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「新しい時代」について考えたこと 5 文献の要約3

「新しい時代」、イコール、「人新世」ということは、間違いないと確信したうえで、

個人的に対応してゆくにはどうしたら良いか?、何か自分に出来ることはないか?、という観点で、

この混乱した「新し時代」についての本質をつかむために、

「人(ひと)新世とはなにか」(著 クリストフ・ホマイユ、ジャン・クティスト・フレリス)の要約及び感想をまとめています。

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今までの内容

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前回(文献の要約2)では、本文献の「結論」を先に書き、その結論に至る内容を、綴ってゆくことにした旨、述べています。

その方針に沿ってまとめて行きます。

なるたけ分かりやすく、を心がけているつもりですが、どうでしょうか?


1. 本書の結論および、その説明

  私の考えた、本書の結論は下記通りでした。

  a. 我々の祖先が、生態系と地球を不安定にさせたのは、

   「すべて承知の上」だった。

  b. 「政治的」に解決を図るべきである。

  c. 人新世」を生き抜き、また、環境問題などの解決を図ることは、

    解決を妨げる「抑圧的」な制度、支配、疎外的な想像力から

    解き放されて、「自由」になることである。

    つまり、「開放的な経験」を得ることになる。


    今回の内容は、

    a. 項の、「すべて承知の上だった」、について、

    このような結論に至った道筋をまとめます。


2. 「すべて承知の上だった」とは、どういうことか

  現在は「人新世」の時代であることを認識する必要がありますが、

  それは今に限ったことではなく、実際は古くから、人類の生産活動などが自然環境に悪影響を及ぼしていることは、被害者および加害者、さらには一般的にも、周知の事実でした。

自然破壊や自然界に悪影響を及ぼしたことが、ブーメラン的に人間に被害や災害をもたらし、そのような生産活動に対しては、その都度、反対運動が起こったが、長続きせずに終わっているという歴史があります。

 第2章や第11章が関連記事ですので、次いで、この要約を記します。(若干、意訳もありますので、ご了承ください)

 なお、第1章は、「人新世」の地球が誕生してからの「地質学的時代」の、位置、および非常に短い期間であることが記されています。(前期の文献要約1に記載済みです)


3. 第2章について

(1) タイトル

第2章のタイトルは「ガイア と共に 考える: 環境 学的 人文 学 へ 向け て」です。

・「ガイア」とは、簡単には地球(自然)のことをさすと考えられます。

 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説では、次の通りです。

大地を人格化したギリシア神話の女神。ゲーGeともいう。ローマのテルスにあたる。またデメテル、ケレス、キベレのような大地女神ともしばしば同一視あるいは混同されている。ヘシオドスによれば、彼女はタルタロス、エロスとともに混沌(こんとん)の深淵(しんえん)カオスから生まれ、自らの子であるウラノスと結婚してティタン、キクロペス、ヘカトンケイルを生み、またわが子クロノスをそそのかして父ウラノスの陽物を切り取らせた。そして、その血を受けてエリニエス、ギガス、メリアスを生んだが、さらにわが子ポントスとも交わって、ネレウス、タウマス、フォルキス、ケト、エウリビアを生んだ。このほか多くの怪物が彼女から生まれたとされている。そのもっとも特徴的な権能は「誓言の証人」である」


・「環境学的人文学にむけて」とは、

「環境学」という人間の環境に対する基礎科学的捉え方と、「人文学」広義の哲学,文学,史学)を、融合させて考えよう、との意味。


 注: 環境学=自然環境、社会環境、都市環境など、人間の生活を取り巻く環境と、人間や動植物への影響について、各種の基礎科学からのアプローチにより研究を行う分野。

ーーー> つまり、「地球や自然とともに、この異常な環境について、基礎科学的な分析と、人文学な考え方を融合した内容」について述べた章ということです。

(2)  2章の要約

  自然や環境の変化は、人為的なものであったことは、多くの人たちが指摘してきたことです。ここでは、現状について書かれています。


a. 「環境危機」の再考と、「維持可能な発展」を続けるために

  我々人間は、「自然の主」であるとい観念

   線形で冷酷な「進歩」(物質文明的発展か?)という概念を、

   捨てなければならない。

  過去2世紀に渡って登場した、進歩主義的イデオロギー

   (「リベラリズム」、「社会民主主義」、「マルクス主義」とは、

   決別すべき時である。

 (注)私は、上記の「進歩主義的イデオロギー」そのものと、現在の「環境危機」との関連性について、これだけではよく分かりませんでしたが、過去のイデオロギーとは一線を画す必要がある、ということのようです。

 b.  「人新世」の中で生きるということは、環境変化などについては、ほとんど予測不能である。

   (ギリシャの大地の女神「ガイア」は、「恐らく母ではあるが、イライラしている)

 c.  一部の科学者や工学者による「自然はコントロール可能だ」という考え方には、無理がある。

  「人新世」は、「人間の時代」ではなく、圧倒的な「無力さ」を感じるところとなる。

 d.  人間社会は、これから何十年かの間に、地球システムの大きな変化に直面することになるだろう。

  政治的な判断や推進が必要である。

  (個人的には、バイデン米大統領に期待するものです)

 e.  家畜飼育が、地球上の穀物栽培面積の半分を独占し、家畜の飼育そのものが、温室効果ガス総排気量の18%を占める。

   公共交通機関でも、多くの室効果ガスを生み出している。

 f.  「人新世」の概念は、「自然」と「人間社会」とが切り離されたものではない。

  「経済システム」の大幅な変更が必要。

  「環境」という概念から、「地球システム」という概念に変える。

   産業的「消費主義」を否定すること。

 g.  重要なのはガイアとともに思考することだ。

   内容的に難しく、私も理解不足なので、ここでは省略します。

 h.  新たな「政治理論」が必要である。

   ポスト成長主義、参加主義型の民主主義、富裕国の取り組みについて。

    内容的に難しく、私も理解不足なので、ここでは省略します。

4.今回のあとがき

  11章の要約は、次回、述べます。

  冒頭にも書きましたが、

  私は、この著書の内容を、参考すべきは参考にして、

  個人的に対応して行くにはどうしたら良いか?、

  何か自分に出来ることはないか?、ということを、常に念頭に置いて生活して行きたいと思っています。

  個人的には、

  多分、世界中の人たちが、この問題を「共有」した時点で、回復に向かうのだと思われます。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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