温泉ひとり旅【車中泊】
今回は温泉目的の車中泊旅だ。
もちろん観光目的や絶景撮影を目的にした車旅でも温泉には入る。
ただ、温泉だけを目的にした車中泊旅も悪くはなかったので紹介したい。
人情溢れるレトロなひとり温泉旅
観光旅目的で車旅をする時は、車中泊場所の立地や時間によって温泉を選んだ。
その結果、全国どこにでもある日帰り専用の温泉に行くことが多かった。
日帰り温泉の多くは午前10時にオープンして夜の最終受付はまちまちだ。
今回の目的と言っている温泉は昔からある温泉街のことだ。
車中泊できる温泉街
日本全国に古くからある温泉街ならどこでもいいという訳ではない。
私がよく行った温泉街の条件は車中泊のできる駐車場があることだ。
もちろん駐車場にトイレが併設されているところだ。
意外にこの条件は難しい。
有料駐車場はあるものの、その駐車場にトイレがあるとなると簡単には見つけられなかった。
私が住む兵庫県なら有名な有馬温泉や城崎温泉はひとり車中泊向きではない。
有馬温泉にはトイレのある駐車場もあるが、そこの1階にある市民トイレが利用できるものの駐車場の営業時間は20時までとなっている。
城崎温泉には人気のRVパークもあるが、料金が最低3,300円と、ひとり旅では割高でどちらかというとキャンピングカーなどの家族車中泊向きだ。
公衆トイレがあっても駐車場から離れているところも私のような年齢には向いていない。
温泉旅情感溢れる湯村温泉(兵庫県)
湯村温泉は兵庫県北部の山峡にある1200年の歴史を持つ温泉街だ。
風光明媚な温泉地としては最高だ。
湯けむり漂う荒湯があり、日帰り温泉もある。
日帰り温泉の薬師湯は町民以外が大人700円だ。
大きな温泉宿もあり、その内の数件は日帰り入浴が可能だ。
ここの魅力は温泉街そのものだ。
湯上がりに荒湯のある川沿いを歩くと、夏でも涼しく非日常的な旅情感を体験できる。
車中泊ひとり人旅としてのデメリットはB級グルメ的な食堂が少ないことだ。
私が思いつくのはお手頃価格の中華料理店1軒だけだ。
座敷とテーブル席があり酒類もあるのでゆっくりできる。
そしてトイレのある格安駐車場が2カ所ある。
町営北駐車場と町営東駐車場だ。
私が車中泊するのは東駐車場だ。
国道9号線からほんの少し入ったところにあるが、奥の方に車を止めると国道を走る車の音はさほど気にならない。
国道を挟んで井づつやという大きな温泉宿もあるので、ここでの車中泊はなぜか安心感がある。
私の家からは2時間もかからないので温泉だけ入って帰ることもある。
ここで車中泊をするときはひとり温泉旅を満喫したい時だ。
家族や友人となら温泉宿に泊まるが、ひとり旅では温泉宿に泊まる意味がさほどない。
日帰り温泉の薬師湯に入る時は薬師湯の駐車場に車を止める。
薬師湯利用者は2時間無料だからだ。
大概はその後、東駐車場まで移動して車を置き、中華料理店でレバニラ炒め定職と日本酒を頂く。
ほろ酔い気分になったところで荒湯向きに歩き、春来川沿いをぶらぶらと涼んでから車に戻る。
昭和レトロな湯郷温泉(岡山県)
岡山県と言っても兵庫県に近いので、私の家からは下道を通っても2時間半で行ける温泉街だ。
私の若い頃はたいそう賑わっていて、会社の旅行などでもよく来たことがある温泉街だ。
この湯郷温泉もひとり車中泊旅でよく来る温泉街のひとつだ。
ここで車を止めるのは美作市営湯郷駐車場だ。
1回300円と格安で奥にトイレも併設されている。
この温泉街には湯郷鷺温泉館(ゆのごうさぎおんせんかん)という日帰り温泉もある。
私は夕方以降に到着したときはこの日帰り温泉を利用するが、4時ごろまでなら温泉宿の日帰り入浴を利用することにしている。
温泉宿のチェックインは概ね午後3時で、夕方までは風呂も空いているからだ。
