ろうばい
かえりみち、ご近所の家から狼狽がみえた。
……ちがうちがう。
蝋梅だ。
カタカナでロウバイ、と表記することもある。
私はこの花が昔から大好きだ。
最初に目にしたのがいつなのかはわからないけれど、いつのまにか好きになっていた。
▲(小休止)
いつの間にか好きになることが多すぎるな、わたし。好きな人だって、いつも気づいた時には沼っているんだ。
この花、名前のとおり、まるでロウ細工のような黄色い花なのだ。
ちょっと花弁が透き通っていて、冬の日差しを和らげてくれるような、そんな花。
どうやら、中国からやってきているらしくって、言われてみれば、王宮ぽさというか、中華っぽい雰囲気、ある。
中国では、ウメ、スイセン、ツバキとともに、「雪中の四花」として尊ばれているみたいだ。
私は母が生け花をしていることで、花を愛でる機会が人より多かったように思う。
玄関に生けられたロウバイは、私の心をくすぐったのだった。
そのことを母に言ったら、
「あなた、渋いねぇ」
なんて、言われたものだった。
私は結構渋い物好き、なのかもしれない。
渋い……渋い……。
若干、ショックを受けていたわけだけど、そんなときに、夏目漱石もロウバイが好きだったと知った。
あの夏目漱石先生が好きだ、と言っていたんだから!
そう思えるだけで心強くなれたのだった。
だから私はエクスペ……じゃなくって、私は蝋梅が大好きな花だ。多分、これから先もずっと。
ロウバイの花言葉は「慈しみ」「ゆかしさ」「先導」「先見」。
私もロウバイの花言葉みたいな大人になりたいな、なんて思った次第です。
✿ 読んでいただきまして、ありがとうございました ✿
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