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神様の世界史31 高慢なジン

前回は、
「エイジングクリームで何かおすすめの物はないですか?」
という私のくだらない質問で終わらせていただきました。
皆さんきっと、きれいにスルーしてくれるだろうと思っていたのですが、
なんと!
驚いたことに、お一人そのくだらない質問に回答をくださいました!!
ということで、
今週は、まず、その回答を皆様とシェアーしたいと思います。

こんにちは、ファーティマ松本です。

その読者さんによりますと、お肌には、
『蜂蜜』が良いとの事です。
蜂蜜を水で薄めて化粧水のように使うのがいいらしいんです。
そして、その後に、ひまし油などで蓋をするそうです。
いやー、蜂蜜って本当に良い事ばっかりですよね。
イスラム世界でも、蜂蜜の凄さは昔から知られています。
これから寒くなるので、積極的に肌からも、そして口からも
蜂蜜をとっていきたいですね。

それでは、本文に入ります。

さて、
神様は、天使達に向かって
「アダムにサジダをするように。」とおっしゃいました。
サジダというのは、額を床にくっつける動作の事で、
イスラム教の礼拝においては、とても大事な行いになります。
サジダをしている時が、一番神様に近い位置にあると言われていますし、
神様の凄さを感じ、自分の低さを表明するには、
これ以上の物はない状態ですよね。
その為か、この状態の時にするお願い事っていうのは、
かなりの確率で、叶えてくれるそうですよ。
しかし、
天使達がアダムに対してする”サジダ”というのは、
ちょっとだけ色合いが違います。
それは、崇拝の為ではなく、あくまでも敬意を表すためのものでありました。
ここまでが、前回までの復習になります。

今回は、たくさんの天使達が一斉にアダム(平安あれ)に対し、
サジダをしたその後について、書いてみたいと思います。

何千万、何億という天使達が全員アダムにサジダをした時、
ちょっと、興味深いことが起きました。
なんと、一人だけサジダをしなかった者がいたのです。
それが例の優秀なジンでした。
彼の名前をイブリースと言います。
彼は、何千万、何億といる天使達の全てがアダムにサジダ(お辞儀)をしているまさにその時、
一人だけぽつねんと立っていたというのですから、かなり目立ちそうですよね。
イブリースは一体どうしてしまったのでしょうか。
何を考えていたのでしょう?

神様もイブリースに問いかけます。
どうしてサジダをしないのか、と。

さあ、ここから神様とイブリースの会話の始まりです。
クルアーンにはその時のことが詳しく書かれています。
ちょっと見てみましょう。

『それで天使達は、イブリースを除き一斉にサジダした。
 彼は一緒にサジダすることを拒否した。
 かれ(アッラー)は仰せられた「イブリースよ、あなたが一緒にサジダしなかったのはなぜか。」
 彼は言った。「私には、あなたが泥で形作り、粘土から御創りになった人間にサジダすることはできません。」
 かれは仰せられた。「それならここから下れ。あなたは本当に呪われている。この呪いは審判の日まで、あなたの上にあろう。」
 彼は言った。「主よ、彼らが蘇られる日まで、私を猶予してください。」
 かれは仰せられた。「あなたは猶予される。定められた時のその日まで。」
 彼は言った。「主よ、あなたは私を迷わされましたので、私は地上で彼らに(迷いを)好ましく思わせ、必ず彼ら凡てを迷いに陥らせましょう。彼らの中で誠実な(恩恵により清められた)あなたのしもべ以外は。』(15:31~40)
 
イブリースだけは、頑なにに対しサジダをしなかったわけですが、その理由はクルアーンによると、

『かれは仰せられた。
 「イブリースよ、われの手ずから創ったものにサジダをするのに、何があなたを妨げたのか。
  あなたは高慢なのか、それとも高い(威力ある)者なのか。」
彼は言った。「私は彼(人間)よりも優れています。あなたは火で私を御創りになりましたが、彼は泥で創られただけです。」
(38:75、76)

イブリースがアダムにサジダをしなかった理由は、そう、高慢さ。
つまり、自分の方が優れているといった優越感のせいのようです。
土で創られた人間よりも、火で創られた私の方が上だ、という発想ですね。

火と泥。
どちらが優れているのか?
難しいところです。
何しろ、比較する対象物が違いすぎですから。
高温の火がいいのか、低温の火がいいのか、というのであれば分かります。
または肥沃な土がいいのか、砂漠の土がいいのか、といったものであれば比較もしやすいでしょう。
でも、火と土?
どっちがすごいか?
どっちがエライか?
んー、なかなか難しい質問ですね。

一つ言えることは、
土(または泥)というのは、何かを建てるのに必要なもの、何かを作るのに必要なものです。
つまり、何かを作りだすといった資質があるわけです。
それに対し、火というのは、
何かを焼くためにあります。
何かを破壊するためにあります。
もちろん、美味しいごはんを作るのに火は必要不可欠なものでもありますが、火の危なさは否定できません。

さあ、土と火、どちらがすごくて、どちらがエライか。
それを決めるのは少しナンセンスな気がしなくもないですが、イブリースは自分が方がすごい、偉いと、思ったようです。
この自分の方がすごいんだ、自分の方が偉いんだという気持ち、つまり
高慢さがイスラム的には非常によろしくない心の状態であります。

誇りを持つことは、決して悪いことではありません。
たくさん努力をして、何かを成し遂げたられたら、それはそれは誇らしく思えることでしょう。

しかし、何かを成し遂げられたという事実の裏には、それを支えてくれた人たちがいます。
そしてもっと大事なことは、神様がそれを行うに必要なものをすべて与えてくださったという事実です。
例えば、目や手、足、考える力、美貌(?)などといった必要なものは、すべて神様が与えてくれたもの。
ですから、何かを成し得た自分や周りの人達に、よくやった、すごい、すごいと
大喜びをし誇らしく思うその時、忘れていけないのは、神様への感謝。
神様からのお助けがあったからこその成果で有ることを知ったなら、高慢になるなんてことはできません。
むしろ、謙虚になるのが一番良い姿勢のはずです。

イブリースは、神様のご慈悲によって、天国に入れてもらえて、
そこで天使達と同じような恰好をさせてもらって、快適な生活を送らせてもらっていたのです。
にも関わらず、アダムにサジダをしなかった事を、なんと神様のせいにしてしまいました。
ある意味、ちょっと凄すぎです。
その上、ここから出ていてと言われたときには、「覚えていろよ。」とこれまた悪態をついています。
感謝のかの字もありません。

高慢さ、そして忘恩。
これがイブリースの最大で、最悪の罪なのだと思います。

次回 に続きます。

今日もお付き合いいただきましてありがとうございました。
みなさまに神様からの祝福がたくさんありますように!
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