職業不定有職
久しぶりの長編。前回『気の赴くまま』は2020年5月にコロナで世界が止まった頃に暇だから書いていた。
3年前と今ではやってる事がかなり違ってることに気がついたので今回はその続編です。
星になる会社
毎年、来年はどんな働き方をするかをみんなで話している。起業、複業、移住、転職、出産、子育てなど人生を彩る変化は人それぞれ。
ここ数年、じわじわとみんなの働き方が変わっていく中で突然コロナがやってきた。
緊急事態宣言。学校お休み。
これまでしたい人がしていたリモートワークが1日でマジョリティになった。
大きな変化はいつも突然やってくる。多分これからはこんな変化が続く時代なんだろう。
ということですぐにオフィス解約してみんなで解散MTG。戻る場所はもうない。
いつかそんな日も来る気がしてたかのようなメンバーの表情が印象に残った。
不便の便
コロナで世の中が揺れる頃、とびらでは3ヶ月で腐る、幸せに使うほど降ってくる共感コミュニティ通貨eumoが使えるようになった。
飲食店に卸すはずだった、行き先のなくなったお米が1トン届き、毎日のように投げeumoでご飯が食べれるようになった。カレーでも炊き込みご飯でも名前はエベスィスィ。
便利でシステム化された流れが止まりたどり着いたお米が、動きずらい人間を繋ぎゆるめていく。
人は自然からのギフトで生かされていることを実感する日々。奪い合いより分かち合い。不便が繋がりを生む。
バトンタッチ
集まってくるのはお米だけではなかった。色んな人や物が集まってくる中に「起業当初にお世話になった飲食店」もあった。
このままこの店をなくすのはだめな気がした。
人が動かないのに飲食店を引き継ぐ。
飲食店の経験ない。
料理もできない。
世の中にある理論を探しまくっても出てくる答えはNOかもしれない(笑)
でもこのよくわからないけど進んだ方がいい感覚はとびらを始める時に似ている。
直感でやることを決めた僕は、SNSで一緒に経営したい人を募集した。
大学に行く意味がわからない、働いたことのない高校生。海外の大学に通ってたのに国がロックダウンして帰国してインターンにやってきた大学生。お店の馴染客で名前にお店の名前が入ってる社会人。
個性的すぎる、ほぼ初対面に近い3人が集まり共同経営をすることになった。
一回りも二回りも年が離れた人たちとの共同経営。年長者の僕が言うと、なんとなくそれが答えになってしまう雰囲気を感じたので僕はそこから「ええんちゃう」しか言わないようにした。
最初は確認しにきたものの、段々あの人は何聞いてもええんちゃうしか言わないと思ったのか、みんなが自由に動き始めた。
正直なことを言うと、このとき僕はお店の経営云々のことは考えておらず
100年時代といわれる長い人生の中で、思い切り自分でチャレンジしてみる経験をみんなが積めたらきっとこの先もずっと役に立つだろうくらいにしか思っていなかった。
なのであれこれ言わずにじっと見ていた。
そんな僕の想いはあっという間に越えて、予想もしない色んなチャレンジが生まれていく。もちろんそれと同時に面白い失敗ネタも。
ネタについては語り出したら誌面がいくらあっても足りないので今回は省略。
今となっては街ぐるみで取り組んでいる生ごみ堆肥の循環モデル事業『ごみカフェKYOTO』もここから生まれた。
そして彼女たちは経営から離れ自分の道を見つけ歩き始めた。若者たちからバトンを受け取り、今やライフワークにまでなっている。
僕は若者たちから色んなことを教わった。
ゴミが生む価値
一人ひとりの小さなアクションが世の中を変えていく。
生ごみをLFCコンポストに入れてかき混ぜて堆肥にする。1日数分の簡単なルーティンワーク。
初めてコンポストを見てこれなら僕でもできるかも。使わない堆肥余ってるなら回収してみよう。集まった堆肥は必要な人にプレゼントしよう。
次々出てくるアイデアと応援してくれる人たち。誰もが持ってる生ごみだから、誰でも関わり方をつくれる。
個人、地域企業、行政、学校。その輪はあっという間に広がっていった。
自分で立ち上げた事業でもなく預かってる感じ(事業承継をしたらこんな感覚になるのか?)だったので、この事業をどんな形で進めるのが社会にいいのかを考えるようになった。
シフトチェンジ
社会に出て20年弱。人の可能性を限定したり、合わない人には働く機会すら与えられない。そんな働く仕組みへの違和感はどんどん大きくなっている。
これまでの大量消費・大量生産・大量廃棄を前提としたビジネスモデルと画一的な働き方は相性がよかったのかもしれない。
でも時代はもう変わっている。人口がどんどん減り、高齢化が進む。環境問題も待ったなしのこれまでとは異なる時代にはそれに合った働き方があるのではないか?
