過ごしているような感じがする。
あの時、出会っていれば、今のような関係にはならなかったかもしれないが、仲良くなれた気はする。そういう世界線のパートナーとも出会ってみたい。
不思議と、十何年も前のパートナーの雰囲気が流れている。昔の話を聞いただけでは分からないことに触れている。このウォークマンの時間は止まっているみたいだ。
こういう感覚は、ただの僕の思い込みかもしれない。けれど、身体からじんわりと感じられる空気があるのは、僕の中では本当。
過去は通り過ぎても、匂いや痕跡を残して、今にも存在するのかもしれない。
パートナーの大学生のときを知ることができたのは、僕にとって嬉しいことだ。感じることのないものだと思っていたから。
もっとパートナーを知りたくなった。こういう体験ができるのだから、まだ知らない部分を知る術があるかもしれない。
隣で眠るパートナー。
寝ている間にこんなことが起きているとは思わないだろう。
出会う前のパートナーのことを考えると、愛しく、恋しくなる。僕をパートナーの過去に繋げてくれた音楽に感謝したい。ありがとう、素敵な曲たち。
明日もパートナーとの新しい生活が共有できる。素晴らしいことだ。この体験が終わらないことを願ってやまない。
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