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幸せのつかみ方 No,1美紀子さんの場合

ボーイッシュな美紀子さん

美紀子さんと知り合ったのはウオーキング中何度か彼女の家の前を通る時に顔を合わせる程度で何度か会ううちに挨拶するようになりました。
ショートカットで声のトーンも落ち着いていて気さくな感じとは言えないけれどそれなりに天気や季節の社交辞令的な言葉を交わすようになっていました。ある日知人から「この近くに○○美紀子さんて知ってる?」と聞かれ同じ知り合いが居る事で少しづつこれまで以上に会話をすることとなりました。小柄ながら四輪駆動車を運転しアウトドア―が趣味だった話など少しづつ身の回りの話をするようになりました。

はたからは見えない生活

知り合ってからかなり時間が経過したころ 彼女が淡々とした口調で話し始めました。主人は12年前に50代半ばで脳血管の病気で倒れてからほぼ体の自由が奪われベットから起き上がる事は出来てもトイレも食事も入浴も介助が無ければ身動きが取れない状況にある事がわかりました。
3~4年前に初めてその話を聞かされたときはどのような言葉をかければいいのか分からず「大変ですね」「体を壊さないようにね」などと美紀子さんにとってはこれまでに何十回 いや何百回も世間の人から言われた言葉だったと思います
何度も顔を合わせる度に世間話からご主人の状態など聞くにつれて心が折れそうになる事もあると聞かされるようになりました。
12年と簡単に一言で言えない状態にあるのが想像ですがわかってきました

この先どれだけ続くのか

「この先どれだけ続くのかしらって」「そんな事考えるのよ」
こんな言葉を聞くと批判的な言葉が返って来そうですが
私は彼女は本気で言っているけど本気ではないと矛盾しているのですがその様な気持ちになりました。12年前倒れた当時よりはリハビリで回復傾向にあるとはいえすべてに介助が必要で日中はデイサービス・リハビリ・ショートステイとフルに利用をしているのですが 彼女は身体的な疲労よりは精神的な心の部分が疲れたのだと思いました。夫とは会話もままならなく意思の疎通が出来ない寂しさと虚しさ私自身が経験していない事だけにどのような言葉をかけるのが良いのかと自信が無くなりました。

辛いと言ったとしても貴方は悪くないのよ

綺麗事を言えば病気になった人が一番辛いから
まるでいつまで生きるのかと聞こえるような言葉を言うのは人に反していると批判する人もいると思いますが 突然に急変して夫がこの世を去ったとしても彼女の気持ちは解放されることは無いだろうと思います。
もっと何かをしてあげられたのではないかとかもっと一緒に居たかったととかしばらくは解放された気持ちになる事は無いだろうなと思うのです。
夫を一人家に置く時2時間以上は離れられないと言っていた彼女
矛盾の中でもがく彼女の姿が目に焼き付いています。

すべての話に頷いて耳を傾ける事しか私には出来ないのです
彼女の言葉を否定する事は一切しないだけです

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