みんなが自由に動きながら凸凹を活かしながら価値を創っていけるのは学び場とびらをやっていていつも感じていることだ。
『仕事に人を合わせる』から『人に仕事を合わせる』へのシフトチェンジ。
多様な人が関われるごみカフェだからこそできる事があるんじゃないか?環境への取り組みに留めておかないでもっと色んな重なり方をつくりたい。
そんなことを考えていたら、街をひとつのオフィスと見立て、組織や立場を越えてみんなで自分らしい働き方をつくる『まちごとオフィス』がスタートする。
まちごとオフィスは京都信用金庫の社内ベンチャー京信人材バンクが運営するコミュニティで、立ち上げに僕も関わらせてもらっていた。
色んな動きが重なり始める。
『指示なし、管理なし、評価なし』
地域に多様な働く選択肢をつくるため、ごみカフェKYOTOをまちごとオフィスの中で実験してみることにした。
働く時間、場所自由。する仕事も自由。仕事しないも自由。報酬を受け取る受け取らないも自由。
そんな意味不明な複業プロジェクトに学生さん、育休中の方、フリーランス、地域で働く会社員の方々が集まってくださった。
「自分のやりたい仕事を、できる時間にしていいのが衝撃でした」「堆肥を使って自分で芋つくるのが楽しい」「自然に近づき、身体を動かす+社会にいいことをするのが心地いい」「やったことない事に挑戦してもいい」「できない自分を責めなくなった」「周りに合わせなくても大丈夫と思った」「自分が大事にしていることに気づけた」etc
みんなの感想を聞いて、僕は取り組む内容そのものよりも地域の中にこの雰囲気を広げていくことが大事なんじゃないかと思うようになる。
日本で生きていると、管理、評価、比較の中に組み込まれる。そこから外れた時に得られる感覚に未来を感じた。
そこから全部外れるのは難しいし、その必要もないと思う。ただ自分の中にその環境が少しあると世界は随分と違って見える。
働くこと、暮らすこと、学ぶことは全て繋がっている。
決算書はフリーペーパー
話が変わるが、学び場とびらには数年前からフリーペーパーが置いてある。
このフリーペーパーには、とびらの決算書(売上や経費、資産や負債といった数値的なもの)と財務諸表に現れない価値(関わる人にどんな変化が生まれてるかを表現してもらったもの)を綴じている。
⚠️⚠️⚠️読んでしまうと応援せずにはいられないので閲覧注意である⚠️⚠️⚠️
最近は組織や立場を越えてみんなでつくるプロジェクトが増えたので1社で成績を出すことの意味を感じなくなってきている。という心の声は置いといて、、
だんだん時代は財務数値以外のところをちゃんと見ようとする流れは感じる。特にうちの決算書見たらその流れしか感じないはずww
今日の本題はそこではなくて、公開するという行為のほう。
上場会社ではないので公開する必要もないけど、みんなで創ると言ってるのに情報はオープンにしないことに違和感を感じるから公開している。
このオープンな感覚がこれからの時代は結構大事な気がしている。
自分が自然体で開いてるとなんとなく相手も開いてくれて繋がりやすいんだよね。しらんけど。
色んな人といい感じに繋がることは生きやすさに繋がる。人はひとりでは生きていけない。
面白いお金が降ってくる町
今年から京都祭コインcomoという地域通貨を始めることになった。色んな方々と日々雑談しているなかで、いつからか自分たちで新しいお金を創ってみようという流れが生まれた。
https://note.com/kyotomatsuricomo
当たり前のように身近にあるお金。なのにお金について僕たちは教わってこなかった。
どんな風にお金という道具を使うと幸せになれるのか?地域のなかでどんな巡りが生まれるといいか?円や〇〇PAYのような便利なお金との違いは?
京都祭コインcomoはみんなでつくるお金。
スタートして半年ちょっと。地域企業や個人、行政、学校など組織や立場の枠を越えて色んな方々と一緒に創りはじめたばかり。
なのでこれからどんな風に広がっていくのかは僕も知らない。
どんなお金があると地域にいる人たちが幸せになると思いますか?
この問いをみんなで対話して街の中で実現していこうと思う。
次に長編を書くのはまた数年後だろうから、その時にどんな光景が広がっているのかが楽しみでならない。
変化の種蒔き
分断されやすい、何かと急かされる現代社会で、ゆる~く雑談しながら多様な人と出逢う。
意味のない(と思われる)雑談にこそ、気づきと変化の可能性が詰まっていることをこの数年間で実感した。
鍵も管理人もないスペースで管理する気もないのでどれだけの人の関わり合いが生まれたのか想像もつかないが、そう感じた人はきっと僕だけじゃないはず。
そんな場が増えていくことで、自分や周りの人、未来の子どもたち、地球の裏側の動植物もみんなが喜ぶ雰囲気を社会につくりたい。
また3年後、僕は何してるだろう。
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