駐車場からは、昭和レトロな温泉街を散策しながら温泉宿の日帰り入浴へ向かう。
昔の劇場やスナックの看板は昭和そのものだ。
昭和のおもちゃで溢れた昭和館という博物館もある。
そして一度車に戻り寝床を準備してから夕食に行く。
車中泊の我が家に帰ったらすぐに寝たいからだ。
駐車場から少し歩いて行くのはこの辺りのB級グルメのホルモン焼き店だ。
私がよく行くのはしんかいという鉄板焼き店だ。
座敷とテーブル席、カウンター席がある。
私より少し年配の女性二人が切り盛りしている店だ。
晩酌の習慣がない私が注文するのはホルモン焼きや砂すり、それに熱燗だ。
家では一滴も飲まないのに何故かここに来ると日本酒が飲みたくなる。
店主の機嫌がよければ少し大きめのコップで日本酒が来ることもある。
1.5合は入っているだろう。
普段飲まないのでこれで充分ほろ酔い以上になる。
この店では常連客と会話が弾むこともあり、そんな日は最高のひとり旅だと感じる。
駐車場も夜は静かで酒の力も借りてゆっくり寝ることができる温泉街だ。
西日本有数の美肌の湯、湯原温泉(岡山県)
湯原温泉は西の横綱と言われている西日本きっての名湯だ。
私の家からは下道で休憩を挟んで4時間だ。
もちろんここにも日帰り温泉はある。
それが湯本温泉館だ。
年中無休で大人600円と他の温泉地と比べても良心的な入浴料だ。
この辺りに住んでいる人は家の風呂に入らずに毎晩この湯本温泉館を利用するのだそうだ。
風呂のない家も多いと聞いたことがある。
そのせいかは分からないが夕方は混み合う。
私はこの温泉街でも早めに来て温泉宿の日帰り入浴を利用することが多い。
この湯原温泉で最も有名なのが、ダム下の川の中にある露天風呂、砂湯だ。
更衣室もあるが男女混浴の露天風呂で女性はレンタルの湯浴み着、男性はタオルで下半身を隠して入浴する。
昔は隠しもせずに堂々と入浴していたが、最近はSNS用の写真撮影をする人も多いので隠すのが常識になっているようだ。
ここでは砂湯の駐車場でもある河川敷の駐車場で車中泊をする人が多い。
ここから近い湯元温泉館の1階に外から使用できる公衆トイレがある。
しかし広い駐車場の車を置いた場所によっては距離があり、坂道を登らなくてはならないので私のような年代にはお勧めできない。
私が利用するのはゆばら湯っ足り広場というRVパークだ。
真庭市がやっていて一泊1台1,000円という安さだ。
この金額ならひとり車中泊でも割高感はない。
とてもいいRVパークだが車中泊専用駐車スペースが3台しかない。
そのためすぐに予約で埋まり、当日電話して空いていたのはこれまで1回だけだった。
湯原温泉はこじんまりとした温泉街だが、お手頃価格の飲食店やお手頃価格のスナックも数店ある。
この温泉街も昔は会社の旅行などで来たことがある。
そんな時は同僚と遅くまでスナックで飲んだ記憶があるが、定年退職後の車中泊ひとり旅でも懐かしさからスナックのカウンターでひとり酒を楽しんだ。
ひとり車中泊温泉旅の楽しみ方
晩酌の習慣もない私が車中泊で酒を飲むことはほとんどない。
車中泊場所やその時の状況で飲酒運転のリスクを負いたくない場合もある。
しかし温泉街で車中泊したときだけは飲みたくなる。
サラリーマン時代は付き合いでよく飲みにも行った。
まったく飲めない訳でもないし、元々ネオン街は嫌いではない。
会社の旅行であっても仲間と行く温泉旅行は楽しかった。
しかしひとりで温泉宿に泊まっても楽しいことは何ひとつないだろうが、温泉に浸かることや温泉街で旅情を楽しむことはひとりでもできることだ。
風情ある温泉街を歩くことや飲食店での一期一会などだ。
おそらく日本中に、このようなひとりでも楽しめる温泉街があるはずだ。
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