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反抗期


【わたしの場合】


「クソババア」

一度だけ母に向かってそう言った。

普段もキィキィ言わない母は
ご飯をよそいながら

「なんですか。親に向かって」

と静かに言った。

父は怒ると怖かったから
ギリギリのところで
反抗的な態度をとった。  

というか無視。
何を話しかけられても横を向く。

たまに

「うん」

とだけ、感情なく答える。

ハヤシのおばちゃんに

「ふぐちゃん、お父さんに優しぃしてあげてな」

と言われた。

こぼしたんだろうな、おばちゃんに。

母からも言われたことがある。

「お父ちゃん、ふぐ子は俺のことが好かんのぞ、って言いよったよ?」

寂しげな父を想像して、ちょっとだけチクッとした。

あ!

そういや障子戸をぶち壊したな。

今思い出した。

有線イヤホンで音楽かなんか聞いていたら、脈絡なく父が

「ふぐ子はもっと叱っとけばよかったな」

とかなんとか言ったんだ。

はぁ?

こちとら小さい時から叱られるようなことしてないんじゃ!

イヤホンを引きちぎって投げ捨て、
そのまま二階へあがった。

怒りが収まらず
自部屋の障子戸を木枠ごとぶち壊したっけ。

あれ、誰が修理したんだろうなぁ。


以上、高校の時の話である。


【娘の場合】

「わかっとるうるさいな」

「聞いたわうるさいな」

「自分でするしうるさいな」

構文なん?
それなんかの構文なん?
語尾には必ずうるさい付けるて決まっとるん?

でも破壊行為はなかったかな。

幸いクソババアとも言われてない。

以上、やはり高校の時の話。


ところが
ちょうど一年前に(♪ハーモニカ)

正確にはちょうどではないけれど。

それは違うかたちで復活した。

さっぱりわからない。

会話ができない。

一緒に住んでいないから
ある程度は仕方ないけど

まぁ会話ができてない。

ちっともわかんない。

せめてうるさいと言われたい。

お正月、ゆっくり話しできるかなぁ。
うちで笑ってくれるかなぁ。

ちなみに夫はひどく嫌われている。

大きな声では言えないが。

頑張れパパ!

今だけの辛抱だ。


もういくつ寝ると
お正月。

家族そろって
笑うことができますように。

あ、今ではすっかり丸く、可愛くなったじーちゃん(父)と

ちょっとボーっとし出したばーちゃん(母)も

そろって一緒にご飯を食べよう。

美味しいものは人を笑顔にするからね!






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