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心の綺麗さはきっと顔に出る。

「彼氏は…出来た事無いんです」
凄く悲観的と考えていた18歳の夏、私はある女性と出会った。
その歳上の女性は「私もだよ」と同情する訳では無く、笑っていた。

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三重にあるパルケエスパーニャというテーマパークをご存知だろうか。
私はそこで大学1年生の夏休み、短期バイトをした事がある。
ルームシェアをしながら、働き続ける2ヶ月。
私はエントランスのスタッフとして雇われた。

正直仕事内容は覚えていない。
ただ、凄く暇だった気がする。

同じタイミングで勤めに来ている方々は、テーマパーク課という専門学校の方々が6名ほどいて、
一つ上の女性達は将来の職場の一つと考え真剣に取り組まれていた。
対して私はアルバイト。
スタッフの中では一番若かった。
だからだろうか。
「もっと謙虚にしなよ」と人生で初めて歳上に指摘された。
社会は怖いなと初めて思ったきっかけがここになる。
初心を思い出す時は、必ずと言っていい程に、暑い日のハリボテの休憩室の、汗臭くて、硬いソファの、あの情景を思い出す。



そんな日々を過ごしている時、私好みの顔立ちをした女性が気さくに話しかけてくれた。
お互いの心境を話し、一人で乗り込んできた度胸を褒められ、夢を話した。
その女性の見た目はどちらかと言うと可愛らしく、活気のある女性だった。

冒頭に戻るが、
私は18歳の夏に至るまで、彼氏がいた事が無かった。
恋愛話は触れてほしくない話題の一つだった。
「彼氏がいたことがない」
そう言うと決まって「嘘だ」と言われた。
私は周りから華やかに見えるらしい。
男の人を取っ替え引っ替えしてるような。
それが凄く辛いと感じていた。



「彼氏居るの?」
「居ないですね」
「最近いつ別れたの?」
「…あー、付き合った事無くて、」

「そうなん!私も今まで居たことないよ!」


え、こんな可愛らしい人彼氏いた事ない?!
絶対嘘やん。

そう言いそうになった時、
私が言われて辛い言葉を言いそうになり、控えた。
私の様子を見た女性は、優しそうに笑った。
言いそうになった事を理解したのだろう。


女性は続けた。

「付き合った事が無いと、この手の質問はしんどいよね」
私もだからね、と共感してくれた。

「好きな人は居るの?」
「います」
「おー!なら話は早いよ」
解決策を教えてあげる、と私の側に寄ってきた。

「もし、彼氏居るのーっていう女子特有の質問が来たするでしょう?
その答えは、『好きな人は居るよ』って答えるんだよ。
基本的に彼氏の有無は会話のネタだから、片想いでも十分盛り上がるんだよ。これ、ワタクシ論」
誇らしげに話す女性は変わらず笑っていた。


なるほど。
そういう手があるのか。
腑に落ちた様な、助け舟を貰った様な、そんな気分だった。


「あ、あとね。
妥協では付き合わない方が良いよ。
片思いが何年続いても、将来納得出来る恋をしなきゃね」

そう言うと和かに持ち場に戻って行った。

この女性は、周りにも優しく、自分にも正直で、
「心が綺麗だから顔が綺麗なのか」と納得させられた。

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後にネットで調べると、
「心が綺麗な人は顔も綺麗だ」と特徴が記載されていた。


1.余裕があること
2.感謝の気持ちを忘れないこと
3.言葉遣いが綺麗なこと
4.笑顔を絶やさないこと
5.気配りが上手なこと
6.時間を守ること
7.自分自身を大切にしていること
8.誰にでも平等に接すること
9.食生活が正しいこと
10.自分の芯をしっかり持っていること
11.感受性が豊かであること


女性は全てに当てはまっていた。



その後、就職先がディズニーとSNSで知り、会いに行った事があるが、相変わらず綺麗だった。
あれきり会ってはいない。
けれど、きっと女性はずっと綺麗だろう。


私が初めて出会った「人生を堂々と自分らしく生きている」人で、何より自分に正直で素直だった。
私の目標にする一人である。
私も綺麗な人になる為に、進もう。




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