飛び込み営業の仕事がしんどい。その本音を言い出せない私を待ってくれるチーム
私の仕事は飛び込み営業である。俗に言う、辛く、就きたくない職業のひとつだ。
ドMがやるような仕事だと私は今でも思う。
私のチームは3人で構成され、他のチームは居ない。比べるも比べられるも、自分たちしかいない。
その3人のうち、1人が私で、あとは先輩と上司である。
内容は至ってシンプルで、
毎日、同じ商材を提案し、獲得出来るだけしてくる。
やり方は自由で、先輩方からのアドバイスも多くある。
有難いことに私の会社自体、数字を出さないと怒鳴る様な会社では無い。
分からないことは聞き易い関係で、後輩として優しく接してくれ、私も心から慕っている様な良い関係性を保っている。
そんな私が経ったの40日ほどで、"もうこれ以上やりたくない"とまで思うまで至った。
何故か?-----楽しくないから。
何故楽しくない?-----獲得出来ないから。
何故獲得出来ない?-----断られる事が、怖くて怖くて怖くて怖くて、上手いこと商談が出来ないから。
怖い。断られたくない。
まるで自分自身を否定されている様なくらいまで落ち込み、基本的にポジティブな私がネガティブになり下がった。
なんて自分は弱く脆いのだろう。
なんで自分はみんなの様な営業が出来ないのだろう。
なんで?
どうやれば数字に繋がる?
不安と恐怖と、どうする事も出来ないやるせ無さに心を狂わされる毎日。
外回りに行ってきますと明るく言いながらも、車で一人になった時の"孤独感"に生き詰まっていた。
そんな私はいつも、周りのみんなに心配かけない様にと
"明日こそがんばります!"や"次こそは!"と言った、前向きな言葉を使っては、毎日のミーティングから逃げてきた。
だが、ある日、
「どうしても、もう無理だ。」
と感じながらミーティングに参加した時があった。
たわいも無い話をしたり、甘いものを一口食べたり、冗談を言い合いながら楽しく仕事が出来る、素晴らしい職場のミーティング。
ただ、内容が辛く、もう無理。心が限界。甘いお菓子が甘くない。
喉の奥にブラックホールがあるんじゃないか、と思えるくらい深い逃げ出せない大きな闇が目の前にあった。
先輩も上司も忙しい。私に構ってる余裕は無いはず。
だから、だから、大丈夫。
この気持ちはきっと無くなる。
怖くない。怖くないよ。
そう言い聞かせ、無理矢理笑う。
「今日もお疲れ様でしたー!」
今日もミーティングが始まり、いつも通りのテンションで参加する。
一人ひとりの今日の出来事を話すときには、しんどいなんて言う訳がなかった。
だが、
先輩の話の時に、すごく共感出来る内容があり、その事に激しく同意。
そして、そのまま私も本音を打ちつけた。
何を話したかは覚えていない。
でも、先輩に言われた一言で我に返った。
「初めて、しんどいって言ってくれたね。」
え?
私、今、しんどいって言ったのかー?
甘い考えしてるとか思われたかな?
え、どうしよう。本音を話し過ぎた…。
「ずっと待ってた、言ってくれるの。
だって、貴女、全く弱音吐かへんねんもん。
全部一人で抱え込んでいるんやもん。めっちゃ心配してたんやで。」
そう言われた時、プッッと糸が切れたかの様に溢れ出る涙が止まらずに出る。
マスクを外して、ティッシュを探す。
なんでこんなに涙が出るのか…
ああ、あたし、思っていたより無理してたんだなぁ。
胸が、喉の奥が熱い。悔しい、けど嬉しい。
分かってくれる人が居る。分かろうとしてくれる味方が居る。
泣きながら、感謝しかしなかった。
「ほんまですよ。全く話してくれないから、話したく無いのかと思って、聞けなかったんですよー。
もっと甘えてください、頼ってくださいっていつも言ってますけど、
貴女からの声が聞けるまで待とうって話になって、ずっと待ってたんですよー。
一人で辛かったでしょう?
貴女は独りじゃないですよ。僕たちのチームですよ。」
二人は、怒るわけでも慰めるわけでも無く伝えてくれた。
僕たちはチーム。
その一言にどれだけ救われたか。
冒頭にも言ったが、飛び込み営業なんてドMのやる事だと思う。
断られて断られて断られて、やっと獲得しては断られて。
1日に何回頭を下げるか。何回要らないモノ扱いされるか。
本当につらく、笑う事がしんどくなる時が何回も何回もあった。
もう嫌や、やりたくない。
そんな子供の様な事言えるはずも無く、黙っていたのに
先輩達は早々に気づいていた。
そして、待っていてくれた。
私が弱音を打ち明けるまで待っていてくれていた。
何で待っていてくれたかなんて、言われてはいないけど、伝わる。
だって、いじめとかと同じで
自分の心が傷付いている姿なんて
認めたくないし、知られたくないから。
言い出すまで、待っていてくれた優しさ。
待ってみよう、と二人で話したと言う嬉しさ。
全てに感謝しかない。
後輩を大事に思ってくれているのが、痛いほどに分かる日で、
嬉し涙と辛い涙と、ぐちゃぐちゃになりながら
社会人になって初めて心から泣いた。
人のやさしさにふれた。そんなリアル体験話。
チョコレートに牛乳
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