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留学でぶつかる壁① ~会話のお作法~

6年近く働いた日本の会社を退職し、アラサーになってオーストリアで留学生活を始めた。渡航してから3か月以上経つが、現在私の周りには日本人が一人もいない。そもそも東アジア人がいない。もちろん街中では観光客などそれらしき人達を見かける。しかし学校や住んでるアパートメントなど、生活圏ではぽつんと一人の東アジア人、の状態である。

会話の間

2~3人での会話だとあまり問題ないが、5~6人のヨーロッパ人とのグループで会話をしていると、会話に入っていけないということがよくある。気づくと、いつも聞き役に回っているのだ。日本にいたときは、どちらかというとしゃべる方だったと思う。しかしここにきて、私は案外おとなしい人間だったのかと思ってしまう。人によっては、私のことをシャイで控えめな人間だと思っているかもしれない。

なぜかと考えてみた。もちろん、言語力(英語レベル)やトピックについての理解の不足、という課題はある。ただし、そういうレベルの問題ではないのだ。そして気づいた。それは、文と文の「間」がない、ということだった。会話をしていて、一人がしゃべり終わると、一瞬の隙もなく次の人がしゃべりだす。そしてこの間というか隙というか・・一瞬の沈黙もないまま音が流れていくのだ。そして私はいつも、何か言葉を発しようとしては口を開き、あたかも息を吸っただけですよ、とでもいうかのように口を閉じてしまう。

プレゼンの質疑応答でも同じことが起こる。私のグループメンバは、質問直後に即答する。それはまるで・・質問というボールがラケットの近くまで落ちてくるのを待たずして、ジャンプして打ち返しているかのような感覚だ。とにかく、私にはボールが巡ってこない。かといって、そのボールを横から奪う気にもなれない。もちろん、彼らの頭の回転の速さというか・・そのスピードには拍手したいと思う。

価値観のぐらつきと葛藤

日本にいたときは、相手の話をしっかり最後まで聞くことの重要性を常に識してきた。もちろん、相手を尊重する姿勢は今後一層大事にしたいと思っている。

一方で、この異国の地で国際色豊かなメンバに囲まれ、私はこのまま黙っていてもいいのか、という葛藤にも悩まされる。よく言われることだが、考え方が根本的に違うからこそ、言葉にして伝えないと伝わらないのだ。

そしてまた、周りに日本人がいない分、自分のふるまいが日本人のイメージにそのままつながってしまうのではないか、という一種の責任のようなものも感じる。

正直、この話におちはない。読んでくださった方には申し訳ない限りだが、自分なりの答えにたどり着くにはまだまだ時間がかかりそうだ。