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ずつうもち

わたしは、ずいぶん昔から頭痛もちで、最初に薬に頼ったのはいつか、思い出せない。

カロナール、バファリン、ルナ……

色々な薬を、グラスの水とともに嚥下する。

そのたびに、わたしの体は薬に染められるようで、うっすら恐ろしくなる。

まるくて白い錠剤は痛みをおさえるだけで、根本的な解決はしてくれない。

天候(もっと言えば気圧)に、メンタルに左右されて痛みだす。
孫悟空の緊箍児きんこじが生まれた瞬間からはめられているみたいだ。

生まれた瞬間に、戴冠式のように、はめられたんだ。

今日も頭は痛くなる。
バファリンプレミアム2錠。

昔は頭痛薬の副作用で眠くなることが多かったのだけど、いつからか薬もリニューアルされていて、ふつうにピンピンしているのがおもしろい。

つよすぎる光も、匂いも、音も、身体が受け入れてくれなくて、制限された世界に棲んでいる。

だから、わたしは本を読む。
そこにはやわらかで、あたたかくて、さりげない感覚世界が広がっているからだ。

誰かのつくったものというのは、本当に尊いものだと思う。
なんらかの気持ちがあるからこそ生まれているから。

恍惚と、あたまのいたみを麻痺させながら、今日もわたしは本を読む。

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