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歌からショートショートを作ってみたVol.4

『私の気持ちなんてわからない』

「今日はどうしたの?」

機嫌を伺うように、だけど自然な感じでいつもと同じ口調を意識してるんだなってすぐわかるぐらい、ゆったりと話しかけてきた。

「そういう所が嫌なんだよ」

そう思いながら、責めるほどのことでもないし、そこまで機嫌も悪くはない。だけど、なんか引っかかるんだよ。

「別に…」

次に言葉を続けたら、私の今の感情が伝わってしまいそうな気がして、なんとなくそれも嫌で、でも誤魔化すには心が脆弱で、モヤモヤをぶつけてしまいたいと思いながら、ぶつけてしまったら彼はどうなってしまうんだろうと不安にもなってしまって、目線を適当に泳がせる。

「うん。無理に話さなくてもいいよ」

私に背を向ける。違うんだよ!話したくない訳じゃないんだよ!どうして、わからないのかなあ!なんとなく、空気がピンと張り詰めた気がした。お互いに探り合っている。何のために?

「お腹、空いたね。なんか、作ろうか?」

淋しそうな声だ。いつもと違う私に向かって、言葉を選び、どうしたの?何かあったの?なんでも話してくれていいんだよの感情を乗せてきてる。

「いいよ。もう一回、寝る」

バタンと扉を閉めた。私は何をしたいんだろう?共感して欲しい?励まして欲しい?ただ引き寄せて欲しい?どれも違うような気がする。

「そっか…わかったよ」

泣きそうな声。心の中は泣いているんだろう。困り果てているんだろう。だけど、時折垣間見える彼の本心。

「こんなに心配しているのに、どうしてわかってくれないかなあ」

あぁ、私も同じだ。これだけモヤモヤしているのに、どうしてわかってくれないんだろう。

とりあえず、毛布を被ってつぶやいてみた。

「私の気持ちなんか、わからないよね」

外はとっくに明るい。今日は晴天だ。ひたすらに青い空を眺めながら、ゆっくりと目を閉じた。



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