寺山修司少女詩集を読んだ
「なにを読んでいるの?」
って聞いたら、あのひとは、
「しょうじょししゅうだよ」
と返してくれました。
ししゅうは、刺繍ね。
あのひとも、お裁縫なんてするのだわ。
わたしと一緒ね、と思うと、
少女は、少しだけ嬉しくなりました。
しょうじょとは、何かしら。
と、少女は、思いました。
しょうじょさん、のために
刺繍をお勉強しているのだとしたら
…
少女はなんだか
悲しくなりました。
かなしみの理由は
彼女にはまだ
よくわからないのでした。
彼女の中には
愛も
恋も
少女すらも
まだ
生まれていないのでした。
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